Safe


2012年10月20日(土)「SAFE セイフ」

SAFE・2012・米・1時間34分

日本語字幕:丸ゴシック体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク、Arri、Super 3 5)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではSDDSも)

(米R指定、日R15+指定)


公式サイト
http://www.safe-movie.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

アメリカ、ニューヨーク。格闘技の試合で相手を病院送りにしてしまったルーク・ライト(ジェイソン・ステイサム)は、本来は八百長試合で負けるはずだったため、大金を掛けていたロシアン・マフィアに妻を殺され、今後オマエの友達になったヤツもすべて殺す、嫌なら自殺しろと脅される。そして毎日監視がつきまとい、ホームレスのシェルターで話をした男が惨殺されてしまう。その頃、ロシアン・マフィアのボスの元に、チャイニーズ・マフィアによってパソコン代わりに中国から連れてこられた11歳の天才記憶少女メイ(キャサリン・チェン)がさらわれてきており、覚えた番号を言うように迫られていた。そこへチャイニーズ・マフィアの指示を受けてNYPDが突入、混乱に乗じてメイは逃走し、地下鉄の駅で自殺を考えていたルークと出会う。少女と目が合ったルークは自殺を思いとどまるが、少女がロシアン・マフィアに追われているのに気付き、助けることにする。

72点

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 チャイニーズ・マフィアに、ロシアン・マフィア、そしてニューヨークの汚職警官、腐敗した政治家……悪い奴らばかり。逃げる中国の天才少女も、ちっともかわいらしさがない。こまっしゃくれていて、愛想も笑顔もない。かろうじて主人公の男だけが、いいヤツだが、それでも平気で人の顔に発砲できる冷酷な男。とくにスゴイのは、悪い奴らは、こな本当にイライラさせるようなヤツばかりということ。この不快感。「アウトレイジ ビヨンド」(2012・日)がOKな人はたいして気にならないだろう。

 アクションは満載で、CGで血糊も飛んでいてリアルだが、アクション・シーンだけ動きまくるカメラが動き過ぎで、シネスコでは何が起こっているのか、良くわからない上に、目が回って気持ち悪くなる。これは家庭のTVサイズで見た方が、わかりやすいかもしれない。シネスコ・サイズなんだから、もっと考えて、効果的にカメラを動かしてくれないと……。どれだけ凄いスタントが展開されているのか、本当に速いのかも、まったくわからない。1対多人数では、何が起こっているのやら。せっかくスタント・コーディネーターが苦労して考えただろう組み手が、さっぱり。カッコ良さも伝わってこないし、ジェイソン・ステイサムがどれだけ凄いか、やられる役の人がどれだけうまいか、さっぱりわからない。うーむ。残念!

 ストーリーも、特に複雑ではないのに、伝わって来にくい。つまりわかりにくい。演出も、必要ないと思えるのに、現在、1時間前、1年前と入れ替えられており、伝わってこない。少女がかわいそうな感じもしない。観客が助けてあげたいという気にならない。だから、理由は言っているが、なぜ主人公が命をかけて少女を助けるのかも、伝わってこない。

 主演は、タフな男を演じさせたらピカイチというジェイソン・ステイサム。とにかく映画に引っ張りだこ。出まくり。だいたい年に2本ずつ出ている感じ。2012年は本作と「エクスペンダブルズ2」(The Expendables 2・2012・米)の2本。体のキレも抜群なのに、本作ではカメラが動きまくって、サッパリわからない。体の動かないお嬢様新人タレントのアクションを見ているみたい。基本的に自分の銃は持っていないが、M92の使用率が多い。ラストはimfdbによると、P226のスポーツ・モデルかと思ったら、ATIというアメリカの輸入業者がトルコから入れているFS9というモデルらしい。なぜこの銃なのか。ロシアン・マフィアとは結びつかない気がするが。チラリとだけヴェクター.45SMGも使う。

 チャイニーズ・マフィアで、実に憎たらしい感じを良く出していたのは、幹部のクワンを演じたレジー・リー。TVに良く出ているが、映画ではストリート・カー・レース映画「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米/独)や戦争映画製作コメディ「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」(Tropic Thunder・2008・米/独)、最近では傑作バットマン映画「ダークナイト・ライジング」(The Dark Knight Rises・2012・米/英)に出ていたらしい。使っていた銃は、シルバー・スライドのグロック。

 チャイニーズ・マフィアのボスはジェームズ・ホン。伝説的SFアクション「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米/香/英)で目玉職人をやっていた人。汚職警官のボス、ウルフ警部はロバート・ジョン・バーク。TVに良く出ている人で、映画ではSFアクション「ロボコップ3」(RoboCop 3・1993・米)や西部劇「トゥームストーン」(Tombstone・1993・米)に出ている。

 監督・脚本は、ボアズ・イェーキン。脚本家としてキャリアをスタートさせた人で、初期にはドルフ・ラングレン版の「パニッシャー」(The Punisher・1989・豪/米)やイーストウッドの「ルーキー」(The Rookie・1990・米)を書いている。脚本はアクションものが多いようだが、自身の監督では実話に基づいたスポ根もの「タイタンズを忘れない」(Remember the Titans・2000・米)やベビーシッター・コメディ「アップタウン・ガールズ」(Uptown Girls・2003・米)など通常のドラマが多い。

 エンド・クレジットを見ていたら、ケヴィン・スペイシーの名前を発見。なんと本作の製作総指揮を務めている。傑作ミステリー「ユージュアル・サスペクツ」(The Usual Suspects・1995・米/独)や傑作アクション「交渉人」(The Negotiator・1998・独/米)の名優だ。話題となった「ソーシャル・ネットワーク」(The Social Network・2010・米)も、自分は出演せず製作総指揮を務めている。

 ほかに登場した銃器は、警官が持っているオートS&W・M5946、チャイニーズ・マフィアがグロック、マイクロ・ウージ、イングラムM10など。ロシアン・マフフィアは、若頭がやはりシルバー・スライドのグロック。NYPDもメインはグロック、SMGはMP5Kのフォアグリップを取外したもの。ラスト、知事の恋人はカー・アームズの9mm口径P9を使う。

 タイトルのセイフは「安全」の意味かと思ったら、どうも「金庫」という方の意味だったようだ。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、早くも小劇場に移動。わずか1週間で……人が入らなかったのか。まあこの出来ではしようがないかも。10分前に開場。最初は25人くらいいて、ほぼ中高年のオヤジ。女性は3人ほど。最終的には127席に6割ほどの入り。これはつらいか。

 明るいまま始まったCMで、スペインの「シッチェス映画祭」の6作品が上映されるという。どれも見たい作品ばかりだっが、上映館が……。パス。

 やや暗になってからの予告編で気になったのは……上下マスクのベン・アフレック監督作品「アルゴ」は新予告に。なんと前売り券がないという。ポイントは使えるのだろうか。見たいのになあ。こういうのはワーナーに多い気がするが……。10/26公開。

 ティーザーなのでよくわからないが、上下マスクの「砂漠でサーモン・フィッシング」は面白いんだろうか。単なる王様のわがままを聞く話? 12/8公開。

 前作が残念だっただけに、逆に気になっていた上下マスク「ゴーストライダー2」は新予告に。予告は以外と面白そう。はたして……。2/8公開。

 上下マスクの「ラストスタンド」はシュワルツェネッガー主演復帰第1弾作品だそうで、あの歳のとり方でアクションの主演が張れるのか。「グッド・バッド・ウィアード」(The Good, the Bad, the Weird・2008・韓)のキム・ジウン監督が、ハリウッド・システムの中でどこまでやれるのか。4/27公開。

 上下マスクの「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」はダニエル・ラドクリフの日本語入りビデオ・メッセージ付き予告。かなり怖そうで期待してしまう。12/1公開。

 スクリーンが左右に広がって、盗撮・海賊版のあと暗くなって本編へ。


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