The Cold Light of Day


2012年10月28日(日)「シャドー・チェイサー」

THE COLD LIGHT OF DAY・2012・米/西・1時間33分

日本語字幕:細丸ゴシック体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(Arri)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米PG-13指定)


公式サイト
http://www.shadowchaser.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

スペインにあるアメリカ大使館に勤める父マーティン(ブルース・ウィリス)と、母ローリー(キャロライン・グッドオール)、そして弟のジョシュ(ラフィ・ガヴロン)らに会うため、アメリカから長男のウィル(ヘンリー・ガヴィル)がやって来る。彼は自分の会社を経営していたが、経営難に陥っており、そのうえ飛行機に積んだはずの荷物がサンフランシスコにあるなど、トラブル続き。翌日家族で大型ヨットでクルーズに出かけるが、出発してすぐ父にケータイを海に捨てられ、その騒ぎで弟の恋人が怪我したため、薬を買うついでに電話をしてくるとウィル1人が、泳いで町に戻る。ところが、戻ってみるとヨットには荒らされた跡があり、だれも乗っていない。すぐに警察に届けると、逆に連れ去られそうになり、思わず逃げ出してしまう。あやうく捕まりそうになったとき、父が現れ助けてくれるが「これは俺のせいだ」と、とんでもない告白を始める。

73点

1つ前へ一覧へ次へ
 公式サイトの劇場案内では「新宿ミラノ」となっていたが、実際には系列の「シネマスクエアとうきゅう」での上映。ここでまずガッカリ。混んだら、どの席からもスクリーンが良く見えない。しかもIMDbでは4.8点という低評価。

 しかし、ボクは面白かった。あまり気分の良い映画ではないが、よく出来たお話だと思う。アクション・シーンでカメラが動き過ぎ、よくわからないところも多かったけど……。

 最初、ちょっとウンザリな感じの家族の断絶ストーリーかと思わせて、ヨットで沖に出るとそれがミステリー事件に発展。それを警察に届け出ると、そこから逃走劇が始まって、気が付けばスパイ・アクションになっているという具合。後半は男女1組の逃走劇で「ボーン・レガシー」(The Bourne Legacy・2012・米ほか)のような雰囲気もあった。

 確かに、主人公の青年が最初、嫌な感じで登場するため、ちょっと感情移入しにくいというか、感情的に応援しにくいという面はある。しかも、あまり知られていない人だし。ただ、脇を固めるのが、父親役にブルース・ウィリス、事件の鍵を握るやり手の謎の女にシガーニー・ウィーヴァーと、超大物。よく出てくれたなあと。2人とも出ずっばりではないが、ブルース・ウィリスが主に前半、シガーニー・ウィーヴァーが後半に大活躍する。顔見せだけかと思ったら、意外や意外。特に、シガーニー・ウィーヴァーの後半のキレ具合は半端じゃなく、凄い迫力。女ターミネーターなみ。こんな役、初めてではないだろうか。その意味でも面白い。

 主役のウィルはヘンリー・ガヴィル。どこかで見たなあと思っていたら、ロバート・デ・ニーロが出たファンタジー「スターダスト」(Stardust・2007・英/米ほか)に出ていたらしい。最近ではターセム・シン監督の「インモータルズ-神々の戦い-」(Immortals・2011・米)で主演を演じている。このあとスーパーマンのリスタート版「マン・オブ・スチール」でも主演を演じるという。本作は、キャラクターがもう少しナイス・ガイならかなり印象が違ったと思う。セイフ・ハウスにあったタウルスPT92を使う。

 父役のブルース・ウィリスは映画出まくり。2012年だけでも大小合わせて6本も出ている。2カ月に1本のペースで、これでは休むヒマもないだろう。よっぽど映画が好きなのか、お金が必要に理由があるのか。いずれにしても、彼のような大物が、小さな作品にも出てくれるというのは、名もないプロデューサーや監督、脚本家などの無名映画人にとっては嬉しいことだろう。お金でないとしたら、素晴らしい人だと思う。たぶんかもうすでに大金は稼いでいるだろうし。本作の前に出ていたのが大予算の派手な「エクスペンダブルズ2」(The Expendables 2・2012・米)なんだから。

 正体不明で登場する謎の女キャラックを演じたのはシガーニー・ウィーヴァー。この人ももはや大女優、よく出てくれたものだ。しかもラストには銃を撃ちまくり。「エイリアン2」(Aliens・1986・米/英)を超えるくらいの勢い。「エイリアン3」(Alien3・1992・米)の時には銃を使わないなら出るといったらしいが……。本作は、珍しく悪役で、兵器で人を殺す感じが見事。怖かった。権力を持った悪いヤツは手に負えないと。すばらしい。使っていたハンドガンはタウルス・ミレニアム。サブマシンガンはサイレンサーをつけたマイクロ・ウージー。マグ・チェンジまでして見せている。

 途中から一緒に逃げることになる女性、ルシーアはヴェロニカ・エチェギ。スペインの女優さんで、日本公開された作品はない模様。かわいそうなのはキャラクターが魅力的ではないこと。ヒステリーのように甲高い声でわめき立て、カンに触る。もう少し魅力的な役だったら美人に見えただろうに。本作が初の英語作品なんだとか。うむむ。

 殺し屋の男はたぶんジョゼフ・マウル。イギリスの人で、主にTVで活躍してきたらしい。顔は厳つくないが、なかなか怖い感じで良かった。これから公開される「リンカーン/秘密の書」に出ているらしい。使っていた銃はグロック。狙撃に使ったライフルは二脚にベルサ・ポッドを使っていたが、銃種を忘れてしまった。

 誘拐犯の男ザヒールはロシュディ・ゼム。フランス生れで、実話に基づいた「あるいは裏切りという名の犬」(36 Quai des Orfevres・2004・仏)や、「ゴー・ファースト 潜入捜査官」(Go Fast・2008・仏)では特殊部隊員役で主演していた。

 脚本は製作総指揮も兼ねるスコット・ワイパーとジョン・ペトロの2人。IMDbによれば、スコット・ワイパーは経歴としては役者として一番多くの作品に出ていて7本、脚本が6本、監督が5本。プロデューサーが3本というところ。公式サイトではBBCのカメラマン出身で「エリザベス」(Elizabeth・1998・英)でアカデミー撮影賞受賞にノミネートとあるが、説明文が撮影監督のレミ・アデファラシンと入れ違っているようだ。最近の監督・脚本作品に小劇場公開で見ていないが「監獄島」(The Condemned・2007・米)がある。ジョン・ペトロはTVプロデューサーで、ストーリー・プロデューサーという役もやっていて、脚本はTVも含め初めてらしい。

 監督はマブルク・エル・メクリ。チュニジア系フランス人だそうで、自虐ネタを盛り込んだアクション・コメディ「その男ヴァン・ダム」(JCVD・2008・ベルギーほか)が評価されて本作につながったらしい。今後期待かもしれない。シネスコ・サイズでカメラをむやみに動かさないでくれれば。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席自由で、45分前くらいに着いたらシャッター前に1人。その後、間違って来るオバサンが4人ほどいたが、20分前くらいにシャッターが開いて、15分前くらいに開場。どこに座っても前席に誰かに座られたらスクリーンがよく見えなくなる劇場なので、始まるまでドキドキ。混まないとは思うが、それを祈るしかない。最終的には細長い224席に10人ほど。ほとんど中高年男性で、やや若そうな人が1人か2人。ここも「銀座シネパトス」みたいにオヤジ劇場になるのか。

 チャイムの後アナウンスがあって、カーテンが上にあがり暗くなって始まった予告で気になったのは……上下マスク、マチュー・カソヴィッツの「裏切りの戦場 葬られた誓い」はかなり面白そうなのだが、この劇場ではなあ……。11/24公開。

 上下マスク、ニコラス・ケイジの「ゲット・バック」も銀行強盗の話で面白そう。上映館はミラノだが、何と前売りがない! 見たいのに。11/10公開。

 上下マスク「ルーパー」はアクションSFのようで、かなり面白そう。ブルース・ウィリスとジョセフ・ゴードン=レヴィットが出ている。時間を飛び越えて来る犯罪者を殺すのが仕事か何とか。現れる場所にショットガンを構えて待っている。そこへ30年後の自分が現れて……。劇場次第だけれど、見たい! 1/12公開。

 ミュージカルらしい「レ・ミゼラブル」は新予告に。とてもお金のかかった、スケールの大きな映画のよう。12/21公開。


1つ前へ一覧へ次へ