Stolen


2012年11月16日(金)「ゲットバック」

STOLEN・2012・米・1時間35分(IMDbでは96分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、李静華/シネスコ・サイズ(マスク、Arri、Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts

(米R指定)


公式サイト
http://www.getback-movie.com/
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

アメリカ、ニューオーリンズ。頭脳派の腕利き強盗ウィル・モンゴメリー(ニコラス・ケイジ)は、FBIがタレコミによりダイヤモンド取引所に包囲網を巡らす中、仲間のヴィンセント(ジョシュ・ルーカス)、ライリー(マリン・アッカーマン)、ホイト(M・C・ゲイニー)とともに隣接する玩具店から侵入する。そして山のようにある金の延べ棒には目もくれず、現金を強奪するが、逃走途中でヴィンセントが路地にいた男に顔を見られ、銃をとり出して射殺しようとする。しかし人を殺さないポリシーのウィルともみ合ううち銃が暴発、ヴィンセントの足を撃ち抜いてしまう。ヴィンセントを逃走用のバンへ運んでいるうちにパトカーが接近、ウィルが金を入れたバッグを取りに戻るが、ドライバーのホイトはバンを発車させてしまう。ウィルは逮捕直前、罪を軽くするため強奪した1,000万ドルの現金をすべて焼却する。8年後、仲間のことを一切話さなかったウィルが釈放される。すぐに娘のアリソン(サミ・ゲイル)い会いに行くが、直後にアリソンはヴィンセントに誘拐され、1,000万ドルの分け前をよこせと脅される。

73点

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 IMDbでは5.3点というヒドイ評価だが、面白かった。ラスト、最後の最後は何の意味もないと思うが、テンポも良く、アクション満載で騙し騙されもあり、楽しめた。前売り券もないので、迷った揚げ句、ちょうどほかに見たい作品が無かったので、ダメモトで見たが大スクリーンで3Dでやってるバンパイア映画よりずっと良かった。

 確かに甘いところはある。クールさが無く詰めの甘いFBI捜査官(いまどき「フレンチ・コネクション」(The French Connection・1971・米)のポパイみたいなハットを被っている)、舞台がマルディグラに沸くニューオーリンズだとかありがちで、平気で渋滞の車の上を走ったり、池でなかなか車が沈まないとか、ラストのトリックはすぐバレることだし……。

 それでも、良くできたお話で、細部をじっくり描くことで作り手の一生懸命さが伝わってくる。金庫破りも、ホントにできるのかどうかわからないが、ちょっと頭の良さそうな手で、映画的。鮮やか。カー・チェイスも思った以上に長く、過激で、本格的。そっちがメインかと思ってしまうほど。よくある話でも、描き方、アレンジ、演出で、違った感じで見せられると。

 FBIの特殊部隊SWATはM4カービン、特別捜査官はグロック。P226もあったかもしれない。ヴィンセントが冒頭使うのが、一瞬しか見えないがたぶんUSP。8年後のホイトが持っているのはたぶん.357マグナムのM686、2.5インチ、ラウンド・バット。ハンマー・ノーズがあったように見えたので、1990年代よりも前のモデルではないだろうか。ただでかい人なので、.44マグナムが小さく見えたのかもしれない。M629。ひょっとすると3インチの可能性も。FBIのショットガンはショート・バレル、ピストル・グリップ・ストックなしのポンプ・アクション。メーカーは不明。8年後のヴィンセントが持っていたサイレンサー付きのオートはガバメントのように見えた。ウィルが地下で距離を測るのに使っていたのは、レーザー式距離計。ちょっと前までは赤色レーザーだったが、最近はより視認性の高いグリーン・レーザーを使うそうで、本作でもグリーンだった。ケータイはほとんどブラックベリー。

 主演のニコラス・ケイジはB級映画に出まくり。2012年は本作だけだが、2011年に5本も出ており、2.4カ月に1本のペース。2011年にニューオーリンズで泥酔して逮捕されたり、浪費家で金銭的問題を抱えていたりして、どんどん仕事をしなければならないという理由もあるのだろうが、積極的に新人監督の作品にも出ているようでその点は素晴らしいのではないだろうか。最近見たのは仮面家族の強盗ストーリー「ブレイクアウト」(Tresspass・2011・米)と代理殺人の「ハングリー・ラビット」(Seeking Justice・2011・米)か。2013年には期待の「キックアス2」など8本以上が公開されるらしい。

 相手役のヴィンセントはジョシュ・ルーカス。悪役が多い人で、SF戦争アクション「ステルス」(Stealth・2005・米)はめずらしいく良い役で、印象に残った。本作では8年後に見るも無残な姿で現れ、驚かせてくれる。しかもデジタルのたまものだろう、片足が明らかな義足で、それにもびっくり。手首には「戦」の旧字のイレズミ。

 あまり活躍しないが、メンバーの紅一点ライリーはマリン・アッカーマン。ブルース・ウィリスの悪党映画「キリング・ショット」(Catch .44・2011・米)で女殺し屋の1人をやっていた人。最近はミュージカル「ロック・オブ・エイジス」(Rock of Ages・2012・米)でトム・クルーズとエロイ絡みを演じていた。売り出し中で、公開を控えている作品が10本以上もある。

 FBIの主任のようなハーランドはダニー・ヒューストン。悪役が多い人だが、本作ではまともなFBI。アンジェリカ・ヒューストンは姉。最近メル・ギブソンの「復讐捜査線」(Edge of Darkness・2010・英/米)で娘が勤める会社の社長、残念なスペクタクル・アドベンかチャー大作「タイタンの逆襲」(Wrath of the Titans・2012・米/西)ではポセイドンを演じている。

 そのFBIの部下のフレッチャーはマーク・ヴァレー。主にTVの「フリンジ」や「ヒューマン・ターゲット」などで活躍しているようだが、ちょっとコミカルな雰囲気があって、すぐにダマされる人の良さとか、いい雰囲気。

 脚本はデヴィッド・グッゲンハイム。雑誌の編集者からの転身。映画のデビュー作はデンゼル・ワシントンの「デンジャラス・ラン」(Safe House・2012・米/南ア)。アクション・サスペンスが得意なようだ。今後も期待できそう。

 監督はイギリスBBC出身のサイモン・ウェスト。ニコラス・ケイジのアクション「コン・エアー」(Con Air・1997・米)で劇場映画監督デビュー。次々と話題作を手掛け。TVの「ヒューマン・ターゲット」も監督している。最近ではリメイク・アクションの「メカニック」(The Mechanic・2011・米)、スタローンのヒット作「エクスペンダブルズ2」(The Expendables 2・2012・米)を監督している。アクションで素晴らしい手腕を発揮する人のようだ。監督作としては3本ほどが公開を待っている。期待したい。

 1本のラインが延びて行ってというソール・バス風のタイトルはステファン・ブルレなんとかいう人。読み切れなかった。

 公開7日目の初回、といっても渋谷その劇場の3回目、平日の16時30分からの回も全席して入れ替え制。午前中に確保しておいて、25分ほど前に着いて、ロビーで待つ。前回終了、清掃後、15分前くらいに入れ替え。さすがに平日のそれも14時台では人がいない。300席にオヤジが3人、オバサンが1人。

 半暗で始まった予告で気になったのは……上下マスクの「マリー・アントワネットに別れをつげて」は、フランスの話なのにやっぱり英語で、どうも侍女の同性愛的な片思いの話らしい。ただ衣装やセットは豪華絢爛。しかもフランス革命といった歴史劇的なものもあるようだ。たった3日間を描いたものらしいが。

 上下マスク、マシュー・カソヴィッツ監督の「裏切りの戦場 葬られた誓い」は非常に興味深いのだが、いかんせん上映劇場が……。残念。

 上下マスク「ルーパー」はしばらく見かけなかったので、忘れかけていた。ブルース・ウィリスとジョセフ・ゴードン=レヴィットのSFアクション。どうにか良い劇場でもやるようなので、見る決心が付いた。あまり宣伝・予告していないのが気になるが……。

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになってから、DLPシネマのサラウンドのデモの後、本編へ。


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