Lockout


2012年11月25日(日)「ロックアウト」

LOCKOUT・2012・仏・1時間35分

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、Red One)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)


公式サイト
http://lockout.jp/
(音に注意、全国の劇場リストもあり)

アメリカ、ワシントンDC。CIA工作員のスノー(ガイ・ピアース)は国家安全保障省により機密情報漏えいと殺人の現行犯で逮捕され、新しく完成予定の宇宙ステーションの刑務所、50万人の収容が可能になるMS ONE重犯罪刑務所で30年「静止」(冷凍睡眠)の刑が決定する。ちょうどそのころ、大統領の長女エミリー(マギー・グレイス)は、人権団体の代表としてMS ONEに調査に訪れていた。そもそも「静止」が実験ではないのか、そして犯罪者を使って人体実験をしているのではないかというのだ。最も凶暴な囚人ハイデル(ジョゼフ・ギルガン)にインタビューを始めると、シークレット・サービスの銃を盗んで逃亡、囚人たちを目覚めさせてしまう。刑務所の職員、技術者、エミリーら一行も人質となってしまう。そこで、CIAのハリー(レニー・ジェームズ)は大統領にスノーを使うことを提案し、スノーには無実を証明する男メイス(ティム・プレスター)が収監されていることを告げ、ミッションを受けさせる。

72点

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 まあ良くも悪くもリュック・ベッソン印。フランス映画というよりはハリウッド映画という感じ。全部英語で、出演者もほとんど英語圏の人たちだし。そして、オリジナル・ストーリーはリュック・ベッソンということになっているものの、全体としては「ニューヨーク1997」(Escape from New York・1981・英/米)だし、 個々のエピソードはどこかで見たようなものばかり。地球側の舞台はニューヨークだし。主人公はスネークじゃくてスノー。おいおい。これでよくオリジナルと言えるよなあ。

 ただ、悪役の憎たらしさ、異常さ、悪さ加減は半端ではない。アクションはなかなか切れ味が良い。これがなかったら、どこにでもあるB級映画になるところ。ギリギリでちょっと見どころができたかなと。

 感情はほとんど伝わってこない。SFとは言えリアリティもなし。まず第一に、裁判なしで刑務所に送るか? しかもこんなでかい刑務所が国際的なものでは無く、スポンサーが付いているとは言え、アメリカのものって。軌道上の宇宙ステーションにある警察はLAPDならぬLOPD。国家安全保障省の長官が直々取り調べをやっているし。子供だましのマンガかこれは。

 いかにもの、タフでちょい悪ヒーロー。絵に書いたようなヤツ。臭いセリフ回しに、ふてぶてしい態度。これも「ニューヨーク1997」と一緒だが、さらに酷くなっている。あやうくコメディになるところ。皮一枚でこらえている。人によっては笑いまくりかもしれない。さすがベッソン! それでも平均的なポイントは取る。

 引きのカットの3D-CGはまるで古いゲームのデモ画面のようで、動きが不自然で、いかにもCGといった絵。ホワイト・ハウスもCGっぽかった。宇宙ステーションはリアルだったが、宇宙船はおもちゃっぽいし。ラストなんてほとんど「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)のラスト、デス・スターの爆破と一緒。そして斜体の字幕はジャギーが目だち、白バックだと正体でもジャギーが出るという低解像度。まさか内容に合わせたとか……。

 スノー役のガイ・ピアースは最近良くスクリーンで見る印象。つい最近「プロメテウス」(Prometheus・2012・米/英)にウェイランド社の社長役で出ていた。公開を控えている作品も4本ほどあり、絶好調か。使っていた銃はベレッタの90TWOとレール付きのMP5。

 大統領の娘はマギー・グレイス。リュック・ベッソンながら面白かった「96時間」(Taken・2008・仏)に娘役で出ていた人。「96時間」の続編にも出るそうだが、はたしてどうか。

 CIAの上司、ハリーはレニー・ジェームズ。同じくベッソン印の女性アクション「コロンビアーナ」(Colombiana・2011・仏)にも捜査官役で出ていた。

 国家安全保障省の長官はピーター・ストーメア。バリバリの悪役。メル・ギブソンの「キック・オーバー」(How I Spent My Summer Vacation・2012・米)でちょっとだけアメリカのギャングのボス役で顔見せしていた。

 強烈な悪を放っていたハイデル役はジョセフ・ギルガン。イギリスではもっぱらTVで活躍しているようで、今後は映画での活躍も期待したい。使っていたリボルバーはフランスらしくマニューランのMR96かと思ったら、imfdbではタウルスM608とあった。確かにトリガー・ガードが丸いか。

 脚本はプロデューサーのリュック・ベッソンはじめ、監督のスティーブン・レジャーとジェイムズ・マザーの3人。リュック・ベッソンは面白いものもあるが、作り過ぎで薄く浅いものが多い印象。

 脚本も手掛けた監督のスティーブン・レジャーとジェイムズ・マザーはダブリンの映画学校で知り合って、以来ずっとコンビでやってきたらしい。ジェイムズ・マザーは1993年から短編を中心に撮影監督としてキャリアーを積んでいるが、スティーブン・レジャーは本作が劇場長編映画は始めての模様。さて、次の作品がどうか。

 ほかに登場した銃は、大統領の娘のシークレット・サービスが刑務所内にアンクル・ホルスターで隠し持っていくのがグロック26。刑務所のガードはベレッタPx4、ベネリM3ショットガン、モスバーグなどを装備しており、一部マルゼンのCA870も使われていたようだ。突入する警察が使っていたのはM4カービン。宇宙船にはヴァルカン砲が搭載されていた。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。10分ほど前に開場し場内へ。客層はほとんど中高年、女性は1/5ほどと少なかった。入場時に、アナウンスがある前に中高年のオヤジが集まったと思ったら本作の入場だった。最終的に157席に5割くらいの入り。若い人は3〜4人というところ。

 気になった予告編は……ダイヤモンドゆかいに似た人が出ている上下マスク「ホビット」は日本語ナレーションでの予告。12/14公開。あとはだいたい同じものばかり。

 スクリーの上が下がってきてシネスコ・サイズになって本編へ。まだまだ人が入ってくる。


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