Ted


2013年1月19日(土)「テッド」

TED・2012・米・1時間46分(IMDbではアンレイト版112分)

日本語字幕:手書き風書体下、市種譲二/ビスタ・サイズ(シネスコに左右マスク上映、デジタル、HDCAM、with Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日R15+指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://ted-movie.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1985年、アメリカ、ボストン。8歳の少年ジョン・ベネット(マーク・ウォールバーグ)は、イジメられっ子からも避けられる典型的な友達ができないタイプ。クリスマスのプレゼントにしゃべるクマのぬいぐるみをもらい、テディと名付け真剣に神様に一生一緒にいられる友達が欲しいと祈る。翌朝、テディ(声:セス・マクファーレン)に魂が宿り、自分で歩き、話ができるようになっている。この話はすぐに全米に知れ渡り、テディは超有名人になる。27年後のいま、テディはオヤジ化し、ジョンは4年前から恋人のロリー・コリンズ(ミラ・クニス)と付き合っていたが、テディとずっと一緒に暮し大人になりきれず、プロポーズすることもできないでいた。

76点

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 かなりの毒と、度を越したエロと、日本では考えられないハッパの常習と、1980年代のネタをちりばめた、異色の大人のおとぎ話コメディ。酷い部分はかなり酷いが、かわいらしいぬいぐるみの外観がそれを和らげ、ギリギリで一線を超えることはない。だから笑えるのと、意外とさわやかというかすっきりした後味。しかも、ナレーションを使ったり、往年のロマンティック・コメディを彷彿とさせる作り方。つまり、若い人から、中高年まで楽しめると。ラストはストップ・モーションになり、そして実話の映画化のように、それぞれがその後どうなったかが語られる。

 気になったのは日本語字幕で、ちょっと大きめな感じがしたのと、無理に英語のギャグのところで笑わせようとして、「ガチャピンとムック」とか「七五三」とか日本的なネタを入れたり、必要もないのに赤ちゃん言葉で「ハグちて」「だいちゅき」とか、吹替なら良いとしても、読みにくくてしようがない。英語のギャグはわからなくてもしようがない。いじるよりそのままにしておけばいいのに。気になったら、気になった人が調べればいい。または公式サイトやプログラムで解説すればいい。昔から日本語字幕はそんなお節介があった。せっかくのコメディがシラケル。興ざめ。

 「サタデー・ナイト・フィーバー」(Saturday Night Fever・1977・米)、「愛と青春の旅だち」(An Officer and a Gentleman・1982・米)。「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)、「フラッシュ・ゴードン」(Flash Gordon・1980・米)、「ジャックとジル」(Jack and Jill・2011・米)など映画オタク的な内容も盛りだくさんで、ジャスティン・ビーバーやスーザン・ボイルとかリアルな有名人の名前も実名でバンバン出てくる。ダメな方の「スーパーマン」とか(顔写真入りで!)、ほとんどはこき下ろされている。しかも、「フラッシュ・ゴードン」の主役のサム・ジョーンズ、「トップガン」(Top Gun・1986・米)のトム・スケリット、歌手のノラ・ジョーンズなんかは本人が本人役で出ている。よくこれでOKしたなと。

 テッドのアパートにサム・ジョーンズがやってくるパーティのシーンはまるで「ティファニーで朝食を」(Breakfast at Tiffany's・1961・米)のようだった。どんちゃん騒ぎをやって東洋人がうるさいとクレームをつけてくる。意識して作っていないのかも知れないが、映画ファンにはピンとくるのではないだろうか。これはきっとDVDとかBDでじっくりと楽しむのに向いているのではないだろうか。

 それに、何より、テディの実在感が半端ない。本当に動いて一緒に撮影しているみたい。おやじっぽくなっているが、かわいい。一部毛が擦り切れていて、ちょっと薄汚れた感じも絶妙。ジョンとの殴り合いのケンカのシーンもリアルだった。手は、中に人の手が入っているように動いてたし、そこも逆にリアルだった。

 ただ、コカインはダメだけれど大麻はOKみたいな風潮と、うんこネタはどうかと思うなあ。

 ジョン・ベネット役のマーク・ウォールバーグは、こういったおバカな役もハマるが、やっぱりアクションものでカッコいい印象。ただ銃は嫌いだそうで、本人的にはこういう役の方がやりたいのだろう。「ミニミニ大作戦」(The Italian Job・2003・米/仏/英)や「ザ・シューター/極大射程」(Shooter・2007・米)が良かった気がする。最近はプロデューサー業もよくやっているようだ。

 恋人のロリー・コリンズはミラ・クニス。デンゼル・ワシントンの「ザ・ウォーカー」(The Book of Eli・2010・米)のヒロインや、見ていないのだがナタリー・ポートマンの「ブラック・スワン」(Black Swan・2010・米)でライバルを演じていたらしい。日本劇場未公開のコメディ「デイト&ナイト」(Date Night・2010・米)でマーク・ウォールバーグと共演している。

 変態でいかにも怪しい、テッドのファンという子供の父親はジョヴァンニ・リビシ。ミリタリー・ミステリーの「閉ざされた森」(Basic・2003・米/独)のエキセントリックな感じが本作に通じる。最近では世界的な大ヒットSF「アバター」(Avatar・2009・米/英)で、企業側の金儲けしか頭にない男を演じていた。

 クレジットなしだが、職場の中古車販売センターの同僚の芸のお友達役で、クレジットなしでライアン・レイノルズが出ている。

 テディの声、原案、脚本、製作、監督を1人でこなしているのがセス・マクファーレン。アメリカの人気TVアニメ「ファミリー・ガイ」(Family Guy・1999〜2003、2005〜)のクリエーターだそうで、本作の公式サイトによるとパイロート版をほとんど1人で作ったらしい。吹替も担当しており、声優としての活躍も多い。ミラ・クニスは「ファミリー・ガイ」で声優もやっている。日本でもちょっと話題になったTVドラマ「フラッシュフォワード」(FlashForward・2009〜2010)でFBIエージェントを演じていたらしい。はやくも「テッド2」の製作が決定したらしい。

 公開2日目の初回、六本木の劇場は全席指定。前日にムビチケで座席予約をしておき、30分前に到着ししたらまもなく劇場の入り口が開き、vitで入場券を印刷。座席予約で劇場まで行かなくてすむので、時間もお金も節約できる。通常の前売り券より100円高いが、むしろ割安。今回チケットを買ったときにムビチケ・ホルダーをもらった。20枚入るようになっているが、もう半分埋まった。

 例によってこの劇場も明るいままニュースを流すので良く見えない。とくに暗いシーンは何が写っているのやら。スクリーンはシネスコで開いており、ほぼ暗くなってから左右マスクでCMも予告も上映。シネスコはなぜか四角のわく付き。新しい予告では……。

 最近見かけなくなった「ジャンゴ 繋がれざる者」が四角枠で予告再開。内容はこれまでと一緒。3/1公開。

 独身女子コメディ「バチェロレッテ あの子が結婚するなんて」はキルティン・ダンスト主演。女子版「ハングオーバー」(The Hangover・2009・米)的な感じは日本ではどうか。2/22公開。

 わく付きのコメディ「世界にひとつのプレイブック」は本年度アカデミー賞8部門ノミネートだそうだが、予告はイマイチの感じだったけど……。2/22公開。

 とにかく場内ではケータイを切れ。液晶がまぶしい。メール・チェックは外に出てからロビーでやれ。それにしても、なぜシネスコの左右マスクで上映したんだろう。ビスタでやればいいのに。


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