A Good Day to Die Hard


2013年2月17日(日)「ダイ・ハード ラスト・デイ」

A GOOD DAY TO DIE HARD・2013・米・1時間38分(IMDbでは97分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/ビスタ・サイズ(Arri、Super 35)/ドルビーATOMOS、DATASAT、SDDS

(米R指定、日PG12指定)(日本語吹替版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/diehard-lastday/
(音に注意。情報少ない。全国の劇場リストもあり)

モスクワで、テロリストの大物ユーリ・コマロフ(セバスチャン・コッホ)が逮捕される。政界の大物チャガーリン(セルゲイ・コレスニコフ)はコマロフにあのファイルを渡せば助けると提案するが、コマロフはそれを拒否。チャガーリンは部下にファイルの入手を指示する。その頃、アメリカ、NY市警のジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、数年前から音信不通だった息子のジャック(ジェイ・コートニー)がモスクワで逮捕されたことを知らされ、面会のためモスクワへ向かう。ジョンはモスクワに着くと裁判所に向かうが、裁判所近くに停めた高級車が次々と爆発、壁に大穴が開き、裁判所にいたジャックはコマノフと一緒にバンを奪って脱走する。それをチャガーリンの部下が追跡、さらにジョンがそれを追跡することになる。

74点

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 シリーズ第5作はファンの期待を裏切らない「ダイ・ハード」のパターン通りの痛快活劇。おもしろい。ぜひ大スクリーンでご覧になることをオススメしたい。ただ、上映時間1時間半ほどというのは、短くは感じなかったが、解決までがストレート過ぎる気がした。ヒネリは1つちゃんと入っているから、これ以上ひねらなくて良いと思うけれど、もうひと山かふた山あっても良かったのではないだろうか。お膝元、アメリカじゃなく、他所の国のロシアで展開する事件だから、あまり暴れられなかったということもあるのだろうけど。そのせいかIMDbではわずかに6.0点。

 基本、「ダイ・ハード」ではジョン・マクレーンは、いつも事件に巻き込まれる。そして、いつも事件に巻き込まれるときは、公務以外(休暇中か停職中)。いつも相手を怒らせる。どんなにピンチになっても切り抜ける。なかなか死なない。ラストに敵(ラス・ボスかどうかは別として)は落とされる。敵の目的はいつも「金」。そしてハッピーエンド。わかってはいるけれど面白い。

 見せ方がうまい。アクションも、派手。ただ、デジタル技術が進歩し過ぎて、合成がわからなくなってきて、とても信じられないようなシーンまで使われるようになってきた。予告でも良くやっていた、息子と二人でビルの窓を突き破って飛び降り、横をヘリコプターが一緒に墜落し、ガラスの天井を突き破って落ちていくというもの。これで無事ってことはないだろう。危険過ぎるスタントだし、デジタルでやっているのだろうが、こんなマンガ的な設定が必要だろうかとは感じてしまう。人間がやれる範囲でやった方が良いのではないかと。

 ラストにヘリがやって来て主人公たちが隠れている建物に攻撃を仕掛けるが、このシーンのイメージが「007スカイフォール」(Skyfall・2012・英/米)そっくりに感じた。厳密には違うのだろうが、公開時期が近いためそっくりの印象を受ける。たぶん本作は「007」にやられた、と思ったことだろう。こういうアイディアは先やったもの勝ち。

 銃器はロシアのギャングがマカロフ、AK74M、MP5、AUG、ついでにRPGまで。リーダーのアリクはレール付きのAUGにグレネード・ランチャーまで付けている。一方、息子のジャックはホテルの最上階のダンス・ホールへ行くときノーリンコの.22口径4連発のたぶん89式ナイフ・ピストルをブーツに隠していく。そして撃ち合いでは父のジョンがポンプ・ショットガン(だぶんレミントンのM870)、息子のジャックがワッフル・パターンのマガジンを付けたAKを使う。

 コマロフの娘イリーナが使うのはベレッタPx4コンパクト。ダンス・ホールを攻撃するヘリはミグMi-24ハインド。30mm連装砲を撃ちまくる。トレーサー、落ちる薬莢、銃声、どれもスゴイ迫力。マクレーン親子がチェルノブイリに乗り込むときは、盗んだ車のトランクに合ったアメリカDSA社がFN FALをカスタムしたSA85OSWを息子が、7.62mmSCAR-Hを父が使う。最初父には水平二連のソード・オフ・ショットガンを渡し「あんたと同じオールド・スクールだ」というギャグがある。ハンドガンはP226か229か。戦いの後、落ちていたショットガンに12連発(モデルによる)のケルテックのKSGがあった。その後、父ジョンはミニミM249を乱射する。そしてガス管が破れたところで、輸送ヘリMi-26ヘイローからの機関砲攻撃を受けてそのフロアーが爆発する。

 当然、武器係、アーマラーは多い。撮影国ごとに必要になるからだ。本作はハンガリーでも撮影されているようで、ハンガリーのアーマラーが関わっているようだ。IMDbのスタッフ・リストにはなかったが、エンド・ロールではメインのアーマラーはマイケル・パパック。「ダイ・ハード」シリーズや「リーサル・ウェポン」シリーズを手掛けてきた人で、最近ではブルース・ウィリスのアクション「RED/レッド」(Red・2010・米)を手掛けている。

 見ていてちょっと気になったのは、日本語訳がやっぱりちょっとヘン。たとえば叫んでるロシアのギャングをジョンが射殺するとき、字幕は「ロシア語なんか使うな」と出るが、それまでの流れ、ギャグの雰囲気、オチから言っても、英語でもそう言っていた気がする「ロシア語はわからない」で良いと思うのだが。その後で「撃たないでくれと言ったんだ」とか言うセリフがあるわけだし。これは個人的なニュアンスの問題なのだろうけれど、気になった。

 タイトルはヒッチコックの「北北西に進路をとれ」(North by Northwest・1959・米)でソール・バスが手掛けたようなラインが延びて行くパターン。タイトル・プロデューサーはデヴィッド・ミッジョンという人。最近では残念だったヴァンパイア映画「リンカーン/秘密の書」(Abraham Lincoln: Vampire Hunter・2012・米/西)のタイトルを手掛けている。4月公開予定の「ヒッチコック」(Hitchcock・2012・米)も手掛けているらしい。

 それにしても「ダイ・ハード」シリーズ初めてのビスタ・サイズではないだろうか。これまで4本はみなシネスコ・サイズだった(「4」はマスクだが)。なぜだろう。アクションにタイトさを出したかったのか。それともカメラを動かしたかったのか。格下げになったのか。

 主演はもちろん、最近映画に出まくりのブルース・ウィリスだが、その息子ジョンを演じたのは、ジェイ・コートニー。オーストラリア出身で、アーストラリアのTVに出ており、TV歴史ドラマ「スパルタカス」(Spartacus: Blood and Sand・2010〜・米)からアメリカへ進出。「アウトロー」(Jack Reacher・2012・米)でトム・クルーズの敵役に選ばれて一気にメジャーの仲間入りしたらしい。このあと2作に出ているようだが、それらがどう評価されるか。

 最初と終わりにちょっとだけ出ているのが、娘のルーシー役の美女メアリー・エリザベス・ウィンステッド。2007年の前作から引き続きの出演。ずいぶんと大人になった印象。

 脚本はスキップ・ウッズ。面白かったアクション「ソードフィッシュ」(Swordfish・2001・米/豪)や「ヒットマン」(Hitman・2007・仏/米)、痛快SFアクション「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(X-Men Origins: Wolverine・2009・米)、「特攻野郎AチームTHE MOVIE」(The A Team・2010・米)などを書いている。アクションに強い人のようだ。

 監督はジョン・ムーア。アイルランド生れで、1人脱出アクション「エネミー・ライン」(Behind Enemy Lines・2001・米)で劇場長編映画へ進出した人。リメイクの「フライト・オブ・フェニックス」(Flight of the Phoenix・2004・米)や、残念なホラー「オーメン」(The Omen・2006・米)、ゲームの映画化だが小劇場公開で見ていない「マックス・ペイン」(Max Payne・2008・加/米)を監督している。やはりアクションが向いていると言うことだろう。

 公開4日目の初回、六本木の劇場は全席指定で、ムビチケで金曜に座席予約。往復の電車賃がかからないので、通常の前売りより100円高くても、時間も節約できて結局はお得。9時ちょっと前に着いたら、めずらしく入口はすでに開いていた。vitで入場券を印刷して劇場前に行くと15分前くらいに開場となった。この時点では17〜18人。女性は7〜8人。若い人から中高年までわりと幅広い。例によって、携帯の電源は切りましょうのメッセージが流れてもあちこちで煌々と液晶を光らせている。遅れてくるヤツが多くはっきりわからなかったが、最終的に644席に4割くらいの入りは、朝一としては優秀ではないだろうか。

 気になった予告編は……またあのシリーズの続編が作られるらしい。ガリレオ「真夏の方程式」はティーザーで内容は不明。6/29公開。

 「県庁おもてなし課」は、なんだか「県庁の星」(2006・日)の柳の下を思わせるが、予告からはどうなのかわからなかった。5/11公開。

 上下マスクの「図書館戦争」は新予告に。戦争と言うだけあって、かなりガン・アクションがあるらしい。89式も使われているようだ。

 上下マスク「G.I.ジョー バック2リベンジ」はまたまた3D上映らしい。ということはかなり不安だ。予告ではほとんどニンジャ映画のよう。

 上下マスク「ジャックと天空の巨人」は日本語吹替での予告。スクリーンが大きいと口の動きと声があわないから違和感ありまくり。3D上映もあるのは、異世界を描くファンタジーとしてはアリなのかもしれない。3/22公開。

 モノクロ、スタンダード・サイズから始まり、異世界にたどり着くとカラー、上下マスクのシネスコ・サイズに広がる「オズ はじまりの戦い」は新予告。面白そう。もちろん3D上映もあり。これはいいのでは。3/8公開。

 上下マスクの「世界にひとつのプレイブック」は、アカデミー賞候補作なのに、予告ではちっとも面白さが伝わってこない。なぜなんだろう。

 上下マスクの「ジャッキー・コーガン」はピラッド・ピットのダークなヤクザ・アクション。人名をタイトルにしている点では「アウトロー」の原題「ジャック・リーチャー」と同じ。ただし、こちらはチンピラでまさにアウトロー。チーフのシリンダーを振って入れるようなヤツ。4/26公開。

 それにしても、予告ではタイトルを早めに出してくれないかなあ。できればずっと出しておいてほしい。とても短時間で覚えきれない。最悪はラストに一瞬だけ出すヤツ。無理だって。


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