Red Lights


2013年2月17日(日)「レッド・ライト」

RED LIGHTS・2012・西/米・1時間53分

日本語字幕:丸ゴシック体下、長澤達也/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビー・デジタル

(米R指定)

公式サイト
http://gacchi.jp/movies/red-light/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

超常現象や超能力の専門家のマーガレット・マシスン博士(シガーニー・ウィーヴァー)と助手のトム・バックリー博士(キリアン・マーフィ)は、科学的なアプローチで数々のインチキを暴いてきた。そんなある日、1975年に引退した超能力者のサイモン・シルバー(ロバート・デ・ニーロ)が復帰したという情報がもたらされる。トムはインチキだから暴こうと言うが、マーガレットはサイモンと過去に対決して完敗したことがあり、危険な男だから近づくなと言う。諦めきれないトムは内緒でサイモンをつけ回し、電気器具が壊れたり、鳥が窓ガラスに激突してきたり、さまざまな異常現象に見舞われる。

76点

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 かなり衝撃的な映画。そしてかなり怖い。さすがスペイン映画という感じ。非常に映画的でもあり、そんなに大きなスケールの話でもないのに、話は膨らんでいき、惹きつけられる。IMDbでは6.1点だが、ボクは面白かった。

 特に面白いのが、定石ではあるが、まずゾッとするような超常現象を見せながら、それをキチンと説明して否定して見せる。その過程が面白い。有名なソ連時代の超能力者という実写映像や、座禅を組んで空中に浮いて写真に納まっている男まである。人は簡単にダマされてしまうと。インチキな嫌らしいヤツらを見せられ、許せないという気持ちになったところで、今度はどちらかわからない本物っぽいヤツが現れる。どうなんだと。もう目が離せない。しかも、否定派のリーダーが、名女優シガーニー・ウィーヴァーで、最強の超能力者がロバート・デ・ニーロなので、どちらもめちゃくちゃ説得力があるのだ。主演はいかにもミステリアスな雰囲気たっぷりのキリアン・マーフィ。観客もどうなのかわからなくなる。配役からしてうまい!

 ただ、多少は語り足りない感じはある。語り過ぎて陳腐になるのを避け、映画的な手法で省略していったのだろうが、頭の悪いボクには付いて行くのがやっとという部分もあった。色んな人が見るわけで、このさじ加減は非常にむずかしいと思うが。

 キリアン・マーフィは「麦の穂を揺らす風」(The Wind That Shakes the Barley・2006・アイルランド/英ほか)が印象的だったが、その後も体躯の「ダークナイト」(The Dark Knight・2008・米/英)や「インセプション」(Inception・2010・米/英)で素晴らしい存在感を見せていた。なんだか2年ごとに良い作品に出ている感じ。この人はスゴイ。

 マーガレット・マシスン博士を演じたシガーニー・ウィーヴァーも最近B級を問わず、映画に出まくりの感じ。途中でいなくなってしまうが、やっぱりうまいので存在感がある。「ギャラクシー・クエスト」(Galaxy Quest・1999・米)のようなパロディSFアクションでコミカルな役もやるが、「アバター」(Avatar・2009・米/英)のようなSFファンタジー・アドベンチャー大作でも、かつての主演出世作「エイリアン」(Alien・1979・米/英)のような役もまだまだやれる。最近は「シャドー・チェイサー」(Cold Light of Day・2012・米/西)で悪役を演じ銃をぶっ放していた。年に2〜3本出ている感じ。使っていたPCはMacBook。

 超能力者のサイモン・シルバーはロバート・デ・ニーロ。セリフは少ないが、この怖さは半端ではない。さすがスターのオーラとでも言おうか。この人も良く映画に出ている。そのため残念な作品も多いが、ときどき「世界にひとつのプレイブック」(Silver Linings Playbook・2012・米)のようにオスカー賞候補になるような注目作にも当たる。ただ大作にはほとんど出ていない感じもする。コメディ、ホラー、アクションまさに千変万化、変幻自在。つい最近見たのはアクションの「キラー・エリート」(Killer Elite・2011・米/豪)だったろうか。なんと公開を控えている作品が8本もある。さすが売れっ子。

 監督・脚本は16歳の時に8mもで作品を撮り始めたというロドリゴ・コルテス。ボクは感心しなかったが、カメラはずっと棺の中という手法が斬新で注目されたライアン・レイノルズの独り芝居「[リミット]」(Buried・2010・西/米/仏)の監督。監督より脚本の方が多い人で、この前に「[アパートメント:143]」(Emergo・2011・西)の脚本を書いているが、小劇場での限定公開で見ていない。だいたいはホラーとかサスペンス系の人らしい。「[リミット]」のようなトリッキーなものでなく、本作のような感じで次も作ってくれたら良いと思う。

 公開3日目の初回(といってもほとんどお昼)、六本木の劇場は全席指定で、金曜にムビチケで確保。10分前に開場となって場内へ。男女比はほぼ半々くらい。ほとんど中高年。それでも、始まるまで場内でゲームをやっているヤツもいる。外でやれ。最終的には、124席にたぶん5割くらいの入り。多いと思ったら、キャパ自体が小さかった。

 気になった予告編は……ほとんどほかの劇場と同じ。上下マスクの「バチェロレッテ あの子が結婚するなんて」は女子版「ハングオーバー」(The Hangover・2009・米)的な感じ。どうしてアメリカは「ファンダンゴ」(Fandango・1985・米)など、この手のバカ騒ぎが好きなんだろう。日本人的には「引く」。2/22公開。

 暗くなって、スクリーンが左右に広がって本編へ。原題のレッド・ライトとは、多くの意味があるが、劇中でシガーニー・ウィーヴァー演じるマーガレット博士が「多くの普通のものの中で、場違いなものをさす言葉」だと語っている。そしてレッド・ライトには不協和音という意味もあり、劇中何回か不協和音も音響効果として使われている。


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