Oz the Great and Powerful


2013年3月10日(日)「オズ はじまりの戦い」

OZ THE GREAT AND POWERFUL・2013・米・2時間10分

日本語字幕:フチ付き丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(デジタル、Red Epic)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG指定)(日本語吹替版、3D上映、IMAX版もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/oz-hajimari/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1905年、カンザスシティで巡回サーカスの奇術師オズ(ジェームズ・フランコ)は、売り上げのほとんどを自分のものにし、サクラを演じる女性アシスタントにはオルゴールを贈って片っ端から手を出していた。そんなある日、妹に手を出された団員の大男が乗り込んできたため、熱気球に乗って逃げるが、すぐ近くに竜巻が発生しており、巻き込まれてしまう。オズが思わず「生まれ変わる。もう一度チャンスを」と神に祈ると、極彩色の巨大な花々が咲き乱れる不思議な世界にたどり着く。そこへセオドラと名乗る美女(ミラ・クニス)が現れて「あなたは魔術師か」と聞く。思わずそうだと答えると「予言によりこのオズの国を治める次の王になるのはあなただ」という。そして「ただし王になるためには、悪い魔女を倒さなければならない」と。姉のエヴァノラ(レイチェル・ワイズ)がいるというエメラルド・シティのお城へ向かう途中、蔦に絡まって逃れられなくなっている翼の生えた猿のフィンリー(声:ザック・プラフ)を助けてやると、一生付いて行くと家来になる。オズと面会したエヴァノラは金銀財宝の山を見せながら、ダーク・フォレストにいる悪い魔女を退治するには、杖を奪って折れば良いと教える。オズとフィンリーがダーク・フォレストへ向かう途中、陶器の町で怪我をした陶器の少女(声:ジョーイ・キング)を助けると、彼女も一緒に行くと言う。

75点

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 有名な「オズの魔法使い」の前日譚。良くできたお話で、ちゃんと「オズ……」につながるように終わる。これは続編が作られるのだろうか。それでいて、ブリッジ的なお話ではぜんぜん無くて、ちゃんと1つの物語として成立している。この世界観。それは「アバター」(Avatar・2009・米/英)や「アリス・イン・ワンダーランド」(Alice in Wonderland・2010・米)に通ずるものだけれど、あえて言えば、まるでディズニーランドの世界に迷い込んだような感じ。あそこに行けば、大人も子供も、皆童心に帰ってしまう。これはそういう映画という気がした。いけ好かない男が大冒険を経て人間的に成長しまともな人間になる、というよくあるパターンだが、それを実に面白く見せる。

 ただ、さすがに、ラストで魔女たちが宙を飛んで、手や杖から光線を出して戦ってしまうと、ちょっと引いてしまう。やりすぎだったのでは。ハリウッドのパターン過ぎる。それに対して、知恵を使って、手品的トリックの手法で戦うシーンは面白かった。このレベルで、あまり無理をせず魔法合戦をやってくれたら良かったのに。そこだけが惜しい。

 奇術師オズはジェームズ・フランコ。サム・ライミ監督の「スパイダーマン」(Spider-Man・2002・米)シリーズで注目されるようになった。その後、非常にたくさんの作品に出ているもののボク的には「フライボーイズ」(Flyboys・2006・英/米)が良かったが、あとはパッとしなかった。本作は久々のハリウッド大作という感じだろう。

 後半、見にくい魔女になってしまうセオドラを演じたのは、ウクライナ出身の美女ミラ・クニス。デンゼル・ワシントンの「ザ・ウォーカー」(The Book of Eli・2010・米)でヒロインを演じていた人。その後ナタリー・ポートマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞した「ブラック・スワン」(Black Swan・2010・米)でポートマンのライバルを、ファンタジー・コメディの「テッド」(Ted・2012・米)では、マーク・ウォールバーグの恋人を演じていた。本作で、改めてものすごい美女だったことを痛感した。

 セオドアの姉の魔女、エヴァノラはレイチェル・ワイズ。さすがの貫録、なかなか怖い。「ナイロビの蜂」(The Constant Gardener・2005・英/独ほか)でアカデミー助演女優賞を受賞。「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」(The Mummy・1999・米)のようなファンタジーにも出る人で、本作も違和感はなかったのだろう。つい最近アクションの「ボーン・レガシー」(The Bourne Legacy・2012・米)に出ていた。ボク的には「スターリングラード」(Enemy at the Gate・2001・米/独ほか)や「ニューオーリンズ・トライアル」(Runaway Jury・2003・米)が好きだが。

 良い魔女グリンダはミシェル・ウィリアムズ。「ブロークバック・マウンテン」(Brokeback Mountain・2005・米/加)でアカデミー助演女優賞候補となり、エロティックでショッキングなミステリー「彼が二度愛したS」(Deception・2008・米)でSを演じていた美女。見ていないが「マリリン 7日間の恋」(My Week with Marilyn・2011・英/米)でマリリン・モンローそっくりになっていて驚いた。でも、それらの作品の中で、最も美しかったのは「彼が二度愛したS」かな。マリリン・モンローも良かったけど、メイクで印象が凄く変わる人のようだ。

 たしか元の世界で奇術師オズの助手フランクを演じていたザック・プラフが猿のフィンリーの声も担当している。この辺は実世界とこの世界を対比させる狙いだろう。ほとんどTVで活躍していた人で、ディズニーのCGアニメ「チキン・リトル」(Chiken Little・2005・米)では主役の声を担当している。

 同様に実世界で車いすの少女を演じていたジョーイ・キングが陶器の少女の声も担当している。1999年生れの13歳で、TVの子役だが、最近は映画が多い模様。SF戦争映画「世界侵略:ロサンゼルス決戦」(Battle Los Angeles・2011・米)や「ダークナイトライジング」(The Dark Knight Rises・2012・米/英)に出ている。

 ちなみに、サム・ライミ作品の常連、「キャプテン・スーパーマーケット」(Army of Darkness・1992・米)やTVドラの「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」(Burn Notice・2007〜・米)のブルース・キャンベルは、城の門番で出ているらしい。

 脚本はミッチェル・カプナーとデヴィッド・リンゼイ=アベアーの2人。ミッチェル・カプナーはジェット・リーのアクション「ロミオ・マスト・ダイ」(Romeo Must Die・2000・米)のストーリーや、ブルース・ウィリスのコミカル・アクション「隣のヒットマン」(The Hole Nine Yards・2000・米)の脚本を書いた人。一方、デヴィッド・リンゼイ=アベアーはCGアニメの「ロボッツ」(Robots・2005・米)や、見ていないがニコール・キッドマンの「ラビット・ホール」(Rabbot Hole・2010・米)などを書いているらしい。こちらはドラマ系の人か。その2人を合体させたと。

 監督はサム・ライミ。最近は監督よりプロデューサーとしての活躍の方が目だつ感じだが、もともとはスプラッター系の監督。近々、監督デビュー作「死霊のはらわた」(Evil Dead・1981・米)がリメイクされるという(なんとも邦題がすごい)。「ダークマン」(Darkman・1990・米)ではリーアム・ニーソンが主演していた。これも良かったが、ボク的には「キャプテン・スーパーマーケット」がいい。西部劇の「クイック&デッド」(The Quick and the Dead・1995・米/日)あたりから、スプラッター系ではない作品も撮るようになっていった感じ。「スパイダーマン」(Spider-Man・2002・米)シリーズのヒットは記憶に新しいのに、映画会社はそれをリメイクしてしまったからビックリ。本作の前に「スペル」(Drag Me to Hell・2009・米)を撮っているが、これはイマイチだった。ブルース・キャンベルとはデビュー作からずっと一緒にやっている。

 公開3日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。初回は小さい劇場だったのでパス。3Dは大きなスクリーンで見たかったわけだが、立体感はあったものの、これが立体映画?という感じ。特に3Dの必要は感じられなかった。

 観客層は若い人から中高年まで幅広く、若い人が目だっていた。下は小学生くらいから。メインは20代くらいの若い層。男女比は4対6くらいで女性が多かった。最終的に607席の7.5割くらいが埋まった。さすが話題作。

 気になった予告編は……シルベスター・スタローンが刺青入れまくりでプロの殺し屋を演じる「バレット」はヤクザっぽい雰囲気が溢れていて、ちょっと引いてしまうが、スタローンはスタローン。どこにいても、どんなときもスタローンという感じ。1,000個限定の前売りはサイン入りの弾丸ストラップ付きだとか。6/1公開。

 上下マスクの「ローン・レンジャー」は。ローン・レンジャーの相棒、先住民のトントをジョニー・デップが演じる西部劇。往年のTV番組の映画化ということになるのだろう。映画らしいスケールの大ききなアクション・アドベンチャー。素晴らしい景色に、撃ち合いもたっぷりあるようだ。ジョニー・デップで言う「キモサベ(友よ)」が、どうにも面白くて良かった。「ハイヨー、シルバー」「インディアン、ウソつかない」ってか。8/2公開。

 上下マスク「アイアンマン3」はシリーズ最後になるのだろうか、「さらば」とか言っていたが。なんとアイアンマンがたくさん。全員集合とか言っていた。やっぱり3Dか。前売りにはフィギュアが付く。4/26公開。

 スクリーンが左右に広がってシネスコサイズになって……日本のゲームキャラがたくさん登場する「シュガー・ラッシュ」は日本語ナレーション。子供向けらしい。2Dでも3D感はある。ゲームの悪役キャラが、もう悪役はやめたいというらしい。3/23公開。

 左右マスクで、モノクロ、スタンダードで本編スタート。オズの世界に入って、左右のマスクが広がり、色が付いて行くところは感動的だった。「ブレインストーム」(Brainstorm・1983・米)や「ギャラクシー・クエスト」(Galaxy Quest・1999・米)でも使われたので新鮮さや驚きはないが、世界が変わった感じがして良かった。


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