The Cabin in the Woods


2013年3月14日(木)「キャビン」

THE CABIN IN THE WOODS・2011・米・1時間35分

日本語字幕:フチ付き丸ゴシック体下、川俣勝利/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日本R15+指定)

公式サイト
http://cabin-movie.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

大学生のデイナ(クリステン・コノリー)は最近つきあっていた教授と別れたばかりで落ち込み気味。そこでルーム・メイトのジュールス(アンナ・ハッチンソン)の彼氏、カート(クリス・ヘムズワース)の従兄弟が所有する山奥のキャビンで仲間たちと週末を過ごすことに。同行するのは、ジュールスとカートがデイナとくっつけたがっている好青年のホールデン(ジェシー・ウィリアムズ)と、ハッパを常用している変わり者のマーティ(フラン・クランツ)。5人はキャンピング・カーで山に向かい、途中で閉店したガソリン・スタンドに寄り、怪しげなオーナーのモーデカイ(ティム・デ・ザーン)から「そんなところへ行って、帰れなくなっても知らん」と言われるが、かまわず車を進める。実は、そのキャビンは、ある施設から遠隔操作されていた。

73点

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 驚きの血まみれ映画。「13日の金曜日」(Friday the 13th・1980・米)などのホラー映画、スプラッター映画で繰返し描かれてきた、バカな若者たちが人里離れた山小屋でどんちゃん騒ぎの末、1人ずつ惨殺されていくという定番の設定を使い、もうひとヒネリ加え、ラストにはまれに見るトンデモ映画になる作品。しかも救いがない。やりたい放題のやり逃げ、一歩手前くらい。観客を怒らせるところまではやらない。その辺は責任を持っているというところだろうか。

 トンデモない展開で、確かに「その先は絶対に予想できない」かもしれないが、こんなオチはトンデモすぎて誰も考えつかない。リアルに作る気はなかったらしい。リアルだったらラストにお金持ちの残酷趣味のグループが出てきて、ちゃんちゃん、とハリウッド的な終わりになっていたかもしれない。途中で、すでにリアリティ番組と明かしているし。でも、ラストにあんなのが出てきて終わるなんて。ハッパ吸ってるし。

 予告や公式サイトでハードル上げ過ぎ。「あなたの想像力なんて。たかが知れてる」って、この展開はホラー好きやモンスター好き、スプラッター好き、パニック好きには大受けかもしれないが、ちょっと稚拙じゃないだろうか。あそこまでハードルをあげちゃうと……。まあコメディ風味にしたかったのかなあ。

 ただハリウッドの定番をそっくりなぞりながらひっくり返していて、その点は面白い。エロとバカと血しぶき。痛烈な皮肉なのかもしれない。だったら、このくらいまでやれよと。この吹っ切り具合は素晴らしく、徹底的にやってくれる。最後は邪悪なものの満漢全席状態。これはすごい。ちょっとだけチープだけど。CGっぽい大蛇とか、「ヘル・レイザー」(Hellraiser・1987・英)の魔道士みたいなヤツとか(球体のパズルを持ってるけど)。「13日の金曜日」のホッケー・マスクの代わりの陶器のお面(?)とか。「CUBE」(Cube・1997・加)の立方体のようなエレベーターとか。……貧乏人のポルシェみたいな。施設の新人トルーマンは「トゥルーマン・ショー」(The Truman Show・1998・米)の? オマージュと言えばオマージュで、パロディと言えばパロディ。

 比較的まともな方の美女デイナは、クリステン・コノリー。残念なスリラー「ハプニング」(The Happening・2008・米/印/仏)や「レボルーショナリー・ロード/燃え尽きるまで」(Revolutionary Road・2008・米/英)などの小さな役、そしてTVを経て本作へ。作品に恵まれればブレイクしそうな感じ。

 ルーム・メイトのジュールスはニュージーランド生れのアンナ・ハッチンソン。2009年にオーストラリアで大ヒットしたTVドラマに出演していたことから、本作につながるらしい。最新作はアメリカのTVドラマ「スパルタカス」(Spartacus: Blood and Sand・2010〜・米)とか。

 マッチョ系おバカ男は、なんとクリス・ヘムズワース。他でヒーローをやっているのに、こんな役をやるなんて。まあ「マイティ・ソー」(Thor・2011・米)はどうかと思うけど、アメリカでは評価が高いようなので大丈夫か。「スノーホワイト」(Snow White and the Huntsman・2012・米)も「アベンジャーズ」(The Avengers・2012・米)も残念だと思うけど。

 ハッパ中毒のマーティはフラン・クランツ。たくさんの映画に小さな役で出ていて、デンゼル・ワシントンが悪役を演じた「トレーニング・デイ」(Training Day・2001・米/豪)や、M・ナイト・シャマランの残念な「ヴィレッジ」(The Village・2004・米)にも出ていたらしい。「ヴィレッジ」ではシガニー・ウィーヴァーと共演している。

 そのシガーニー・ウィーヴァーは友情出演的に最後にディレクター役で登場。最近よくB級にも出ている。しかも本作ではオノによる壮絶な死に様。大女優なのにやるなあ。

 銃は、研究所の警備員がベレッタPx4、として特殊部隊がSG552系のカービン、陰で事件を操っているハドリーが使うのがMP5K。武器係はロバート・フォーニア。最近だと「特攻野郎AチームTHE MOVIE」(The A-Team・2010・米)を手掛けている。

 オープニングのクレジットは赤い文字で血しぶきが着いたような演出。それが煙のように消える。いい雰囲気だ。担当したのはPIC。

 脚本はプロデューサーでもあるジョス・ウェドンと、監督でもあるドリュー・ゴダード。ジョス・ウェドンは父の祖父も脚本家だそうで、TVシリーズのきっかけとなった「バッフィ/ザ・バンパイア・キラー」(Buffy the Vampire Slayer・1992・米)や、CGアニメブームのきっかけとなった「トイ・ストーリー」(Toy Story・1995・米)、ジャン・ピルール・ジュネの「エイリアン4」(Alien: Resurection・1997・米)などの脚本を手掛けている。それでシガーニー・ウィーヴァーが出ているのか。本作のお陰か、最近残念な(アメリカでの評価はめちゃめちゃ高い)「アベンジャーズ」(The Avengers・2012・米)の監督・脚本・原案をやっている。

 ドリュー・ゴダードは、ジョス・ウェドンの原案のTV版「バフィー〜恋する十字架〜」(Buffy the Vampire Slayer・1997〜2003・米)の脚本を書いている。他にも人気シリーズの「LOST」やスパイ・アクションの「エイリアス」を書いている。劇場作品では手持ちカメラが不快だった「クローバーフィールド/HAKAISHA」(Cloverfield・2008・米)を書いている。このあと「クローバーフィールド」の続編と、スピルバーグが手掛ける「ロボカリプス」を書いているらしい。

 公開6日目の初回、平日なので座席を確保せず40分前くらいに着いたら、豊洲の劇場はすでにカウンターも空いていて、各劇場も開場済み。座席だけ確保してスタバを飲みに。20分前くらいに戻り場内へ。スクリーンはシネスコで開き、10分前くらいから案内の上映。明るいままだったが、ここはスクリーンが良く見える。なのであまりストレスはない。

 観客層はほぼオヤジ。若い男性が2人、若い女性が1人。最終的にはスクリーンの大きな114席に12〜15人くらい。平日のそれも初回はこんなものだろう。っていうか、どんな人が来ているんだろう。

 気になった予告編は……だいたい同じ様なものばかりで、日本映画はいまひとつ見たいという気になるものが無く……「らくごえいが」はその名の通り、落語を実写化したもので、何編かのオムニバスになるらしい。ちょっと地味? 4/6公開。

 四角い枠の「死霊のはらわた」はリメイクで、現在技術と演出法で、より怖くリアルにリメイクしたと。かなりヤバそうな感じ。血まみれ。怖い。5/3公開。

 四角の枠の「フッテージ」は、引っ越したらしい家の屋根裏で発見された5本の8mmフィルムに5つの殺人が映っていたというもの。主演はイーサン・ホーク。かなり怖そう。5/11公開。


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