Platinum Data


2013年3月17日(日)「プラチナデータ」

2011・東宝/電通/ジェイ・ストーム/幻冬舎/ジェイアール東日本企画/日本出版販売/Yahoo! JAPAN・2時間13分

シネスコ・サイズ/ドルビー・デジタル



公式サイト
http://www.platinadata.jp/index.html
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

遠くない未来、ついにDNAをデータ化して分析し犯罪捜査に活用するシステムが完成し、それを実際に事件に使う時がやって来る。連続幼児誘拐殺人事件で発見された毛髪から犯人が特定され、プロファイリングにより人相まで描き出される。警視庁捜査一課の浅間玲司(豊川悦司)が、警察庁(NPA)科学捜査機関「特殊解析研究所」(SARI)のシステムの責任者、神楽龍平(二宮和也)の推薦により、捜査担当者に指名される。浅間班はすぐに犯人を逮捕する。その3ヶ月後、新世紀大学病院(SUH)で、DNA分析システムのプログラミングを担当した蓼科兄妹が何者かに射殺され、しかも妹の蓼科早樹(たてしなさき、水原希子)は肋骨を1本抜かれていた。これはシステムで検索を掛けても該当データがないNF13と呼ばれる連続殺人犯の手口だった。しかし監視カメラのデータを分析すると、なぜか神楽が殺害現場を訪れていることが判明する。さらに、被害者の爪の間からDNAが発見され、分析の結果、犯人は神楽と断定される。新世紀大学病院の精神科の医師で、DNA分析システムの設計にも関わった水上利枝子教授(鈴木保奈美)により、彼が精神科の治療を受けており、二重人格であることが明かされる。

75点

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 予告では、犯罪捜査にDNAを利用する未来的SFミステリー、「マイノリティ・リポート」(Minority Report・2002・米)のような話かと思ったら、それもあるけれどそれがメインではなく、そのシステム構築にからむSFというより正統派の警察ミステリー的お話。主人公がシステムに追われることになるというから、てっきり「マイリティ・リポート」的だと思ったのに。たしかに、予告でシステム設計者は二重人格と、重要なカギまで明かしていて、おかしいとは思った。映画が始まると、まもなくそれを明かしているし。話はそこからだった。この完璧なシステムで犯人と断定された男は、果たして無実なのか。無実だとしたら、何があったのか。

 なるほど、そっちか。考えて見れば東野圭吾の原作なのだから、安直に「マイリティ・リポート」をなぞることはしないだろうし、やはり泣かせるような真相が隠されていなければならないだろう。同じ様なテーマでも、この辺が日本とハリウッドの違い、エンターテインメントの違いというところだろうか。それに、アイドルでもある二宮和也が単なる二重人格の犯罪者ということはないわな。それではイメージが悪過ぎる。ということは、必ずやどんでん返しがあるはずだ。そして、明かされる真実は結構重く、ずっしりと心に来る。

 二重人格の神楽龍平は二宮和也。「GANTZ」(2010・日)シリーズではかなりアクションもこなしている。まあ何と言っても良かったのは「硫黄島からの手紙」(Letters from Iwo Jima・2006・米)だろう。

 殺人課の刑事、浅間玲司は豊川悦司。TVの「NIGHT HEAD」(1992〜1993)が強烈だったが、ボク的にはハリウッドでラッセル・クロウと共演した「NO WAY BACK/逃走遊戯」(No Way Back・1995・米)が良かった。最近では残念な「20世紀少年」(2008・日)シリーズに出ていた。

 精神科医の水上利枝子は鈴木保奈美。「のぼうの城」(2011・日)から芸能界復帰したようで、ほんさくではかなり出番がある重要な役。TVドラマの「東京ラブストーリー」(1991・日)は強烈だった。もちろん美しいが、年齢的なものもあり、さすがにかわいさはなくなった感じ。

 天才プログラマーの蓼科早樹は水原希子。これまでに「ノルウェイの森」(2010・日)や「ヘルタースケルター」(2012・日)に出ているようだが、見ていない。本作ではセリフがほとんどないため、うまいのかどうか、よくわからない。CMやTVなどを見ている限りは、独特の味がいい雰囲気を醸し出しているようだが……。

 原作はベストセラー作家、東野圭吾の同名小説。これを浜田秀哉が脚本にした。主にTVで活躍している人で、「トリハダ」や「世にも奇妙な物語」、「絶対零度」などフジテレビ系が多いが、日テレ系の「ホカベン」も手掛けている。映画は「きな子〜見習い警察犬の物語〜」(2010・日)を書いている。

 監督は大友啓史。NHKで「ちゅらさん」や「龍馬伝」、映画の「ハゲタカ」(2009・日)を手掛け、退職後、時代劇の「るろうに剣心」(2012・日)をヒットさせたばかり。「るろうに……」は独特のアングルがあったりして個性が感じられたが、本作は手堅くまとまっている印象。

 登場した銃は、刑事がP230/232。犯人はPPK/S。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保。開場は15分前くらい。これも上映時間が長いので2回トイレに行って場内へ。観客層は10代くらいから中高年まで幅広かったが、メインは10〜20代の若い女性。最終的に607席の7割くらいが埋まったが、なんと8〜8.5割くらいは若い女性。ちょっと恥ずかしかった。これはそういう映画だったのか。

 気になった予告編は……堤真一は好きな役者だが「俺はまだ本気出してないだけ」はどうなんだろう。画質は酷かった。内容は良くわからなかったが、パラサイト・シングルが漫画家になる話らしい。6/15公開。

 同様にわからなかったのは「関西ジャニーズJr.の京都太秦行進曲!」。なんでしょ、これは? いわゆるアイドル映画というヤツか。3/30公開。

 これまたわからなかったのが「俺俺」。オレオレ詐欺のはなしらしいが、それでオレが増殖してしまうとか、なんとか。??。5/25公開。

 上下マスクの「藁の楯」は、USPの持ち方がシロートっぽかった。カップ&ソーサーだし、もっと上を握らないと、プロなんだから。松嶋菜々子の方がましかも。ハリウッド・レディだったけど。原作小説は面白かったが、果たして。三池監督だから期待できるか。4/26公開。

 「桜、ふたたびの加奈子」は色が浅く、コントラストがとても低いのに驚いた。これは、狙いなのか。だとしたら何を狙っているのだろう。内容より気になってしようがなかった。

 センシング技術を使って人の脳の中に侵入する「リアル〜完全なる首長竜の日〜」は、まったくサブ・タイトルの意味が不明。予告もティーザーで内容がわからない。ジェニファー・ロペスの「ザ・セル」(The Cell・2000・米/独)のような話か。どうも「このミス」の大賞作品らしいが……。ガバメントが出てきて撃っている。綾瀬はるかは持ち方がうまい。6/1公開。

 どうしても「県庁の星」(2006・日)を思い出してしまう「県庁おもてなし課」はライト・ノベル的作品か。5/11公開。

 スクリーンが左右に広がってから、福山雅治が出てきて「真夏の方程式」の予告。といってもティーザーで内容は全く不明。「ガリレオ」の続編か。6/29公開。


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