Iron Man 3


2013年4月28日(日)「アイアンマン3」

IRON MAN 3・2013・米/中・2時間13分

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri、Red)/ドルビー・デジタル、ドルビーATMOS、DATASAT(IMDbではSDDSも)

(米PG-13指定)(3D上映、日本語吹替版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://www.marvel-japan.com/movies/ironman3/
(全国の劇場リストもあり)

1999年、スイス、ベルン。アイアンマンになる前のトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)は、大晦日のパーティーで植物学者のマヤ・ハンセン(レベッカ・ホール)の部屋に行く途中、スタークとハンセンのファンと名乗る科学者アルドリッチ・キリアン(ガイ・ピアース)が出資してほしいものがあるから見てほしいと声をかけられ、20分で行くから屋上で待っていてくれと答える。しかし、マヤとベッドに行き、キリアンのことは忘れてしまう。そして現在、カリフォルニアのマリフの自宅で、トニーはペッパーと暮らし、腕に埋め込んだチップからリモート・コントローラーによってスーツを呼び寄せて装着できるアイアンマン・マーク24のテストを行っていた。そんなとき、全米のTVチャンネルが電波ジャックされ、マンダリンと名乗るテロリスト(ベン・キングスレー)から、クウェートのアメリカ軍基地を攻撃したという声明が流れる。

76点

1つ前へ一覧へ次へ
 おもしろい。すでにシリーズ3本目だというのに、まったく勢いを失っていない。次から次へと新しいアイディアを盛り込み、似たような話なのにちゃんと進化していて、観客を全く飽きさせない。むしろカッコよく、どんどん洗練されて行っている。アイアンマン・スーツもついにMk24か。よく考えつくなあ。リモコン操作と来た。そしていまホットなテロとの関わりまで。

 しかも、あの残念な「アベンジャーズ」(Avengers・2012・米)に参加していて、それを少し取り入れていながら、ああなっていない。さらにはチラシや公式サイトなどで「さらば--アイアンマン。」とか書かれているが、そんなことはなく、まるで世界の007のように、ラストに「アイアンマンはもどってくる」と字幕が出る。ファンにしたら拍手喝采だろう。

 ただ、133分と長いので若干もたつくところはあって、気が遠くなりかけはした。そこが惜しい。しかし、やはりとにかく悪役が憎たらしく、キャラクターが立っているのがなんとも素晴らしい。しかも、ちゃんとどんでん返しも用意されていて、意外な展開を見せる。

 「アベンジャーズ」(The Avengers・2012・米)では同じアイアンマンを演じていても良くなかったが、やっぱり本シリーズでは良い。ロバート・ダウニー・Jrがあってこそのトニー・スターク、アイアンマンだろう。もちろん「シャーロック・ホームズ」シリーズもいいのだが、それを上回る気がする。問題を起こさずガンバって欲しい。

 秘書から奥さんになったペッパー・ポッツはグウィネス・パルトロー。今回はスーツまで身に着けて、ちょっとだけ活躍する。普通のドラマをやりたいのかもしれないが、こういうあり得ないような作品にリアリティと感動を盛り込むことができるなら、それは普通のドラマで演技するよりもすごいことなのではないだろうか。最近はこのシリーズ以外では見かけない気がする。

 何と言っても良いのが悪役の科学者アルドリッチ・キリアンを演じるガイ・ピアース。悪役が良くないと主人公が生きてこない。この凶悪さは見事としかいようがない。「ハート・ロッカー」(The Hurt Locker・2008・米)や「英国王のスピーチ」(The King's Speech・2010・英/米/豪)のアカデミー作品にも出ているかと思えば、残念なホラー「ダーク・フェアリー」(Don't Be Afraid of the Dark・2010・米/豪/メキシコ)や、リュック・ベッソン印のお手軽アクション「ロックアウト」(Lockout・2012・仏)にも出ている。また面白いが低予算のB級ムービー「ハングリー・ラビット」(Seeking Justice・2011・米)にも出ている。すごいなあ。

 特にその存在感だけで観客を圧倒し、ミスガイドする重要な役回りのマンダリンを演じたのはアカデミー賞俳優のベン・キングスレー。怖くて、すっかりだまされた。やっぱりこの人はすごい。ブレイクした「ガンジー」(Gandhi・1982・英/印)以降、良い役から悪い役まで、大作には良く顔を出しているが、B級にも積極的に出ている。最近見たのは「ヒューゴの不思議な発明」(Hugo・2011・米)のメリエスだったか。公開予定の作品が10本もある。

 大統領役は「ビルとテッドの地獄旅行」(Bill & Ted's Bogus Journey・1991・米)で傑作な白塗りの死に神を演じたウィリアム・サドラー。トニー・スタークの研究室内に設置された人工知能J.A.R.V.I.S.の声は、SFバンバイア・アクション「プリースト」(Priest・2011・米)のポール・ベタニー。

 監督・脚本はシェーン・ブラック。「リーサル・ウェポン」(Lethal Weapon・1987・米)の脚本で注目された人で、シュワルツェネッガーの「プレデター」(Predator・1987・米)や「ロボコップ3」(Robocop 3・1993・米)では役者として出演している。監督としては、いつ公開されたかも良くわからないが「キスキス、バンバン」(Kiss Kiss Bang Bang・2005・米)についで2本目。いい感じだ。

 銃は、マンダリンの一味がAKM、AKSU、マンダリンがP7。途中、スタークはショート・サイレンサーの付いたイングラムを、空軍のジェームズ・ローディはM92のシルバーを使う。ほかにP229、グロックも出ていたようだった。

 ラスト、エンド・クレジットの後、2Dでトニー・スタークのセリフがある。早く出てしまった人は見られない。そしてその後に「トニー・スタークはもどってくる」という007のような文字。さらに、3Dにもどって「マイティ・ソー:ダーク・ワールド」の予告。2014年2月公開と。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保。当日は3Dということもあってか15分前くらいに開場。中高生くらいから、大学生、そして中高年までと幅広い。若い人が多く、たぶん全体の1/4ほど。最近では珍しいこと。フィギュアがらみということもあるのかもしれない。男女比は6対4くらいで、ちょっと男性の方が多かった。3Dだというのに遅れてくるヤツが多く、たぶん最終的には301席に7割ほどの入り。朝一にしては良い入りではないだろうか。

 気になった予告編は……上下マスク「ベルリンファィル」は韓国のスパイ映画。ハリウッドっぽい作りで、出演者がアジア人という感じ。銃撃シーンも多いようで、なかなかのアクション。気になる。劇場次第というところだが、ここで予告をやるということはここでかかるのか。7/13公開。

 上下マスクの「バレット」は新予告に。角刈りっぽい頭に、イレズミ……なんだかなあ。使ってる銃はグロックだし、こだわりが感じられない。でもウォルター・ヒル監督だから……6/1公開。

 上下マスクの「ローン・レンジャー」も新予告。キモサベだよなあ。8/2公開。

 スクリーンが左右に広がって、3Dめがねをおかけくださいと出てからやっと暗くなり「スター・トレック イントゥ・ダークネス」の予告。さすがにスゴイ迫力。予告はなかなかの立体感。8月公開。

 それに引き換え「G.I.ジョー バック2リベンジ」は立体感は今ひとつ。立体感のあるカットとないカットとがあったような気がする。それに予告編はカットが短過ぎて良くわからないから、より立体感を感じているヒマがない。6/8公開。

 「モンスターズ・ユニバーシティ」はビスタのはずなのだが記憶がない。左右マスクだったか。日本語吹替での予告。大人も楽しめるのか。7/6公開。


1つ前へ一覧へ次へ