Gangster Squad


2013年5月4日(土)「L.A.ギャングストーリー」

GANGSTER SQUAD ・2013・米・1時間53分

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(デジタル、with Panavision〈IMDbではArriも〉)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/gangstersquad/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1949年、アメリカ、ロサンゼルズ。戦争が終わり、人々はもどってきていたが、街は荒廃していた。そんな中、圧倒的な暴力でのし上がってきたのが、元ボクター差のミッキー・コーエン(ショーン・ペン)だった。ミッキーは判事、警察幹部、弁護士などもワイロで抱き込み、シカゴから来たギャングもたやすく殺してしまうほど力を誇っていた。しかし、警察の中にはそれを恐れない男達もいた。パーカー市警本部長(ニック・ノルティ)は、戦争でシルバースター勲章を獲得しているゲリラ戦の英雄ジョン・オマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン)を呼ぶと、記録に残らないゲリラ部隊を作り、ミッキーをL.A.から叩き出せと命じる。

74点

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 実話にインスパイアされて作られた映画。それが1920年代のローリング・トウェンティの話ではなくて、第二次世界大戦直後の1949年というから驚きだ。内容はほとんどギャング戦争。法律など全く無視し、殺人、暴行、強姦、売春、麻薬、ギャンブル……なんでも手掛けるギャングたちに、バッジを家に置き、ギャングたちと同じ手を使い、拠点を1つずつ潰して行くという違法手段で挑んだ男達。悪の暴力に屈しない彼らの姿は頼もしく、痛快で、カッコいい。

 もちろん悪は徹底して悪く、気味が悪いほど。やられたらやりかえす。復讐も半端ではない。街中でおおっぴらにマシンガンで撃ちあう事態に。それでもギャング部隊のメンバーはめげない。こちらもやり返す。

 ただ、なぜなのか良くわからないが、いまひとつギャングの怖さが伝わってこなかった。人を2台の車で引き裂いたり、電気ドリルで惨殺したり、とんでもない残酷さ。名優ショーン・ペンの迫真の演技もあって、すごいのだが、どうにも物語的な感じがしてしまうのだ。ギャング部隊もやられ、犠牲者が出るのに、どこか緊迫感がないというか。ほんのちょっとしたところなのだろうが……。

 ギャング部隊の創設を支持する武闘派のパーカー市警本部長はニック・ノルティ。実は裏でつながっていて……かと思ったら違った。ニック・ノルティと言えば海洋アクション「ザ・ディープ」(The Deep・1977・米)があるが、さすがにあの精悍さは無くなった。その分貫録がスゴイ。つい最近チョイ役でジェイソン・ステイサムの「PARKER/パーカー」(Parker・2013・米)に出ていた。

 ギャング部隊の隊長ジョン・オマラはジョシュ・ブローリン。最近では「ノーカントリー」(No Country for Old Men・2007・米)はもちろんとして、リメイク西部劇「トゥルー・グリッド」(True Grit・2010・米)も良かったし、「メン・イン・ブラック3」(Men in Black 3・2012・米ほか)も良かった。二枚目だし、どこか憎めない感じが良い。使っていた銃はガバメント。

 メンバーの1人、ミッキー・コーエンの女に手を出してしまう敏腕刑事ジェリー・ウーターズはライアン・ゴスリング。甘い顔の二枚目で、最近ではカンヌで話題となった「ドライヴ」(Drive・2011・米)が抜群に良かった。使っていた銃はコルト・ポケットM1903。

 黒人の巡査コールマン・ハリスはアンソニー・マッキー。戦争映画「ハート・ ロッカー」(The Hurt Locker・2008・米)に爆発物処理班員役で出ていた人で、SF感動作「アジャストメント」(The Adjustment Bureau・2011・米)でもいい味を出していた。最近のSFアクション「リンカーン/秘密の書」(Abraham Lincoln: Vampire Hunter・2012・米)はかなり残念だったが。使っていた銃はシルバーにめっきされたコルト・ディテクティブ。

 盗聴の名手コンウェル・キーラー巡査はジョヴァンニ・リビシ。何か裏切りそうな雰囲気を持っているところがミソ。最近ではSF超大作「アバター」(Avatar・2009・米/英)の開発会社のこすい男や「テッド」(Ted・2012・米)の変態父親役でいい味を出していた。

 射撃の名手、ベテラン巡査のマックス・ケナードはロバート・パトリック。言わずとしれた「ターミネーター2」(Terminator 2: Judgement Day・1991・米/仏)のT1000。最近「デンジャラス・ラン」(Safe House・2012・米/南ア)でCIA特殊部隊の隊長を演じていた。その前にTVドラマ「ザ・ユニット米軍極秘部隊」(2006〜2009・米)シリーズで4シーズンも特殊部隊の隊長を演じているのでイメージが固まったのかも。使っていた銃はコルトSAA。もちろん1人だけガン・ベルトを締めている。鮮やかなスピンとファニングを見せていたが、アドバイザーにマーク・リードの名はなかった。

 マックス・ケナードの後輩、ナビダ・ラミレス巡査はマイケル・ペーニャ。感動群像劇「クラッシュ」(Crash・2004・米/独)はもちろん良かったし、アクションの「ザ・シューター/極大射程」(Shooter・2007・米)のFBI役もとても良かった。最近は「リンカーン弁護士」(The Lincoln Lawyer・2012・米)に囚人役でちょっとだけ出ていた。本作は久々に印象に残る役。

 実在の悪党、ミッキー・コーエンは名優ショーン・ペン。ほとんどコメディやファンタジーに出ることはないので、この人が出ているだけで重厚なドラマという感じになる。最近見たのはCIAの実話に基づくドラマ「フェア・ゲーム」(Fair Game・2010・米ほか)と、テレンス・マリックの良くわからない「ツリー・オブ・ライフ」(The Tree of Life・2011・米)。使っていた銃はガバメント。

 ミッキー・コーエンの愛人グレイス・ファラデーはエマ・ストーン。傑作ゾンビ映画「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)の美女。最近、リメイク版の「アメイジング・スパイダーマン」(The Amazing Spider-Man・2012・米)にヒロインの高校生役で出ていた。本作はもっとずっと大人っぽい。今後どんどん活躍しそうだ。

 原作は、製作総指揮も兼ねるポール・リーバーマンの同名小説。ロサンゼルス・タイムズの元記者で、数々の賞に輝いている。脚本はウィル・ビール。これまではTVの刑事ドラマ「Castle」(2009〜・米)シリーズを書いており、それが高く評価されたことから本作への抜擢となったらしい。このあと2作品を手掛けるらしい。

 製作総指揮も兼ねる監督はルーベン・フライシャー。なんと「ゾンビランド」の監督だ。どうりで銃撃戦がうまいわけだ。その後公開された「ピザボーイ史上最凶のご注文」(30 Minutes or Less・2011・独/加/米)は見たかったのだが、小劇場公開でパスした。邦題もなんだか……。IMDbでは6.1点という評価。なんとも……。ギャグに振りすぎた反省からか、本作はほとんどユーモアを排してシリアスに作ったのだろう。

 武器担当のアーマラーはデイヴッド・フェンクルとロバート「ロック」ガロッティ。デイヴッド・フェンクルは「ハート・ロッカー」(The Hurt Locker・2008・米)や「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2012・米)のキャスリン・ビグロー作品を手掛けている。ほかにも多くのアクション作品を手掛けている。ロバート「ロック」ガロッティはシリーズ2作目の「マトリックス リローデッド」(The Matrix Reloaded・2003・米/豪)とシリーズ3作目、シルベスター・スタローンの「エクスペンダブルズ」(The Expendables・2010・米)などを手掛けている。リアルから派手まで何でもOKというところか。

 ほかに出ていた銃は、冒頭ハリウッドランドの看板の殺しのシーンでワルサーP38、中華街の殺し屋が持っているのがモーゼルC96、といったクラッシックなもの。サブマシンガンはMP40、ステンMkII、グリースガン、トンプソンM1928などを使う。一方、対するギャング部隊のサブマシンガンはM1/M1A1トンプソン。屋上からの狙撃にはルイス・マジンガンが使われ、ミッキー・コーエンの用心棒はBARを使うなど第二次世界大戦色を色濃く残している。ギャングと警察でトンプソンの種類を変えているところはさすが。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由で、金曜に前売り券と当日券の交換だけしておいて、当日40分前くらいに到着。35分前くらいに、何のアナウンスもないままエレベーターが動き出したようで、人が上がって行くので自分も乗った。

 観客のメインは高齢者。ギャング映画というジャンルからそうなのかもしれない。20人くらいのうち、若いカップルが2組ほど。女性は8人。15分前で501人くらいになり、最終的には469席の4割ほどが埋まった。

 シネスコで開いていたスクリーンがビスタになり、暗くなって始まった予告編で気になったのは……上下マスクでなかなかタイトルが出ずいらいらした「欲望のバージニア」はまたギャング映画らしい。シャイア・ラブーフって、スピルバーグの映画だけだったのでは? 今回はスピルバーグは全く関わっていないらしい。キャストはスゴイが……。禁酒法時代の実話なんだとか。6/29公開。

 アニメ「劇場版銀魂完結篇」は「週刊少年ジャンプ」の人気作品なんだとか。7/6公開。

 上下マスクの「ホワイトハウス・ダウン」は、ホワイトハウスが爆発する映像から始まる予告で、すごいアクションの連続。SFのようでもあり、アクションのようでもあり……監督はローランド・エメリッヒと出たから、SFなのかもしれない。8/16公開。

 上下マスクの「ハード・ラッシュ」はマーク・ウォールバーグのアクション。引退した運び屋だが、身内の運び屋が警察に追われて運んでいたブツを海に捨てたため、依頼主から2週間以内に金を持ってこいと脅されることになり、ニセ札を盗み出す話らしい。おもしろそう。6/15公開。

 


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