Evil Dead


2013年5月18日(土)「死霊のはらわた」

EVIL DEAD・2013・米・1時間31分

日本語字幕:丸ゴシック体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(デジタル、Sony CineAlta)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日R18+指定)

公式サイト
http://harawata.jp/
(全国の劇場リストもあり)

薬物依存症に悩む妹のミア(ジェーン・レヴィ)を荒治療によって直すため、監禁し禁断症状を断とうと、兄のデビッド(シャイロー・フェルナンデス)、その恋人のナタリー(エリザベス・ブラックモア)、幼なじみの高校教師エリック(ルー・テイラー・ブッチ)その恋人で看護婦のオリビア(ジェシカ・ルーカス)が、かつて暮らしていた人里離れた家にやって来る。ところが、そこはちょっと前、悪魔にとりつかれた少女の魂を救うため、あるグループが侵入し儀式を行っていた。地下室には動物の死骸があり、古い本が有刺鉄線でぐるぐる巻きにされ置かれていた。エリックは禁じる言葉が書かれていたにも関わらず、本の呪文を唱えてしまう。

71点

1つ前へ一覧へ次へ
 IMDbでは7.0点という信じられないような高評価。しかしこれはホラーとはちょっと違う気がする。基本、音でビックリさせるありふれた手法だが、予告でもやっていたようにカッター・ナイフを舌で舐めて舌がふたつに裂けるというようなスプラッター的残酷表現を多数取り入れたことで、もう恐怖とかではない別な映画になってしまっている。ハッキリ言って怖くない。気持ち悪い。それも度を越しているので、逆に客観的に見てしまい、残虐ショーになってしまっている。これで怖さが出るはずがない。

 さらには、オリジナル版「死霊のはらわた」(Evil Dead・1981・米)の設定のとおりなのか、どうにも納得できないご都合主義的展開。そして、ホラーに良くあるパターン。逆に言うとオリジナル版がこのパターンを作ったということかもしれないが。登場人物はみなバカに見える。

 人里離れた山奥の小屋、お馬鹿な若者グループ、警告の無視、行っちゃいけない方、やっちゃいけない事をする。特に酷いのが、「決して唱えてはいけない」というフリのメモ書きを読んでいながら、あえて声に出して言うジャンキーのような高校教師。バカだろ。しかも開けられないように有刺鉄線でぐるぐる巻きにされているのを、わざわざペンチまで持ってきて開ける。などなど……書いたらキリがない。現代風にアレンジする気はないらしい。ただ残酷に描きたかったのか。しかも最後まで、しつこい。終わったと思うとまだある。最後の方はもういいよという感じ。残念。

 ラストのラスト、なぜかオリジナル版にも出ていた、サム・ライミ常連役者の人気TV「バーン・ノーティス元スパイの逆襲」(Burn Notice・2007〜2011・米)&「キャプテン・スーパーマーケット」(Army of Darkness・1993・米)のブルース・キャンベルの横顔が出る。本作ではサム・ライミとともにプロデューサーを務めているらしい。

 デビッドを演じたのはシャイロー・フェルナンデス。「赤ずきん」(Red Riding Hood・2011・米/加)でアマンダ・サイフリッドの恋人役だった人。今年4月に公開された屍姦ホラー「デッドガール」(Deadgirl・2008・米)で主演しているらしいが、小劇場の公開で見ていない。

 鬼気迫る演技のミア役はジェーン・レヴィ。日本で劇場公開された作品はないようだ。アホなエリックはルー・テイラー・ブッチ。デニス・クエイドとチャン・ツィイーが共演したマイケル・ベイ、プロデュースの「ホースメン」(Horsemen・2008・)でデニス・クエイドの息子をやっていたらしい。本作では余りに印象が悪い。

 デビッドの彼女ナタリーはエリザベス・ブラックモア。TVで活躍している人らしく、二辺で劇場公開された作品はない。本作では血まみれになり、腕を落としたり、釘撃ち銃でめった打ちにされたりしているが、ほとんど存在感はなかった。エリックの彼女、看護婦のオリビアはジェシカ・ルーカス。どこかで見たと思ったら、残念な「クローバーフィールド/HAKAISHA」(Cloverfield・2008・米)に出ていたらしい。看護婦らしさもなかったし、同様に存在感はなかった。

 オリジナル脚本は監督もやったサム・ライミ。監督のイメージが強いが、脚本の方が本数が多く、プロデュースは2倍近い本数。本作がオリジナルにどれだけ近いのかは、オリジナル版を見ていないので、何とも……。本作の脚本はフェデ・アルバレスとロド・サヤゲス。フェデ・アルバレスはウルグアイ出身の監督で、これまで短編しか作っていないが、それが評価されたらしい。本作の監督でもあるが、これまで日本での公開はないようだ。ロド・サヤゲスはフェデ・アルバレスとともに短編の脚本を書いていた人。長編は本作が初めて。うむむ。2人とも5分の短編「Ataque de panico」(2009・ウルグアイ)の評価が良かったと。

 銃は水平二連のショットガン。頭を吹っ飛ばしたりするが、それより怖かったのは、電動肉切りナイフ、カッターナイフ、注射器に釘打ち銃など。音で脅す上に、曲がヒッチコックの「サイコ」(Psycho・1960・米)っぽかったなあ。

 それにしても、どうやって電線も来ていないような小屋で電灯が点いたんだろうか。発電機を操作しているところもなかったようだし……。タバコはスパスパ吸ってたし……。出演者がセリフで「わけがわからない」というが、見ている観客もわけがわからなかった。

 公開16日目の初回、前売りもない作品なので見ない気でいたが、ポイントで見ることができたので見た。来年3月末までに使い切らないといけないポイントなので、まあポイントで良かったかと。お金を払っていたら、もっと印象は違っていたと思う。金曜に座席を確保し、当日は10分前に開場。さすがに2週間以上経っていると客数は多くない。スプラッターなのにメインは中高年で、若いカップルが2組くらいと、若い女性が2人という感じ。最初は男性15人に女性3人ほど。最終的には115席に30人くらいの入り。

 気になった予告編は……上下マスクの「キャリー」はクロエ・グレース・モレッツがなかなかのいじめられ具合で、怖そうな予感。オリジナル版「キャリー」(Carrie・1976・米)を越えられるか。11/8公開。

 スクリーンが左右に広がってから、「第9地区」(District 9・2009・米ほか)のニール・ブロンカンプ監督の新作「エリジウム」は、富裕層と貧困層が隔離された社会を描くSFアクション。「第9地区」のままのスラム街やロボットといったものや、強烈だった主演のシャーメルト・コプリーも出ているようだ。マット・デイモンが持っていた銃はAKベースのカスタムか。楽しみ。9/20公開。

 「アフター・アース」はシネスコだと予告編でもさすがの迫力。ただホントの親子が親子役って……「幸せのちから」(The Pursuit of Happiness・2006・米)は良かったけど。6/21公開。


1つ前へ一覧へ次へ