Bullet to the Head


2013年6月2日(日)「バレット」

BULLET TO THE HEAD・2013・米・1時間31分(IMDbでは92分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/ビスタ・サイズ(Super 35、Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://www.bullet-movie.jp/
(音に注意。止めるボタンなし。全国の劇場リストもあり)

アメリカ、ニューオーリンズ。この道40年というプロのベテラン殺し屋ジミー・ボノモ(シルベスター・スタローン)は、相棒の若手ルイス・ブランチャード(ジョン・セダ)と組んで、元刑事のハンク・グリーリー(ホルト・マッキャラリー)を殺す。しかし一緒にいた娼婦の女は肩の刺青を見て撃てず、口止めをして逃がす。そして残りの半金を受け取るため、依頼者のロニー・アール(ブライアン・ヴァン・ホルト)とバーで待ち合わせをするが、やって来たのは屈強な殺し屋で、ルイスは刺殺され、ジミーも危ういところ辛くも追い払う。事件の捜査にあたるニューオーリンズ警察に、かつてハンクの相棒だったワシントンDCの刑事テイラー・クォン(サン・カン)がやって来る。そしてルイスを殺した犯人を逮捕するため、直接ジミーに電話し、組まないかと提案する。

73点

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 やっぱりヤクザを演じていてもスタローンは良い人。すっきり爽快の痛快アクション。角刈りとイレズミで強面な感じにし、しかもすぐ人を殴ったり撃ったりするが、子供と女は手にかけないというポリシーで義理堅いという良い人。猪突猛進型でありながら、絶妙のタイミングで助けに現れるというまさにスーパー・ヒーロー。もちろん、こうでないと本当の悪人が主役では観客がついていけなくなる。

 予告編ではイレズミが非常にイヤらしく、日本のヤクザみたいな雰囲気だったが、本編で見るとイレズミはそんなに目立っておらず、ほんのちょっと出てくるだけ。しかも、娘が刺青師という設定で、そういうことかと。むしろ娘の刺青の方が目だっている。そして肩の刺青がひとつのキーになっている。

 話も、暗殺者が主人公でも、それよりもっと悪いヤツが出てくることで観客は応援できる。これは定石だろう。まあ言ってしまえばよくある話。ただ、やはり悪党が徹底的に悪くて、強くて、怖い。特に雇われたもとフランス外人部隊の猛者の大男は怖い。まるで殺人マシーン。情け容赦なくしかも執拗。強い。ラストの決闘はまるで「ロッキー」(Rocky・1976・米)のリングのようだ。

 主演のシルベスター・スタローンは「エクスペンダブルズ2」(The Expendables 2・2012・米)に出ていたばかり。70歳近いのに筋肉もりもり。シュワルツェネッガーとどちらがアクションに出続けられるか競争というところか。「エクスペンダブルズ3」も作るらしい。使っていた銃は、冒頭の襲撃で使うのがサイレンサー付きの.22口径、ルガーMk Iかと思ったらimfdbではコトル・ウッズマンだという。メインで使うのはHK式のサイレンサー装着アダプターをつけたシルバーのハイパワー。長物はウインチェスターのM94。敵から奪ってM92も使うが、基本古い銃という設定らしい。好みの酒は、誰も知らないというダブル・バレット・バーボン。

 相棒となる韓国人の刑事クォンはサン・カン。「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」(The Fast and the Furious: Tokyo Drift・2006・米/独)シリーズに出ている人。「侍じゃない韓国人だ。タコスをイタリア料理というのと一緒だ」というセリフがある。悪党どもは日本人と勘違いしているのか、バカにして「ケイトー(グリーンホーネットのカトー)」と呼ぶ。使っていた銃はたぶん支給品のグロック。

 元フランス外人部隊というとんでもない殺し屋キーガンはジェイソン・モモア。「コナン・ザ・ババーリアン」(Conan the Barbarian・2011・米)で主演のコナンを演じていたというだけあって、なかなかのマッチョ。かつてコナンはシュワルツェネッガーが演じていた。しかしその映画、日本で劇場公開した?ってくらい知られていない。ただTVの「スターゲート:アトランティス」(Stargete: Atlantis・2005〜2006・米)にレギュラーで出ていたそうなので、見た人は知っているかも。使っていた銃は、初めの方でマグ・チェンジもしてみせるガバメント、後半でUSP(P30)かと思ったらimfdbではFNP-45だとか。長物はケルテックのショットガンKSGを使っている。

 不動産取り引きを手掛ける組織の弁護士マーカスはクリスチャン・スレイター。ゲスト出演的な感じですぐにいなくなる。かつては大作に出ていたのにトラブルばかり起こして、いまではB級の脇役だ。本作がB級というわけではないが……。ニコラス・ケイジとジョン・ウーの「ウインドトーカーズ」(Windtakers・2002・米)あたりがメジャー最後だろうか。「忘れられない人」(Untamed Heart・1993・米)なんか抜群に良かったのに。

 ほかにジミー・ボノモの相棒が足首のホルスターにもっているセカンダリー・ウェポンが、センチニアル。そしてギャングたちが使う銃は、SCAR、UMP、シルバーのベビーイーグルなど。でも、ラストの対決は1対1でのマサカリ、ナイフの格闘戦へ。アーマラーはロバート「ロック」ガロッティ。つい最近「L.A.ギャングストーリー」(Gangster Squad・2013・米)を手掛けており、「エクスペンダブルズ」(The Expendables・2010・米)でスタローンと仕事をしている。

 青い文字が流れるように消えて現れ、ネオンがタイトルになるタイトルのプロデューサーはライアン・ロバートソン。「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2006・米)や「ワルキューレ」(Valkyrie・2008・米/独)のタイトルを手掛けている。

 殺陣とスタントのコーディネーターはドン・タイ・セラサーダ。「エクスペンダブルズ」シリーズでスタローンと仕事をしている。「NCIS:LA〜極秘潜入捜査班」(NCIS: Los Angels・2012〜2013・米)などTVの仕事も多い。

 原作はマッツのアレクシス・ノレントとコリン・ウィルソンのグラフィック・ノベル「Du plomb dans la tete」。それを脚本にしたのはアレサンドロ・キャモン。脚本家としてよりプロデューサーとしての活躍が多い人。脚本家としては起承転結のない重いドラマ「メッセンジャー」(The Messenger・2009・米)を書いている。本作とはまるっきり作風が違う。

 監督はウォルター・ヒル。男臭いアクションを撮る人で、脚本家からキャリアーを始めている。スティーヴ・マックィーンの「ゲッタウェイ」(The Getaway・1972・米)はその1本。監督作品には「ザ・ドライバー」(The Driver・1978・米/英)、西部劇の「ロング・ライダース」(The Long Riders・1980・米)、エディ・マーフィーが注目された「48時間」(48 Hrs.・1982・米)などがあり、「48時間PART2/帰ってきたふたり」(Another 48 Hrs.・1990・米)からちょっと振るわない感じに。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。機械が壊れたとかで1台で受け付けていて、長い列。手描きでの対応でちょっと不安があったが、大丈夫だった。15分前くらいに開場して場内へ。メインは中高年で、若い人は少なかった。女性は30人に3〜4人。最終的には157席に3.5割くらいの入り。もっと入ってもいい気がするが、予告の刺青が強烈だったからなあ。

 気になった予告編は……上下マスクの「エンド・オブ・ホワイトハウス」は新予告に。ガンシップか。すごいアクション。6/8公開。ちょっとCMが足りない気がする。もっとアピールしても良いのでは?

 写真のみの構成で、旧日本軍のM資金とマネー・ゲームを描くらしい「人類資金」は原作・福井晴敏、監督・阪本順治の「亡国のイージス」(2005・日)コンビ。どんな映画になるんだろう。10月公開。

 アニメの「ハル」はロボットが亡くなった恋人の代わりになるという話らしい。公式サイトでは劇場中編アニメーションとなっていたが……元は少女漫画らしい。6/8公開。


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