G.I. Joe: Retaliation


2013年6月8日(土)「G.I.ジョー バック2リベンジ」

G.I. Joe: Retaliation・2013・米・1時間50分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Arri)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではSDDSも)

(米PG-13指定)(3D上映、吹替版もあり)

公式サイト
http://www.gi-j.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場リストもあり)

特殊部隊G.I.ジョーは大統領(ジョナサン・プライス)命令でパキスタンに運び込まれた核弾頭の回収に向かう。首尾よく回収したものの、直後に味方の攻撃へリに襲撃され、隊長のデューク大尉(チャニング・テイタム)を含むほとんどが戦死。副隊長のロードブロック(ドウェイン・ジョンソン)、女性のレディ・ジェイ(エイドリアンヌ・パリッキ)、フリント(D.J.コントローナ)のわずか3名が生き残ったのみ。ところが大統領はこれを「G.I.ジョーが反逆を起こして核弾頭を奪ったため、殲滅した」と発表。同じ頃、コブラコマンダーとデストロが収監されているアインザルゲン地下刑務所にストーム・シャドー(イ・ビョンホン)が逮捕されて連行されてくる。そして、近くには特殊バイクに乗ったファイヤーフライ(レイ・スティーヴンソン)が攻撃の準備を整え向かっていた。

71点

1つ前へ一覧へ次へ
 どうも見どころのない映画は3Dを売りにするというのが定石になってきたようだ。「1」と同様の子供向けの、荒唐無稽なファンタジーSFアクション。ラストに「この作品はフィクションです」とわざわざ出るけれど、ギャグだったんだろうか。ブルース・ウィリスやドウェイン・ジョンソンが出ているので、ちょっと期待してしまったのだが……。たぶんオモチャのハスブローのフィギュア、G.I.ジョーにハマっている人でないと楽しめないのでは。眠かったぁ。あやうく気を失うところ。いやあ、ハイパーはんぱねぇっス。

 その3Dも字幕がじゃまになるし、といって吹替じゃあなあ……。全体に奥行きが感じられたものの、3Dにする必要は感じられなかったし、「前景・中景・遠景」といったわざとらしい構図が多く、しかもアクション作品はカットが速いから3Dを感じ取れないうちに次のカットに行ってしまう。もっとも効果があったのは飛び散る破片とか火花のたぐい。あとから3D化したのではないかと疑うような、ほとんど効果のない絵はなかった気がするけど。

 まあストーリーなんかどうでも良いのだろう。フィギュアのキャラクターがちゃんと登場し(決して見せ場があるわけではない)、大事件が起きて最後に解決すればそれでOKということなんだろう。変なニッポンも出てくるし。本物の日本人は出ているのだろうか。

 主演だと思っていたら途中であっさりいなくなるデュークはチャニング・テイタム。前作から引き続きの出演で、これから公開される「ホワイトハウス・ダウン」(White House Down・2013・米)に出ていて、そちらのほうがメインだったか。エメリッヒなのでどうかわからないが、大人向けのようだし。ジョニー・デップのギャング映画「パブリック・エネミーズ」(Public Enemies・2009・米)や、ちょっと残念な女性アクション「エージェント・マロリー」(Haywire・2011・米/アイルランド)に出ているが、ちょっと作品に恵まれない気も。使っていたのはグロックとFN SCAR-H。

 デュークより年上だが直属の部下のロードブロックはドウェイン・ジョンソン。もうアクションといえばこの人。なんとなく説得力が出る。シリーズ第5作「ワイルド・スピードMEGA MAX」(Fast Five・2011・米)は確かにこの人のおかげで映画がしまっていた。シリーズ第6作にも出ているらしい。期待したい。1人だけアンダー・アーマーを着ている。使っていた銃は、フォア・グリップにマガジンを使うグロック、ミニミMM249、ローソクの火を撃つゲームではM1919を使い、なんと.50口径のM2重機関銃まで手持ち(腰だめ)で撃って見せる。さすがに空砲でも反動が大きいようで、ちょっと振り回されている。

 初代G.I.ジョーという設定のジョー・コルトン司令官はブルース・ウィリス。B級の小さい作品から超大作まで、映画に出まくり。つい最近、自身の人気シリーズ最新作「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(A Good Day to Die Hard・2013・米)に出ていた。さすがにアクションはお手の物。中はSCAR-Lと、プレゼントされたというガバメントのカスタム。

 美女のレディ・ジェイはエイドリアンヌ・パリッキ。主にTVで活躍しているようで、映画ではポール・ベタニーの堕天使アクション「レギオン」(Legion・2010・米)でドライブインのウエイトレスを演じていた人。もっと活躍して欲しいけど……。使っていた銃はグロックとSCAR-L。そしてM4カービンなどの下に装着するモジュラー・ショットガンM26 MASSのスタンドアローンー版。

 ほかに白ニンジャのイ・ビョンホン、大統領のジョナサン・プライス、スキンヘッドの変そう名人ザルタンのアーノルド・「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」(The Mummy・1999・米)・ヴォスルー、ファイアフライのレイ・「パニッシャー:ウォー・ゾーン」(Punisher: War Zone・2008・米/加/独)・スティーヴンソンなど、豪華な顔ぶれ。

 銃はほかに、定番のM4カービン、MP5もありつつ、MP7、グレネードランチャーのミルコールMGL140、そして黒ニンジャ、スネイク・アイズがFNHのFNXを使っている。アーマラーはマイケル・パネヴィクスとクエイ・テリー、そして 第2班のアーマラーがデヴィッド・フェンクル。

 マイケル・パネヴィクスはTVで活躍していた人で、映画は「チェ 28歳の革命」(Che: Part One・2008・仏/西/米)あたりから1人立ちしたようで、レオナルド・ディカプリオのシリアス・アクション「ワールド・オブ・ライズ」(Body of Lies・2008・米/英)も手掛けている。

 クエイ・テリーは元海兵隊の砲兵隊軍曹だった人らしく、これまではミリタリー・アドバイザーが多い。「チェ 28歳の革命」にも関わっていたので、マイケル・パネヴィクスの推薦があったのかも。映画では「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(X-Men Origins: Wolverine・2009・米)や「スーパー8」(SUPER 8/スーパーエイト・2011・米)に軍の歴史家として関わっている。

 デヴィッド・フェンクルはつい最近「L.A.ギャングストーリー」(Gangster Squad・2013・米)を手掛けている。ほかに「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2012・米)や本物が出演した「ネイビーシールズ」(Act of Valor・2012・米)も手掛けている。この人が第2班なんだから、どれだけ武器を使う映画だったのかと。

 キャラクターは玩具メーカー「ハズブロ」の設定で、荒唐無稽な脚本はレット・リースとポール・ワーニックの2人。ともに傑作ゾンビ映画「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)の脚本を手掛けた人。なんでこうなってしまったのか。それぞれのキャラをちゃんと見せて1つの物語にまとめたのはすごいと思うけど。

 監督はジョン・M・チュー。TVの製作総指揮で活躍していた人で、日本で劇場公開されたのはドキュメンタリー映画「ジャスティン・ビーバー ネヴァー・セイ・ネヴァー」(Justin Bieber: Never Say Never・2011・米)くらい。しかもIMDbで1.7点という信じられない低評価。まあドキュメンタリーだけど。

 公開初日の初回、新宿の劇場は3D字幕上映の全席指定で、金曜に確保。10分前に開場となって場内へ。観客層は若い人たちから中高年まで幅広かったが、初日のも関わらず、最終的に607席に2割くらいの入りは、このできなら当然だろうが、期待していなかった人が多かったということか。直前にTVで残念な「1」を放送してたし。最初、女性は30人中5〜6人という感じ。あとでちょっと増えたが、まあそのくらい。

 気になった予告編は……上下マスクの「エリジウム」は「第9地区」(District 9・2009・米/ニュージーランドほか)の監督が再び描くSFアクションは、やっぱりどこか日本アニメの趣があるスペース・コロニーと荒廃した地球の対立という構図の物語。9/20公開。

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになり、3D眼鏡を掛けるように指示があってから「スタートレック イントゥ・ダークネス」の予告。すごい迫力で半分くらいは立体感があったが、予告はカットが短すぎるので3Dには向かない。3Dを認識できず、非常に疲れる。8月公開。


1つ前へ一覧へ次へ