Fast & Furious 6


2013年7月7日(日)「ワイルド・スピードEURO MISSION」

FURIOUS 6・2013・米・2時間10分

日本語字幕:手書き風書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Arri)/トルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://euro-mission.com/
(音に注意。情報少。全国の劇場リストもあり)

スペイン、カナリア諸島で隠遁勢活を送っていたドミニク(ヴィン・ディーゼル)とブライアン(ポール・ウォーカー)。そのブライアンとミア(ジョーダナ・ブリュースター)に待望の第1子が誕生した。その頃、ロシアのモスクワで軍から戦略部品が強奪される事件が発生。インターポールとともにDSSのエージェント、ホブス(ドウェイン・ジョンソン)とライリー(ジーナ・カラーノ)が捜査のため訪れ、1人だけ捕まった男の口を違法な尋問で割らせ、元イギリスの特殊部隊SAS隊員だったショウ(ルーク・エヴァンス)という男がボスだと知る。そしてドミニクの元を訪れると、捜査の手伝いをしてくれと1枚の写真を渡す。そこには犯行グループの1人としてレティ(ミシェル・ロドリゲス)が写っていた。

75点

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 いやあ、驚きアクション満載の痛快ジェットコースター・ムービー。130分がアッというまで、息つく暇もないほど。頭を空っぽにして、何も考えず単純に楽しめる映画。友達とかカップルで見るには最適の映画かもしれない。

 ちゃんと前作までの各作品を巧妙に取り込み、ファンの期待を裏切らない。荒唐無稽な感じはするし、いかにもハリウッド的な作りで、展開も強引なのだが、徐々にエスカレートしていく感じ、絶妙のタイミングで登場するカッコ良さ、そして驚異のビジュアル、派手な音響、予定調和というか勧善懲悪が、なんとも完璧にハマっている。ちゃんとどんでん返しも用意して、お金もたっぷりかかっている。ここまで決まれば細かいことはどうでも良くなって、素直に「うまい!」と拍手喝采したい。

 もちろん悪役が憎たらしいのはいうまでもなく、戦略的にも先先と手を打たれてしまう。良いサイドがいつも後れを取る。これをどうひっくり返すか。そこがおもしろい。しかもストレスがたまりすぎないほどよいバランスとスピード感。それぞれ全員に見どころがあって、ちゃんと活躍している。

 さすがに130分もあるだけあって、B級なら最初の山場、高速道路の件で終わるところ、さらにもう一戦、もっとエスカレートする戦いが用意されている。しかも、それが終わると、もっぱら番外編的に見られがちな第3作「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」(The Fast and the Furious: Tokyo Drift・2006・米/独)につなげて、何と、さらに次作につなげてしまうという驚き。ああ、あの人が! えっ、悪役?

 悪い方の東洋人の格闘家らしい、ジョー・タスリム演じるジャー(?)との決着もまだだけど、続編でということ?

 メイン・キャラクターはドミニクとホブスの2人という感じ。そのドミニクはヴィン・ディーゼルで、最近はほとんど本シリーズしかヒット作がない感じ。シリーズ以外で記憶に残っているのはアクション・コメディの「キャプテン・ウルフ」(The Pacifier・2005・加/米)くらい。ただ、本作はさらに続きそうで、実際すでに製作準備に入っているらしい。さらに過去におもしろかったSFホラー「ピッチブラック」(Pitch Black・2000・米)や、スパイ・アクション「トリプルX」(xXx・2002・米)の自身による続編(「2」はヴィン・ディーゼルが出なかったので、アイス・キューブが主演)が進行中らしい。個人的にはどちらも面白かったので楽しみ。使っていた銃はベネリのポンプ・アクション、ノヴァ。ほとんど映画で使われていないのではないだろうか。

 ホブスはドウェイン・ジョンソン。本シリーズもマンネリ化の道をたどりそうだったが、この人が出てから良くなった印象もある。だいたいこの人のアクションものはしまっていて良い。「ゲートスマート」(Get Smart・2008・米)や「G.I.ジョーバック2リベンジ」(G.I. Joe: Retaliation・2013・米)は残念な作品だったが、この人の出ているシーンだけは良かった。アンダーアーマーと契約しているのか、印象としてはいつもアンダーアーマーを着ている感じ。使っていた銃はS&Wの44マグナムM629のフラット・サイド・バレル・カスタム。そして効果そうなボルト・アクションのスナイパーも。レミントンのMSRっぽかったが定かではない。ホブスから電話が来るとテズのケータイに「サモアの怪人」と表示されるのには笑った。

 ブライアンはポール・ウォーカー。ヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンの方が目立っていて、最初からの出演者なのに、ちょっと影が薄くなってしまった。本作では特徴がないというか、ブライアンらしさがない。せっかく前は刑事だったのに……。「逃走車」(Vehicle 19・2013・米)はなかなか面白かったが、やっぱりこの人も最近は本シリーズだけか。もっと存在感を出さないとヤバいかも。使っていた銃はP226。

 女性で存在感があったのは、やはりレティのミシェル・ロドリゲス。ただ前作で死んだはずで、いくら人気キャラとはいえこんなに安直に生き返らせていいのか。生き返ったおかげで面白かったけど。この人「バイオハザードV:リトリビューション」(Resident Evil: Retribution・2012・独/加/米)でもクローンということで生き返っている。使っていたのは5.45mm×18という特殊な弾薬を使うロシアのPMSピストル。ドミニクの体内から取り出した弾がちょっとライフル弾っぽかったけど。劇中ちゃんとそう呼んでいる。

 そして頑張っていたのはジゼル役のガル・ギャドット。シリーズ第4作目の「ワイルト・スピードMAX」(Fast & Furious・2009・米)の悪女役でハリウッド・デビューした2004年のミス・イスラエル。トム・クルーズとキャメロン・ディアスのアクション「ナイト&デイ」(Knight and Day・2010・米)にも出ていたようで、本作の活躍具合なら今後に期待できそうだ。使っていた銃はP232。ちょっとだけFN SCARのグレネード・ランチャー付きを手にするので期待したが、結局撃たなかった。

 DSSのエージェント、ライリーはジーナ・カラーノ。主演した前作「エージェント・マロリー」(Haywire・2011・米/アイルランド)が残念だったためイメージを引きずった感はある。総合格闘家というだけあってアクション・シーンはすばらしいが、美人ながらやっぱりゴツイ。使っていた銃はP226。

 ジゼルの恋人で東洋系のハンはサン・カン。つい最近スタローンの「バレット」(Bullet to the Head・2012・米)に刑事役で出ていた。

 敵のボス、元SASのショウはルーク・エヴァンス。ここ2〜3年映画に出まくり。残念な時代アクション「三銃士/妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」(The Three Musketeers・2011・独/仏/英/米)のアラミス役、絵はすごかった「インモータルズ-神々の戦い-」(Immortals・2011・米)、「推理作家ポー最期の5日間」(The Raven・2012・米ほか)の刑事役など。

 ほかに銃は、狙撃用の大口径ライフルがバレットM82。AK47、AK74、AKS74U、AKS74、M4カービン、MP5など。戦車はM1エイブラムス風、輸送機はアントノフの4発ルスラーンか。

 脚本は製作総指揮も兼ねるクリス・モーガン。面白かったキム・ベイシンガーの「セルラー」(Cellular・2004・米/独)で脚本家デビューし、本作はシリーズ第3作の「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」からずっと書いている。「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)は今ひとつだったが、アクションものが向いているらしい。

 監督は、これまた製作総指揮を兼ねる台湾出身のジャスティン・リン。監督よりプロデューサー作品の方が10本も多いが、この人もシリーズ第3作の「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」からずっと監督している。名門UCLAの出身で、日本劇場未公開の自身の高校時代を描いたという「Better Luck Tomorrow」(2002・米)が高く評価されたらしい。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保。当日は10分ほど前に開場。下は小学生くらいから中高年までと幅広い。意外と若い人が多い印象。男女比はほぼ半々くらい。最終的には232席の8割くらいが埋まった。さすが。

 気になった予告編は……バカ女がケータイを点けてまぶしかったが……だいたい見慣れた予告編が続く中、上下マスク「スタートレック イントゥ・ダークネス」は新予告に。悪役が二枚目だが、どんなことになるのだろう。楽しみ。

 上下マスクの「ワールド・ウォーZ」も新予告になったが、どうも高級ゾンビ映画という印象がぬぐいきれない……。


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