Contraband


2013年7月12日(金)「ハード・ラッシュ」

CONTRABAND・2012(エンド・クレジットでは2011)・米/英/仏・1時間49分

日本語字幕:手書き風書体下、種市譲二/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Arri)/トルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日PG12指定)

公式サイト
http://hardrush-movie.com/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

アンディ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)がコンテナ船を使いコカインを密輸しようとして、CBP(アメリカ税関国境取締局)の手入れを受け、コカインを海に捨ててしまう。仕事を依頼したブリッグス(ジョヴァンニ・リビシ)は被害額70万ドルを払わなければ殺すと、アンディをボコボコにする。アンディは姉のケイト(ケイト・ベッキンセール)に相談する。夫のクリス(マーク・ウォールバーグ)は警備システム会社を運営しているが、かつては世界一の運び屋といわれた男だった。クリスはアンディが払えなければ身内であるケイトと子供たちを殺すと脅され、しかたなく友人のセバスチャン(ベン・フォスター)の力を借り、昔の仲間を集めてチームを組み、パナマからニセ札を密輸する計画を立てる。

74点

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 まあ、とにかく状況は考えられないほど酷いことになっていく。バカな義理の弟1人のせいで、多くの人が巻き込まれ、追い詰められ、瀬戸際まで行って……それでもすごいのは、ギリギリで観客が嫌気が差す前にどんでん返しを起こし、すべてを解決して見せる。そこは痛快。ちょっと酷い状況が長すぎる気もするが、ハラハラドキドキ、ピンチの連続。思わず力が入って肩が凝るほど。

 よくここまでの酷い状況を考えられたものだ。それも、やりっぱなしじゃない。能力のない監督やプロデューサーはやりたい放題やって、解決しないまま悲惨なお話で終わらせることもあるが、本作は違う。強引で、ご都合主義かもしれないが、ちゃんと納得できる方法で解決して見せるのだ。

 しかも、ピカレスクもの、犯罪者たちの話で、良い人間なんてほとんど出てこない。良いと思った人間も、実は悪だったりする。そんな中で、主人公も足を洗ったとはいえ、もと犯罪者で、しかたなくだが、また悪の世界にもどってしまう。しかし、悪党の中でもまともで、筋を通し、信頼できる人間で、愛するもののため、家族のために命をかける、憎めないキャラクターとして作り上げられていて、うまい。ラストの歌も良い。「バンバンバンバン、ボンボンボンボン」これは「Boom Boom (Feat. John Lee Hooker) 」という曲で Big Head Todd And The Monstersらしい。イイ。IMDbでは6.4点だが、ボクはもっと面白かった気がする。

 クリスはマーク・ウォールバーグ。アクションからコメディまで何でもこなすが、アクション作品に多く出ているにも関わらず銃規制派なんだとか。本作のプロデューサーでもあるのに! つい最近出ていたのは「テッド」(Ted・2012・米)。ここでもジョヴァンニ・リビシと共演している。これは本作でマーク・ウォールバーグが製作も務めているからかもしれない。使っていた銃はガバメントのカスタム。

 妻のケイトはケイト・ベッキンセール。もっとアクションがあるのかと思ったら、強さはちらりと見えたが意外と普通の女性の役だった。最近出ていたのは人気シリーズ「アンダーワールド覚醒」(Underworld: Awakening・2012・米)と、リメイクSF「トータル・リコール」(Total Recall・2012・米/加)。

 友人のセバスチャンはベン・フォスター。ちょっとイメージがジョヴァンニ・リビシとダブる気がする。リメイク西部劇「3時10分、決断のとき」(3:10 to Yuma・2007・米)で強烈な悪党を演じていた人。最近はリメイク・アクション「メカニック」(The Mechanic・2011・米)に若い殺し屋を演じていた。

 かわいい娘がいる悪党ブリッグスはジョヴァンニ・リビシ。「テッド」のあと「L.A.ギャングストーリー」(Gangster Squad・2012・米)に出ていた。この人も悪役の憎たらしさが半端ない。使っていた銃はS&Wのステンレス44マグナム、M629。4インチと6インチがあったような。

 パナマのギャングが使うのは、シルバー・スライドのUSP、AK、AKMSU、ミニミなど。警察のSWATはM16A1、MP5など。すごい銃撃戦が展開される。原題のコントラバンドとは密輸品とか密輸のことらしい。

 本作はハリウッド・リメイクだそうで、オリジナルは監督の母国であるアイスランドで作った映画「Reykjavik Rotterdam(未)」(2008・アイスランド/独/蘭)。本作の脚本はアーロン・グジコウスキ。本作が脚本家デビュー作らしいが、2009年にはハリウッド業界人が選ぶ「製作前の優秀脚本」で「Prisoners」という作品が選ばれており、現在製作中らしい。今後の活躍が楽しみだ。

 監督はバルタザール・コルマウクル。アイスランド生れで、役者でもあり、プロデーサーでもある。監督デビュー作が国際的に高く評価され、アメリカへ進出。ただ日本で劇場公開されていない。アイスランドで撮った「ザ・ディープ」(Djupid・2012・アイスランド)は今年5月に劇場公開されているらしいが、どこで上映されたのか? 今後、期待したい。

 見に行くのを忘れていて、本当は銀座の大きな劇場で見るはずだったのが終了してしまい、ほぼ公開1ヶ月後の最終日の最終回、新宿の残念な劇場で見ることになってしまった。平日の18時30分からの回は15分前くらいに開場、10分前くらいで6人ほど。ほとんど中高年で、オバサンが1人。男性は会社帰りのサラリーマンだろうか。どこでこの映画のことを知ったのか。最終的には細長い224席に14人ほど。うち女性は2人。宣伝もあまりしてなかったし、最終日だし、こんなものか。逆に1カ月も上映していてくれたことに感謝。見れて良かった。

 カーテンが上がって始まった予告編で気になったのは……上下マスクの「ウルヴァリンSAMURAI」はヒュー・ジャックマンのメッセージ付き新予告。日本ロケ部分が多く、面白そう。9/13公開。

 上下マスクでNIKKATSUと出て、ドゥエンイン・ジョンソンの新作の予告があったのだけれど、タイトルがわからない。11/30公開とか。これで予告の意味があるんだろうか。

 上下マスクの「ゴースト・エージェントR.I.D.P.」はライアン・レイノルズとジェフ・ブリッジスが、それぞれ銀と金のリボルバーを持ってゴースト・バスターズを演じるファンタジー。アクションとSFXはなかなか本格的だったけど……10/8公開。

 上下マスクの「マン・オブ・スティール」は新予告に。サイトは重くて50%からなかなか進まないが、8/3公開。

 上下マスク「悪魔にいけにえレザーフェイス一家の逆襲」は3D上映で、飛び出すらしい。チェーンソーを振り回して40年というコピーが笑えた。7/13公開。


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