Une vie de chat


2013年7月20日(土)「パリ猫ディノの夜」

UNE VIE DE CHAT・2010・仏/蘭/スイス/ベルギー・1時間10分

日本語字幕:丸ゴシック体縦右、LVTパリ/ビスタ・サイズ(1.78)/トルビー・デジタル、dts(IMDbではdtsのみ)

(蘭6指定、スイス7指定)

公式サイト
http://www.parinekodino.com/
(全国の劇場リストもあり)

刑事の夫婦の1人っ子である少女のゾエ(声:オリアンヌ・ザニ)は、父がギャングのぼすヴィクトル・コスタに殺されたから声が出なくなっていた。母のジャンヌ(声:ドミニク・プラン)は警視となり、コスタ逮捕のため仕事一筋で、家庭のことは家政婦のクロディーヌ(声:ベルナデット・ラフォン)に任せっきりだった。ゾエの唯一の友達は飼い猫のディノ。ディノは毎晩夜になると出かけ、朝になると帰ってくる。いつもはトカゲを持って帰ってくるが、あるとき魚のブレスレットを持ってきた。ジャンヌはダイヤモンドが付いていることから、部下に調べさせると、盗品であることが判明する。そんなとき、パリで「ナイロビの巨像」が展示されることになり、ジャンヌはコスタが必ず盗みにやって来ると警備体制の強化を命じる。

73点

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 2010年の作品なのにようやく公開。2011年に各国の映画祭で高く評価され、2012年にはアメリカ・アカデミー賞の第84回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされたからか。それがちょっと残念だが、なかなか良くできたアニメーション。

 絵の雰囲気は以下にもヨーロッパという雰囲気。フィルムでの上映はかなり傷が目立ち、全体に暗い気がしたが……。公開1週間ほどでこんなにいたんだと思えないし、まさか中古フィルムでの上映なのか。ドアの開く感じは3Dで作られているようで、パースがリアルだった。キャラクターは決してカワイイとかきれいというのではないが、個性的でとても愛嬌があって、次第に愛らしく見えてくる。

 ただ、ストーリーはありがちで、大人も楽しめるジュブナイルということなんだろうけれど、驚きもなく展開は読めるがその分安心して見られる。ただヨーロッパの特徴なのか、ちょっとカリカチュアライズされた悪党のボスが意外と凶悪で怖い。手下は絵に描いたような(実際絵に描かれているが)間抜けぞろいなのに。タイトルや音楽、全体の雰囲気はハリウッドの1950年代とかの往年のサスペンスの感じ。ヒッチコックの「泥棒成金」(To Catch a Thief・1955・米)とか。あの主人公は屋根を走ることから「猫」と呼ばれていたんだっけ。フランスが舞台だったし。

 片親の家庭、心の傷による失語症(映画の中では悪党が知的障害だと言っているが)、心優しい泥棒、仕事一筋の親、コミュニケーションの欠如……よくあるパターンだが、そこに猫を絡ませ、狂言回し的に使っているところが、ユニークかもしれない。でもこれも微妙だが。

 猫は夜何をしているのかとか、他所の家でも餌をもらってそこの子のように暮らしていたり、猫好きには楽しい映画だろう。家に付く犬と違って気ままな猫らしい感じが良く出ていたし、猫ならこんなことをしそう。

 刑事たちの射撃訓練があったり、ギャングとの撃ち合いがあったり、屋根の上のチェイスもあって、アクションも多い。銃も銃種は特定できないものの、オートマチックとリボルバー(ボスだけ)が描き分けられ、オートマチックからはちゃんと空薬莢が飛んでいる。でも、ハリウッド・レディはどうかなあ。ここまでハリウッドの影響があるとは。

 声の出演はほとんど日本では馴染みのない人ばかり。フランス映画自体があまり日本では公開されず、公開されてもアート系の小劇場なので目に触れる機会が少ない。

 監督はアラン・ガニョルとジャン=ルー・フェリシオの2人。アラン・ガニョルは脚本も担当しており、これまで1997年から短編とTVアニメの脚本と監督を担当している。ジャン=ルー・フェリシオは美術監督も兼任していて、アラン・ガニョルと同じ作品を手掛けている。お互い良き相棒というところか。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。当日は10分前くらいに開場。ほとんど中高年で、20代くらいは1カップルほど。男女比は4対6で女性の方が多かった。最終的には115席に7割くらいの入りは良い方では。

 気になった予告編は……下品なマナー広告と意味不明なQPのCM、ホフディランの「映画の中へ」(これはいい雰囲気)の新パーターンに続いて、上下マスクでアンジェリーナ・ジョリーが登場し、「最愛の大地」の予告。自身の初監督作だそうで、国内紛争を描いたものらしく意外とアクション・シーンも多く、しかもかなりリアルで怖そう。8/10公開。

 上下マスク「許されざる者」は新予告。たしかに日本が舞台だが西部劇っぽい。期待できるかも。9/13公開。

 NHKのTVドラマの劇場版「タイムスクープハンター」は戦国自衛隊的ストーリーの感じ。ただCGらしい安土城はよくできており、ひょっとしたら、と思わせる。はたして。8/31公開。

 「かぐや姫の物語」は動画付きの予告。高畑監督お得意の鉛筆タッチの手描きアニメということのようだ。「姫の犯した罪と罰。」というのは何なんだろう。気になる。秋公開。

 ロビーのTVモニターで予告らしきものを流していたが、そちらの方が画質が良いってどういうこと。画面が小さいからかもしれないが、傷はないし鮮明だし……。フィルムの限界なのか。

 入場者プレゼントで、真ん丸のスプーン、茶葉を量るオリジナル・デザインのティー・メジャーをもらった。ラッキー!


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