The Man with the Iron Fists


2013年8月3日(土)「アイアン・フィスト」

THE MAN WITH THE IRON FISTS・2012・米/香・1時間36分(IMDbでは95分と107分)

日本語字幕:手書き体下、岡田綾平/シネスコ・サイズ(デジタル、Red One)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://ironfists.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

19世紀の中国、叢林村(ジャングル・ビレッジ)では争いが絶えず、武器を作る黒人の鍛冶屋(RZA)は繁盛していた。鍛冶屋は儲けた金をマダム・ブロッサム(ルーシー・リュー)が経営する娼館「粉花楼」の娼婦レディ・シルク(ジェイミー・チャン)につぎ込んでいた。そんなある日、村の有力グループ「猛獅会」に総督(テレンス・イン)から5万両の金塊輸送の護衛の命が下る。ところが「猛獅会」のNo.2の銀獅子(バイロン・マン)とNo.3銅獅子(カン・リー)は金塊を強奪するためボスの金獅子(クアン・タイ・チェン)を暗殺。さらに金塊を強奪に来るという理由から、村のもう1つの勢力「群狼団」を襲撃する。父暗殺の知らせを受け、息子のXブレードことゼン・イー(リック・ユーン)は復讐のため村にもどるが、同じ頃、村にガン・マンのような英国紳士ジャック・ナイフ(ラッセル・クロウ)がやってくると、「粉花楼」に宿をとる。

71点

1つ前へ一覧へ次へ
 うむむ……英語で展開する中国の物語。エロ、グロ満載。舞台は娼館で、指が、腕が、目玉が、頭が飛び、内臓が腹からはみ出し、頭をナイフが貫通し、血が飛び散る。マカロニ・ウェスタンのような雰囲気もあるが、ありがちなストーリーに、安直な展開。なんのヒネリも無く、驚きも感動も無く、ただ1970年代くらいの古い映画のスタイルを再現したかったのかなあと。ちょっと眠かった。

 ただ画質が良いのと、音質が良いのは、この作品にはもったいないくらいで、内容とのバランスが取れていない感じ。まあデジタルだからなあ。そして豪華な配役。ほかに見るべきところはない。格闘技も、撮り方の問題もあるようで、ちっともカッコよく見えない。普通。格闘技の映画なのに。

 「空飛ぶ十字剣」(Dynasty・1977・台)などのように、超立体(3D)でなかったのは不思議なくらい。度を越したありえないアクションでは「片腕ドラゴン」(One Armed Boxer・1972・香)や、「片腕カンフー対空とぶギロチン」(One-Armed Boxer vs. Flying Guillotine・1975・台/香)なんてのもあったなあ。なんでも、監督・脚本・音楽・主演のRZAが「少林寺武者房(未)」(Shaolin and Wu Tang・1984・香)の大ファンらしい。ただ、映画俳優じゃないし、演技が飛び抜けてうまいわけでもないし、ごく普通の印象。音楽のファンはお金を払ってでも見たいかもしれないが……。

 その鍛冶屋のRZAは、葉隠れを扱った殺し屋アクション「ゴースト・ドッグ」(Ghost Dog: The Way of the Samurai・1999・仏/独ほか)や「キル・ビル」(Kill Bill: Vol. 1・2003・米)シリーズの音楽を手掛け、「アメリカン・ギャングスター」(American Gangster・2007・米)でラッセル・クロウと共演し、「レポゼッション・メン」(Repozesshon Men・2010・米/加)にも出演しているヒップ・ホップ界のカリスマなんだとか。つい最近「G.I.ジョー バック2リベンジ」(G.I. Joe: Retaliation・2013・米)にも出ていたらしい。ドイツのウーヴェ・ボル監督のようにならないことを切に願う。

 ジャック・ナイフはラッセル・クロウ。本作で役作りのため太ったとは思えないが、ちょっと太めになっていて驚いた。つい最近「レ・ミゼラブル」(Les Miserables・2012・米/英)に主人公を追うジャベール警部役で出ていた。まもなく公開される「マン・オブ・スティール」(Man of Steel・2013・米/加/英)にも出ているらしい。

 マダム・ブロッサムはルーシー・リュー。「チャーリーズ・エンジェル」(Charlie's Angels・2000・米/独)シリーズや「キル・ビル」シリーズが有名だが、最近はアニメの吹替やTVも増えてきたよう。独特の味で良い感じ。

 Xブレードことゼン・イーはリック・ユーン。何と言っても「007/ダイ・アナザー・デイ」(Die Another Day・2002・英/米)のダイヤモンドが顔に埋まったザオ役が強烈だった。悪役が多い人で、最近も「エンド・オブ・ホワイトハウス」(Olympus Has Fallen・2013・米)で悪役の指揮官を演じていた。

 レディ・シルクはジェイミー・チャン。TVから映画に出るようになって、大作は女性アクションの「エンジェルウォーズ」(Sucker Punch・2011・米/加)のアンバー役。

 ほかにも、ちょっとした役で有名な人が出ている。吹き矢の殺し屋ポイズン・ダガーは「ライジング・ドラゴン」(Chinese Zodiac・2012・香/中)の二枚目ダニエル・ユー。総督が「プロジェクトBB」(ROBIN-B-HOOD・2006・香)のテレンス・イン。回想シーンの鍛冶屋の母が「ジャキー・ブラウン」(Jackie Brown・1997・米)のパム・グリア。

 ちなみにムキムキの金属ボディを持つ金剛ことブラス・ボディは、WWEのプロレスラー、デイヴッド・バウティスタ。これまでにもTVドラマのゲスト出演などがあるが、スクリーン・デビューは、いつ日本公開されたのかわからないが「ライジング・サン〜裏切りの代償〜」(House of the Rising Sun・2011・米)で、なんと主演。今後の活躍が楽しみだ。

 銃は、ジャック・ナイフが腰のガン・ベルトに入れているリボルバー型ナイフが、回転するだけでなく実は銃にもなっていて、単発のようだったが撃つ。だったら最初から銃にしとけよ。連射できるボウガンは「ヴァン・ヘルシング」(Van Helsing・2004・米/チェコ)のようで、本当にこういうものがあるのだろうか。時代を反映して、胡狼軍のマシンガンはガトリング・ガン。ますます西部劇風。鏡の部屋は「燃えよドラゴン」(Enter the Dragon・1973・香/米)そのまま。密使というのもなあ。まあ映画好きということなんだろうけど。ラストにはちゃんとTHE ENDと出る。

 アイアン・フィストは鍛えて鋼鉄のようになった拳かと思いきや、敵に切断された腕の代わりに取り付ける鉄製の義手のこと。単に型に入れて鋳造しただけなのに、指まで動いてしまうからなあ。これはファンタジーSFだったのか。

 公開初日の初回、豊洲の劇場は全席指定で、前もってオンライン・チケットを購入し、金曜に座席も確保。当日、40分前くらいに着いて自動機でチケットを印刷してからコーヒーを飲んで、20分前くらいに行ったらすでに開場済み。観客層のほとんどはオヤジで、最終的に109席に20人くらいの入り。そのうち若い男性は1人か2人、オバサンが5人くらい。

 スクリーンはシネスコで開いていて、109席ながらスクリーン・サイズは充分。明るいまま始まった予告編で気になったのは……シネスコなのにわざわさぜ枠をとっての「マン・オブ・スティール」は新予告。ちょっと暗いイメージなのが引っかかるが、見たい気にはなる。8/30公開。

 ワク付きの「キャプテン・ハーロック」は人間以外のビジュアルは素晴らしい。人間がゲームっぽいのが残念。9/7公開。

 同じく枠付きの「ランナウェイ逃亡者」はロバート・レッドフォードとニック・ノルティ、スーザン・サランドンというスゴイ顔合わせ。ただ主役がシャイア・ラブーフらしいのが残念というか気になる。ベトナム戦争当時の過激派が、今、一般人になりすまし……という話らしい。豊洲なら見ても良いかも。10/5公開。

 場内がほぼ暗になってからが本当の予告らしく、同じ予告を何本か繰り返した。もちろんほぼ暗いので見やすい。印象も違う。上下マスクの「ゴート・エージェントR.I.P.D.」は、「ゴーストバスターズ」(Ghost Busters・1984・米)と「メン・イン・ブラック」(Men in Black・1997・米)の合体のような映画。これを真剣に作ってしまうとは。ちょっと不安はあるが……10/18公開。

 左右マスクの「ウルヴァリン:SAMURAI」は新予告。走る新幹線の上で戦ってるし、すごそうな感じ。9/13公開。

 左右マスクの「スタートレック イン・トゥ・ダークネス」も新予告。低音の振動がすごかった。8/23公開。

 「パシフィック・リム」も新予告に。絵がきれいで、音もクリアで迫力がある。8/10公開。


1つ前へ一覧へ次へ