World War Z


2013年8月10日(土)「ワールド・ウォーZ」

WORLD WAR Z・2013・米/マルタ・1時間56分

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(レンズ、Arriflex、Super 35、一部デジタル)/ドルビー・サラウンド7.1、DATASAT(IMDbではドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS)

(米PG-13指定)(日本語吹替版、3D上映もあり)

公式サイト
http://www.worldwarz.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

世界各国で、異常気象や謎の感染症が発生するなど、不穏な空気が流れる中、2人の娘たちを車で学校に連れて行こうと、妻のカリン(ミレイユ・イーノス)とともに車で出発したジェリー(ブラッド・ピット)は、大渋滞に巻き込まれる。その時、かつての上司、国連事務次官のティエリー(ファナ・モコエナ)から、ヘリを迎えにやるから、至急現場に復帰してくれという電話が入る。戦争現場の調査にうんざりしていた元調査管のジェリーは断るつもりだったが、人が人を食い、かまれたものがゾンビとして生き返るという異常事態が街全体で広がっているのを目にし、復帰を決意する。NYの沖合に停泊する国連の空母に着くと、アメリカ海軍の司令官(デイヴッド・アンドリュース)が指揮をとっており、アメリカ大統領が死亡し、副大統領も行方不明という状況だという。そして感染を食い止めるため、感染症の専門家ファスバッグ博士(エリス・ガベル)と協力して、特殊部隊とともに感染者0号にたどり着き、原因をつきとめるように依頼される。協力しなければ、家族をここから叩き出すという。しかたなく、ジェリーは特殊部隊を護衛に、世界で最初に「ゾンビ」の報告を上げた韓国へ向かう。

74点

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 心配したようにゾンビ物だったが、ゾンビはメインではない。だから一般的なゾンビ物と違って、どうやってゾンビから逃げて生き残るかという物語ではなく、その原因をさぐり、対処法を解明するための冒険物語なのだ。ゾンビはオマケのようにもので、どうでもいい。極端にいえば爆発的に観戦するものなら何でも良いわけで、いわば「マクガフィン」なのだ。

 見どころは、アリのように見える人間の大群衆によるモブ・シーンと、主人公が世界各地の危険な地域に潜入して、謎を解いていくところ。それはアクション満載だが、知的要素も多く、まるでロバート・ワイズ監督の傑作「アンドロメダ…」(The Andromeda Strain・1971・米)のような面白さもある。だからゾンビでなくても良かったんじゃないかなあ。欧米では受けるのだろうが、日本人的にはチープな感じがしてしまい、しかも3Dなんて必要あったのかどうか。むしろアクション・シーンはカットが早く、3D認識できないまま次のカットへ行くので、シーンによってはとても疲れて目が回る。効果もそれほど出ていなかったし。

 ジェリーを演じたブラッド・ピットは、プロデューサーも兼任。製作会社の「プランB」はブラッド・ピットの会社だ。となれば当然ただのゾンビ映画ということはないだろう。ただ最近製作を担当した「ツリー・オブ・ライフ」(The Tree of Life・2011・米)や「ジャッキー・コーガン」(Killing Them Softly・2012・米)はイマイチの感じ。「マネーボール」(Moneyball・2011・米)は悪くなかったが映画的な盛り上がりに欠けた気もする。

 ジェリーの上司、国連事務次長のティエリーはファナ・モコエナ。話題となった「ホテル・ルワンダ」(Hotel Rwanda・2004・英/米ほか)に出ていた人で、ほかに「マシンガン・プリーチャー」(Machine Gun Preacher・2011・米)や「デンジャラス・ラン」(Safe House・2012・米/南ア)にも出ている。

 救出チームのヘリのパラジャンパーはマシュー・フォックス。ほとんどセリフもないが「終戦のエンペラー」(Emperor・2012・米/日)で主役をやっていた人だ。こういうぜいたくな使い方をするとは。

 韓国に駐留している特殊部隊の隊長スピーク大尉はジェームズ・バッジ・デール。「ローン・レンジャー」(The Lone Ranger ・2013・米)でテキサス・レンジャーの隊長をやっていた人。

 韓国のアメリカ空軍基地の留置場にいる元CIAの男バート・レイノルズ(!)はデヴィッド・モース。色んな国の作品に出ている人で、ちょっと前、渡辺謙が出た「シャンハイ」(Shanghai・2010・米/中)に出ていた。

 イスラエル軍の女性兵士セガンはダニエラ・ケルテス。イスラエル生れの24歳。モデルっぽい人だが、本作ではスキンヘッドでかなりガンバっている。TVで活躍していたようで、本作が劇場長編映画デビュー作。今後活躍しそうだ。

 原作はマックス・ブルックスの同名小説(文芸春秋)。なんとこの人、映画監督で俳優で脚本家のメル・ブルックスと女優アン・バンクロフトの息子。役者としてもTVを中心に結構出ているらしい。

 脚本は3人クレジットされていて、マシュー・マイケル・カーナハン、ドリュー・ゴダードとデイモン・リンデロフだ。マシュー・マイケル・カーナハンは「キングダム/見えざる敵」(The Kingdom・2007・米/独)や「大いなる陰謀」(Lions for Lambs・2007・米)、リメイクの「消されたヘッドライン」(State of Play・2009・米/英/仏)を書いている。ひねった戦争系が多いか。ドリュー・ゴダードは「クローバーフィールド/HAKAISHA」(Cloverfield・2008・米)の脚本と、トンでもホラーの「キャビン」(The Cabin in the Woods・2011・米)の監督・脚本を手掛けた人。その前に人気TV「バフィ恋する〜十字架〜」(Buffy the Vampire Slayer・1997〜2003・米)、スピンオフの「エンジェル」(Angel・1999〜2004・米)、「エイリアス」(Alias・2001〜2006・米)の脚本を多数手掛けている。アクション系が得意か。デイモン・リンデロフは人気TVドラマの「LOST」の企画と製作総指揮をやったひとで、SF西部劇の「カウボーイ&エイリアン」(Cowboys & Aliens・2011・米)、そして人気シリーズの最終作「プロメテウス」(Prometheus・2012・米/英)の脚本を書いている。最新作は「スタートレック イントゥ・ダークネス」(Star Trek Into Darkness・2013・米)らしい。この人はSF系の人か。

 監督はドイツ生れのマーク・フォスター。話題作をたくさん手掛けているが、最近だと新しいボンド像に挑んだ「007/慰めの報酬」(Quantum of Solace・2008・英/米)や、実話に基づく衝撃的な作品「マシンガン・プリーチャー」(achine Gun Preacher・2011・米)を監督している。リアル系の人だと思うが、だからゾンビに偏らずに本作を撮れたのではないだろうか。

 登場した銃は、最初逃げるとき娘がキャンピングカーで発見するのが、ボルト・アクション・ライフル(レミントンM700)、主人公一家を救出に来るヘリの隊員たちがM4カービン、FNミニミ。韓国の米軍基地でも兵士はだいたいM4カービン。EOTechが付いているものもあった。若い博士に護身用に渡されるのはグロック。ブラピにトリガーに指を掛けるなと注意されるのに、「Z」(ゾンビの呼び名)に襲われてパニックになり、逃げるとき足を滑らせ転倒、暴発させてしまうエピソードはリアル。イスラエルでは軍がXM177系のショーティ、FN MAG、タボールなどを装備。ブラピを護衛する女性兵士セガンはショーティとジェリコを使用。旅客機が不時着して入手するのはM92。WHOの研究所ではグロックを使う。

 軍人が多く登場するので、ミリタリー・アドバイザーやミリタリー・テクニカル・アドバイザーの他、ミリタリー・トレーナーなども参加している。軍人らしい所作、銃の構え方から索敵の仕方などまで教えて入るのだろう。確かに本物っぽい気がした。またロケ地ごとに武器係もいるようで、関連するスタッフも多い。

 公開初日の初回、六本木の劇場は全席指定で金曜にムビチケで確保。劇場そのものの開場が15分前ということで、とりあえずスタバで時間をつぶし、もどったら開場済み。あわててvitで入場券を発券して場内へ。この時点では15〜16人。女性は3〜4人。若い人から中高年まで、わりと幅広い。その後、中学生くらいの3人組が来たりしたが、ほぼ同様の比率で、最終的に369席に4割くらいの入り。もっと入っても良い気がする。それにしても遅れてくるヤツが多い。

 予告編の前にムービー・ゴーイングとCMがあり、明るいままで非常に見にくかったが……上下マスク「47 RONIN」はキアヌー・リーブスの主演で、四十七士の「忠臣蔵」かと思ったら、どうもオリジナルの作品になるらしい。真田広之、柴崎コウ、浅野忠信、菊地凛子ら日本人キャストも多く出ているらしい。12月公開。

 「Rush」はロン・ハワードのビデオ・メッセージ付きで、ジェイムズ・ハントとニキ・ラウダのバトルを描いたF1映画らしい。いつ公開かは不明。

 上下マスク「悪の法則」はリドリー・スコット監督の新作。マイケル・ファスベンダー、ハビエル・パルデム、ブラッド・ピット、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアスといった豪華顔合わせ。内容は良くわからなかった。11/15公開。

 半暗になってからが、たぶん正規の予告。宮藤官九郎、阿部サダヲのコンビによる「謝罪の王様」は土下座の向こう側を描くコメディらしい。AKが出てたが……。9/28公開。

 上下マスクの「永遠の0」は百田尚樹原作の映画化。すでに予告で泣きそうな感じ。ちょっと「男たちの大和/YAMATO」(2005・日)に構成が似ている気もするが……。見たい。12/21公開。

 上下マスクの「清州会議」は三谷幸喜コメディ。またまたオール・スター・キャストで、主演は大泉洋と役所広司か。おもしろそう。11/9公開。

 「潔く柔く」はお涙頂戴ラブ・ストーリーらしい。なんと読むのかと思ったら「きよくやわく」だとか。日本語が良くわからなくなってきた。10/26公開。

 「ATARU」は中居正広主演のTVドラマの劇場版。M92なんかも出ていたようだが……9/14公開。

 「サイド・エフェクト」は意味が良くわからないがソダーバーグ最後の劇場作品だそう。亡くなっていないと思うのだが、引退ということなんだろうか。ハリウッドならすぐ復帰ということもありそう。映画は薬の副作用で殺人を犯してしまう話らしい。9/6公開。

 上下マスクの「マン・オブ・スティール」は新予告に。やっばり主人公の表情が暗いなあ。公式サイトは50%からなかなか進まない。8/30公開。

 3Dメガネを掛けるように指示があってから上下マスクの「ウルヴァリン:SAMURAI」の新予告。まあ立体化という感じ。予告編はカットが短いので3D上映には向かない。頭で認識する時間がない。9/13(金曜!)公開。

 上下マスク「スタートレック イントゥ・ダークネス」も3D予告。カットが短く良くわからない。8/23公開。

 暗くなって本編へ。しかし、ケータイを場内で点けるな。しかも遅れてきて、堂々と使っている。本当にマナーが悪い。注意がスクリーンに出ても、ケータイを見ているからまったく効果なし。ケータイ中毒者か。歩きスマホも多いしなあ。


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