End of Watch


2013年8月17日(土)「エンド・オブ・ウォッチ」

END OF WATCH・2012・米・1時間49分

日本語字幕:黒フチ丸ゴシック体下、種市譲二/ビスタ・サイズ(デジタル、Canon)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米PG-13指定、日PG12指定)

公式サイト
http://gacchi.jp/movies/eow/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ロサンゼルスの重犯罪多発地区サウス・セントラルのなかでら、さらに危険なニュートン地区を担当する警官のテイラー(ジェイク・ギレンホール)とザヴァラ(マイケル・ペーニャ)は、パトカーのX13でパトロールする相棒同士。毎日、街のトラブルに対処しているが、ある日、火事に遭遇し、命がけで幼い子供たちを助け出し、表彰される。そして、ある日、連絡が取れなくなった母の家を見てくれという要請で行った家で、大量の麻薬と死体を発見してしまったことで、ギャング組織から2人の抹殺命令が出る。

75点

1つ前へ一覧へ次へ
 またまた手持ちカメラのPOVかと思ったら、それも使っているが、それだけではなくフィックスの画像もあったため、まだ見られる絵。商業映画なら、お金を撮れる絵を撮れと言いたくなるものの、ぎりぎりのライン。ただ、そのおかげで警察官の毎日の激務の臨場感は半端ない。ちょっと目は回るが、一緒にパトロールしているような雰囲気。感情も良く伝わってくる。もうちょっと絵がよければ……。

 非常にリアルな作りで、最初はダメ警官の堕落の物語かと思ったら、それはミス・ガイド、あえての演出のようで、次第に彼らがたぶん等身大の警官で、命がけで街の治安を守ろうとする人々なのだとわかってくる。いや、治安と言うより大小のトラブルを解決する何でも屋のような仕事だと。持ち込まれるトラブルは、犬が吠えているとか、ばあさんの姿が見えないとか、隣の騒音がうるさいとか、そんな類い。それでも現場に向かい、取りあえず対処する。そしてときどきそれは麻薬事件に発展したり、大事件になったりする。しかし、刑事ではないから捜査は行わず、現場の封鎖などだけに専念する。そのジレンマ。

 最終学歴に関わらず、英語がちゃんと読めなかったり、過去に多少問題を起こしたりしていてもなれるらしいが、こんなに危険でむくわれない仕事をしようというのは、かなりの覚悟が必要だろう。カッコつけて街の治安を守るとかいうレベルじゃない。カー・チェイスでは事故を起こして死ぬかもしれないし、汚い侮蔑の言葉を浴びせかけられ、アブナイやつらの対処は一歩間違えば死につながる。仲間を家族、相棒を兄弟と呼ぶのもわかる。ラストに日本語字幕が付いていないが、警官たちに捧ぐと言う献辞が出る。

 ブライアン・テイラーはジェイク・ギレンホール。とにかく良かったのは実話に基づく青春感動イトーリー「遠い空の向こうに」(October Sky・1999・米)。あの少年がこうなるとは。同性愛を描いた「ブロークバック・マウンテン」(Brokeback Mountain・2005・米/加)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、人気ゲームの映画化「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」(Prince of Persia: The Sands of Time・2010・米)はとても残念だったが、最近時間逆転SFアクション「ミッション:8ミニッツ」(Source Code・2011・米)は感動的で良かった。姉は女優のマギー・ギレンホール。本作ではグロックを使っている。劇中ではG19と言っているが、どうみてもスタンダード・サイズ。imfdbでは.40S&WのG22としている。バックアップは撃たないがステンレスのS&W・M640。サングラスはオークリーのGascan。本作では製作総指揮も兼ねている。

 相棒のマイク・ザヴァラはマイケル・ペーニャ。感動群像劇「クラッシュ」(Crash・2004・米/独)も抜群に良かったが、アクション「ザ・シューター/極大射程」(Shooter・2007・米)のFBI役が印象に残る。つい最近「L.A.ギャング・ストーリー」(Gangster Squad・2013・米)でも警官を演じていた。銃はテイラーと同じグロック。もちろん支給品だから当然。ガン・ライトはシュアファイアー。ショットガンはレミントンM870。サングラスはオークリーのRadar Pitch。

 テイラーの彼女、ジャネットはアナ・ケンドリック。「トワイライト〜初恋〜」(Twilight・2008・米)で目立っていた美女だ。その後ジョージ・クルーニーの「マイレージ、マイライフ」(Up in the Air・2009・米)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされて注目される。オタッキーな青春映画「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(Scott Pilgrim vs. the World・2010・米/英ほか)では主人公の美人な妹役をやっていた。公開を控えている作品が6本くらいあるようで、今後活躍しそうだ。

 巡査部長(サージ)はフランク・グリロ。ロル・ギブソンの刑事ドラマ「復讐捜査線」(Edge of Darkness・2010・英/米)、暗い話の「THE GREY 凍える太陽」(The Grey・2012・米)、話題作「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2012・米)にも出ている。ラストでパトカー越しに使うのはレミントンM870。

 メキシカン・マフィアが使うのは折畳みストックのAKMS。劇中、警察は防弾ベストを着ているからAKを使えといっている。押収される中にはアラブの王族用のような金めっきモデルもある。ハンドガンはガバメントとコマンダーの彫刻入りで銀めっきのデラックス・モデル。これはメル・ギブソンの「キック・オーバー」(Get the Gringo・2012・米)でも描かれていた。メキシカン・マフィアはこういう銃が好きらしい。マフィアが不法占拠していた家で発券される銃は彫刻入りのPPKかと思ったら、imfdbによるとアストラ版のPPKことコンスタブルらしい。移民・税関捜査局(I.C.E.)の捜査官はイオテックを付けたM4カービン。

 ウェポン・コンサルタントはリック・ロペス。「フェイク・シティ ある男のルール」でテクニカル・アドバイザーをやった人だ。ほかにアーマラーとして、読み取れなかったがケリウム・ゲローチェとか何とか言う人も。また数人のテクニカル・アドバイザーも参加しており、マーシャル・アーツ・インストラクターも加わっている。

 監督・脚本・製作はデヴィッド・エアー。面白かったキアヌー・リーヴスの刑事アクション「フェイク・シティ ある男のルール」(Street Kings・2008・米)で監督デビューした人。海軍で潜水艦に乗り込んでいたことから、潜水艦映画「U-571」(U-571・2000・仏/米)の脚本でハリウッド・デビュー。そのあと大ヒット作の第1作「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米/独)を書き、さらにデンゼル・ワシントンの暗い悪徳警官映画「トレイニング・デイ」(Training Day・2001・米/豪)も書いている。「S.W.A.T.」(S.W.A.T.・2003・米)の脚本も手掛けており、警察ものが多い。実際、彼は10代をこの危険なサウス・セントラルですごしたらしい。見た目もギャングっぽい人。

 公式サイトにはL.A.P.D.ワードというページがあり、警察用語が一部紹介されていて興味深い。タイトルのエンド・オブ・ウォッチは勤務時間終了のことだそうだが、そこから殉職という意味もあるらしい。また日本でもヒーロー物などで使われる「了解」という意味の「ラジャー(Roger)」だが、どうもよく聞いていると最近は「ロジャー」と発音しているようだ。Aをアではなくエイと読むようになってきたのと通ずるのかもしれない。

 公開初日の初回、銀座の劇場は全席していで水曜日に確保。当日25分前くらいに着いたらすでに開場していた。15〜16人いて、20代くらいは4〜5人。女性は2人。あとは中高年男性。最終的に350席の3.5割くらいが埋まった。内容から行くとこんなところか。それにしても、関係者が多過ぎ。上映直前には観客席の後ろの手すりに鈴なり状態。30人くらいはいただろうか。しかも、予告が終わって、本編が始まったところで出ていくので、ドアから外の光が漏れてくる。迷惑だ。2〜3人で充分だろう。

 明るいまま始まった予告は、暗いシーンだと良く見えない。遅れて来て、ケータイを懐中電灯代わりにするヤツらへの配慮もあるのだろうが、お金を払っているのだとしたら、ちゃんと観客に伝わらないのは問題なのではないだろうか。

 気になったのは……オール・スター・キャストのような松本人志監督の「R100」はどんな映画なのだろう。つぎつぎと映画が作れるなんて、なんとうらやましい。映画一筋にやって来て、なかなか撮らせてもらえない人はたくさんいるだろうに。10/5公開。

 「ルームメイト」は北川景子と深田恭子がルームメイトとなる話で、どちらかが、あるいは両方が、実は裏の顔を持っているというものらしい。11/9公開。ハリウッド作品にもブリジット・フォンダとジェニファー・ジェイソン・リーの「ルームメイト」(Single White Female・1992・米)というスリラーがあったけど……。

 上下マスクの「おしん」は新予告へ。主役の子がとてもかわいいけれど、山形の方言だかの訛りがきつくて、よくわからないところも。10/12公開。

 「ブリングリング」はどれがタイトルかも良くわからず、いつ公開なのかも良くわからない予告。これで効果があるのか。まあ結局調べてしまったから、その意味では効果あるのかも。12月公開。

 ラストにタイトルが出て覚えきれない「ばしゃ馬さんとビッグマウス」はまたライトな感覚のもの。「俺はまだ本気出してないだけ」的な印象だったが……。


1つ前へ一覧へ次へ