White House Down


2013年8月18日(日)「ホワイトハウス・ダウン」

WHITE HOUSE DOWN・2013・米・2時間12分(IMDbでは131分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.whitehousedown.jp/
(全国の劇場リストもあり)

アメリカ合衆国の議会警察官のジョン・ケイル(チャニング・テイタム)は、大統領を警護するシークレット・サービスになるため知り合いのエージェントのジェンナ(ジャッキー・ゲリー)に面接をさせて欲しいと頼み、次席警護官キャロル・フィナティ(マギー・ギレンホール)の面接を受けるが、経歴や上司の評価などから不採用となる。しかし、ジェンナから大統領の大ファンでホワイト・ハウスオタクの11歳の娘エミリー(ジョーイ・キング)のためにホワイト・ハウスへの入館パスを取ってもらうと、2人でホワイトハウスを訪れる。するとちょうどガイドのドニー(ニコラス・ライト)による見学ツアーが始まるところで、2人はそれに参加する。そんなとき、議事堂で爆発が起こり、ホワイト・ハウスはすぐに封鎖されるが、今日で引退となるシークレット・サービスの主席警護官のマーティン・ウォーカー(ジェームズ・ウッズ)は、作業員に化けて侵入していた男たちを指揮して、次々とシークレット・サービスを射殺すると、制圧してしまう。

73点

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 ローランド・エメリッヒ監督のイメージだとどうしても大味で、大規模なアクションを想像してしまいがちだが、本作は意外にもコンパクトな話で、個人の小さな戦いを重ねていって解決に至るという手法で、良かった。ちょっと「ダイ・ハード」(Die Hard・1988・米)シリーズを彷彿とさせるところはあるが……。

 もちろん、ちょっと前に公開された「エンド・オブ・ホワイトハウス」(Olympus Has Fallen・2013・米)とも良く似ている。結局は元特殊部隊(本作はアフガン帰りシルバー・スター勲章の戦場の英雄)のシークレット・サービス(本作は就職希望者)がほぼ1人で活躍して解決すると。「エンド……」同様、こういう事件が起きるとは思えない設定だが、それでは話が成立しないので、アリとしなければ始まらない。で、それはありがちではある。「エンド……」は北のテロ、本作は息子を軍事作戦で失った政府幹部の裏切り(実はさらにヒネリがあるが、まあ軍産複合体的なものだから……)。

 それでも、ジェットコースター・ムービーで、観客を一時も飽きさせず、休ませず、一気に物語に巻き込んで最後まで引っ張り回してくれる。しかもちょっと長めの132分なので、簡単には解決しない。展開は二転三転する。90分くらいのお手軽作品が多い中、やはり120分を超えると見ごたえもある。ただ、考える時間が与えられないので、物語はあまり複雑ではなく、考える必要もないようにはなっている。

 シークレット・サービスに就職希望のジョン・ケイルはチャニング・テイタム。自信でもプロデュースするようになったためか、最近映画に出まくり。男性ストリッパーの「マジック・マイク」(Magic Mike・2012・米)、「G.I.ジョー バック2リベンジ」(G.I. Joe: Retaliation・2013・米)、そして本作。すぐに「サイド・エフェクト」(Side Effects・2013・米)も小劇場系ながら公開される。やはり、ちょっととぼけた感じが持ち味なのだろうか。使っていた銃は、敵のものやシークレット・サービスのものを拾って、M92、グロック、スプリングフィールドのXD、P229など。そして長物はAPC9サブマシンガン、SIGのSG552など。ラストにはミニガンをぶっ放す。カットごとに銃が変っていたような気もするが、その辺は大味なローランド・エメリッヒならではか。

 ソイヤー大統領はジェイミー・フォックス。この人も良く映画に出ているが、つい最近話題作「ジャンゴ繋がれざる者」(Django Unchained・2012・米)で主演を務めたばかり。まあ、いろんな役をやる。公開を待つ新作が3本。噂されているものが1本。使っていた銃は、やはりその場で拾ったXD、シュタイヤーMP9など。なんとRPGも撃つ。

 次席警護官キャロル・フィナティはマギー・ギレンホール。「エンド・オブ・ウォッチ」(End of Watch・2012・米)のジェイク・ギレンホールの姉。最近は小劇場系の作品が多いようで、最後に見たのは「ダークナイト」(The Dark Knight・2008・米/英)だったような。本作は久々の大作。妙に色っぽい感じが良い。

 下院議長のラフェルソンはリチャード・ジェンキンス。最近だとトム・クルーズのアクション「アウトロー」(Jack Reacher・2012・米)や、ブラッド・ピットの残念なヤクザもの「ジャッキー・コーガン」(Killing Them Softly・2012・米)に出ていた人。ちょっと悪役が多い感じ。

 主席警護官のマーティン・ウォーカーはジェームズ・ウッズ。「ヴィデオドローム」(Videodrome・1982・加)の人だが、最近はTVが多いようで、最近劇場で見たのは「エンドゲーム大統領最期の日」(End Game・2006・独/米/加)だったような。同じ様なことをやってるなあ。この人も悪役が多い。ショルダー・ホルスターにM92を吊っている。

 元特殊部隊のデルタで悪党のリーダー、ステンツはジェイソン・クラーク。最近良く見る人で、「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2012・米)、「欲望のバージニア」(Lawless・2012・米)、「華麗なるギャツビー」(The Great Gatsby・2012・豪/米)と立て続けに出ていた。どれも割と暴力的な役ぱかり。本作もなかなか憎たらしい。使っていた銃は、ワルサーのPPQ。

 ほかに銃はテロリストがAPC9サブマシンガン、M4、ミニガン、M2ブローニングなど。そしてRPGにジャベリン(劇中でそう呼んでいる。対戦車ミサイルFMG-148)まで使う。冒頭のAR系スナイパー・ライフルは、imfdbではDPMSのNATO REPRとしている。ちょっと違う気もしたが……。

 アーマラーはヴィンセント・ジョセフ・フラハティ。2000年に入ってから活躍している人で、最近だと近未来SFアクション「ザ・ウォーカー」(The Book of Eli・2010・米)や痛快中高年アクション「RED/レッド」(Red・2010・米)、SFアクション「TIME/タイム」(In Time・2011・米)などを手掛けている。SFファンタジー系が多いか。

 脚本はジェームズ・ヴァンダービルト。面白かったジョン・トラヴォルタのミリタリー・ミステリー「閉ざされた森」(Basic・2003・米/独)や、ザ・ロックだった頃のドウェイン・ジョンソンの痛快アクション「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」(The Rundown・2003・米)を書いた人。ちょっと間があき、最近だとリメイク版の「アメイジング・スパイダーマン」(The Amazing Spider-Man・2012・米)を書いているが、どうなんだろう。ただ、公開待機作品は「ロボコップ」も含めて5本もある。

 監督はドイツ生れのローランド・エメリッヒ。いかにも映画らしいスケールの大きな派手な作品が多い人。その分、多少大味になって、ディテールがおざなりになりがち。監督より製作総指揮として関わることが多い。最近監督したのは「紀元前1万年」(10,000 BC・2008・米/南ア)や「2012」(2012・2009・米)など残念な感じのものが続く。そのあと「もうひとりのシェイクスピア」(Anonymous・2011・英/独/米)という歴史ミステリーもあったようだが、小劇場公開で見ていない。どうだったんだろう。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席自由で、念のため混むといけないので45分前に着いたら1ファミリーが劇場を間違えて並んでいた。30分前くらいにチケット売り場が開いたら気付いたようで移動。20分前くらいに開場となり、この時点で12〜15人くらい。女性は3人。ほぼ中高年。最終的には1,064席に70〜80人くらいの入りで、余裕だった。多くの人は新しい劇場へ流れたか。ボクも失敗かと思ったが、デジタル上映だったし、スクリーンが大きかったので、まあいいか。

 スクリーンが左右に広がって、少し上下に狭まって始まった予告編は、やはり明るくて見にくいパターン。40億の金を4つの組織、DEA、海軍、CIA、マフィアで奪い合うというアクション「2ガンズ」は、デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグの顔合わせ。なかなかおもしろそう。11/1公開。


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