Star Trek Into Darkness


2013年8月24日(土)「スター・トレック イントゥ・ダークネス」

STAR TREK INTO DARKNESS・2013・米・2時間12分

日本語字幕:影付き丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision、一部IMAX)/ドルビーATMOS、DATASAT、Dステレオ(IMDbではドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS、ドルビーATMOS)

(米PG-13指定)(3D上映、IMAX版、日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.startrek-movie.jp/
(全国の劇場リストもあり)

宇宙暦2259.55年、USSエンタープライズは未開の惑星で大噴火しそうな火山を発見。そのままでは惑星が破壊される危険もあるため、噴火を阻止しようとスポック(ザッカリー・クイント)が火口に入って特殊な装置を設置するが、取り残されてしまう。艦長のカーク(クリス・パイン)は海に隠してあったエンタープライズ号を、ルールに違反して原住民の目にさらし、救出する。地球に戻ったカークは、恩人のパイク提督(ブルース・グリーンウッド)から規則を破ったことで解任を告げられる。そのとき、ロンドンにある宇宙艦隊のケルヴィン記録保管所が自爆テロにより破壊され、宇宙艦隊の副長クラスまで全員の緊急招集がかかる。マーカス提督(ピーター・ウェラー)は犯人がジョン・ハリソン中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)と特定、逮捕を命じる。が、その瞬間、会議場のビルの外に武装した小型機が現れ、会議場に銃弾を撃ち込む。カークの機転で襲撃者を撃退するものの、それはハリソンで、小型ワープ装置により逃亡してしまう。またこの時の襲撃でパイク提督が犠牲となる。これにより、カークはマーカス提督よりUSSエンタープライズを再び任せられ、ハリソンを追跡し、ただちに殺害するよう命じられる。しかし、ハリソンがワープした先は、敵であるクリンゴンの本拠地があるクロノスだった。

77点

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 前作の素晴らしさを全く失っていない驚きの続編。ものすごい冒険。目を見張るような美しい映像と立体的でクリアーな音響。重低音の爆発音は劇場全体に響き渡り、座席が振動するほどの大迫力。デジタル合成を駆使したSFXはものすごくリアル。一体どうやって撮影したのか。まるで違和感がない。3D上映により立体感は、わざとらしい前景、中景、遠景があるときのみ、立体感が感じられた。もっとも素晴らしかったのは、ある惑星の原住民が射掛けてくる矢の攻撃。おもわず避けてしまった。

 ほとんどノンストップで、ジェットコースター・ムービー。あまり考えるヒマを与えてくれない。通常これだと感情が伝わって来にくいのだが、ハラハラドキドキの設定も巧妙で、ボクが言うのもおこがましいが「スター・トレックの世界観」とはこうなんではないかと思えてくる。マニアの人は違うというかもしれないが、ボクらレベルだとリスタートさせた前作、そして本作が映画としてはシリーズ・ベストのできではないだろうか。

 もちろんビジュアルは完璧なまでに素晴らしいが、何より良いのは脚本だろう。NHKでときどきやっていたマイケル・サンデル教授の講義のように、参加者(登場人物)に次から次へと選択がむずかしい問題を突きつけてくる。たとえば、冒頭の「ルールを破ってでも部下の命を救いに行くべきか、ルールを守るためには見殺しでもしかたないのか」といったこと。簡単に答は出せない。そして映画に正解はない。だから必然的に観客もそれについて考えさせられることになる。カーク船長自らが語るように「自分が最善だと思うことを全力でやる」しかないのだ。

 なぜ、最新鋭艦の内部や操縦方法を300年間冷凍睡眠していた男が知っているのかとか、クリンゴンと戦って戦争にならないのかとか、ラストの逆転解決エピソードなど、多少気になった部分はあるものの、字幕の制限と、ボクが頭が悪くて良く理解できていないかもということもあり、それほど問題ではない。むしろ、実に良くできている。これは次作も期待できる。

 主要キャストはほぼ全員前作からの継続出演。新たなキャラクターは…… マーカス提督を演じたのは「ロボコップ」(RoboCop・1987・米)のピーター・ウェラー。最後に見たのはヒース・レジャーのホラー「悪霊喰」(The Order・2003・米/独)だったろうか。久々に見た感じ。そのマーカス提督の娘で科学士官のキャロルはハリソン・フォードの「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」(Crossing Over・2009・米)で若手女優を演じていた人。「メン・イン・ブラック3」(Men in Black 3・2012・米/アラブ首長国連邦)ではエマ・トンプソンが演じたエージェント・オーの若い頃を演じていた。「推理作家ポー最期の5日間」(The Raven・2012・米ほか)ではポーの婚約者を演じ、かなり目立っていた。それで本作に繋がったか。

 犯人のジョン・ハリソン中佐はベネディクト・カンバーバッチ。プロモーションのため来日し、女性が集まって大騒ぎになっていたが、本作では完全な悪役。なぜかと思ったら、高評価のTVドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」(Sherlock・2010〜・英)で主人公のシャーロック・ホームズを演じているらしい。そのヒットのおかげで公開待機作が7本もあるという人気ぶり。今後の活躍が楽しみ。

 ちなみに、今回も初代スポックのレナード・ニモイが出ている。80歳を超えてまだまだ元気なようだ。

 脚本は三名。ロベルト・オーチー、アレックス・カーツマン、デイモン・リンデロフ。ロベルト・オーチー、アレックス・カーツマンはコンビで仕事をしており、3人とも前作から製作も兼ねて関わっている。前作後はTVの「FRINGE/フリンジ」(2008〜2012・米)シリーズや「HAWAII FIVE-O」(2010〜・米)シリーズの製作総指揮や、「カウボーイ&エイリアン」(Cowboys & Aliens・2011・米)の脚本を手掛けている。デイモン・リンデロフは前作の製作後、「カウボーイ&エイリアン」、「エイリアン」(Alien・1979・米/英)の続編「プロメテウス」(Prometheus・2012・米/英)、「ワールド・ウォーZ」(World War Z・2013・米/マルタ)の脚本を手掛けている。

 監督は、前作から引き続きJ・J・エイブラムス。プロデューサーとしての活躍の方が多く、人気TVドラマ「LOST」(Lost・2004〜2010・米)や「エイリアス」(Alias・2001〜2006・米)、「FRINGE/フリンジ」(Fringe・2008〜2013・米)などを手掛ける。映画では「SUPER 8/スーパーエイト」(Super 8・2011・米)や「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・米/独/中)を監督している。スゴイ人だ

 銃器はもちろんフェイザーだが、会議場の襲撃シーンでは、ガードがブルパップ系のタボールやSARのようなプロップを使っていた。カークもそれを使っていたようだったが……。

 公開2日目の初回、六本木の劇場は全席指定で、金曜にムビチケで確保。20分前ではまだ開いておらず、2〜3分してから開場となった。この時点では中高年が7〜8人。男女比半々というところ。次第に若い人も来たが、メインは中高年。予告編が始まり、半暗になった時点では369席に2割くらいの入り。その後も続々と入って来たが、たぶん最終的には3.5割くらいが埋まったと思う。

 明るいまま始まった予告と言うかニュースでは、上下マスク「47RONIN」が新予告。明るくてとても見にくかったが、なんだか中華っぽい雰囲気と展開。どうなるんだろう。12/3公開。また3Dも。

 驚いたのは「猿の惑星2」。作られるんだ。まだ写真構成で、2014年公開らしい。

 3Dメガネを掛けるように支持があってから、上下マスクの「ウルヴァリン:SAMURAI」の新予告。3Dなら暗くしてやって欲しかった。効果は良くわからなかった。9/3公開。

 上下マスク「マン・オブ・スティール」も3D予告。場内が暗くないので、これも効果は今ひとつの感じ。予告でカットも短いし。公式サイトはボクのPCからは50%以上進まない。8/30公開。

 ぎりぎりでやっと暗くなり、スクリーンが左右に広がって本編へ。

 それにしても、予告でガンガン流れていた摩天楼に宇宙船が墜落してくるシーンはラスト・シーンだったんだ。見慣れすぎていて、感動が薄かった。もっと予告編の映像は考えてくれないと。


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