Gatchaman


2013年8月25日(日)「ガッチャマン」

GATCHAMAN・2013・日本テレビ放送網/日活/東宝/読売テレビ放送/バップ/タカラトミー/タツノコプロ/STV/MMT/SDT/CTV/HTV/FBS・1時間53分

シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビー・デジタル

(一部字幕版もあり)

公式サイト
http://www.gatchaman-movie.jp/
(全国の劇場リストもあり)

2015年、東ヨーロッパで突如現れたギャラクターと名乗る怪物たちに多くの町が占拠されていった。彼らは特殊なシールドで守られており、人類の武器は通じなかった。17日で世界の半分が壊滅した。しかし青く光る特殊な石と呼ばれる結晶体が発見され、その石に選ばれ覚醒した者がそれを身に付けることで彼らのシールドを破ることができることが判明。ISOと呼ばれる組織は適合者を集めてトレーニングを開始する。13年後、ついに東京で適合者の初めての実戦投入が行われることになる。

70点

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 日本映画としてはたぶん破格のCG使いまくりSFX映画。合成はおおむね自然で、違和感がない。ついにハリウッド並となったかという気もするが、最近はTVでも使い始めているので、特にスゴイというわけではないが、これだけ大量に使われるとさすがに映画だなと。日テレ60周年記念作品。

 ただ、なぜか理由はハッキリわからないが、チープ感が漂っている。それは、爆弾の時限装置の時間表示部分の枠が発泡スチロールっぽかったり、秘密基地の指示を出す卓のようなものにも……。昔のTVのヒーローものっぽいにおいがプンプンと。光線銃の光線とか、赤いバリヤーとか……火花が出るのはちょっと新しいとしても、やっぱりこの辺が伝統の表現という感じで、いまひとつ……。サイド・ストーリー的なラブ・コメ部分も定番過ぎてチープ感を強めている。きわめてTVっぽい雰囲気。中途半端にやるよりは三池崇史監督の「ヤッターマン」(2008・日)のように思い切ってしまえば良かったのに。

 しかし、スーツのデザイン、メカ、キャラクター・デザインは秀逸。ものすごくカッコいい。ハリウッドの上を行っているかも(ベルクカッツェのかぶり物は違和感あったけど)。これらがこんなにカッコよくリアルにできるのに、なぜトータルだとカッコよくならないのか。原作のアニメがあるからしかたない部分ではあっても、歌舞伎的に見得を切る演出は、一面かではカッコいいのだが、はやり古くさく感じ、単なる絵空事になってしまう。見どころは、これらのデザインと、剛力彩芽だけか。

 また意味がわからないのが、本編の前にアニメの短編「おはよう忍者隊ガッチャマン」があり、何が言いたかったのか、さっぱり??? 吹替の声もなあ……。

 構成というかテーマ的には「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(Star Trek Into Darkness・2013・米)とカブる。同じことを描こうとして、この違いはあまりに差がありすぎる。子供向けということなのかもしれないが、大人と幼い子供くらいもの差があるように感じてしまう。「ルールを破ってでも仲間の命を救いに行くべきか、ルールを守るためには見殺しでもしかたないのか」。展開も首をかしげることが多かった。車輪のような敵の巨大兵器はなぜ新宿に着地して、それから市谷方面の目的地へ向かったのか。直接目的地を狙えばいいのに。

 健は「侍戦隊シンケンジャー」の松坂桃李。ジョーは「八重の桜」の綾野剛。ジュンはCM女王の剛力彩芽。甚平は「龍馬伝」の濱田龍臣。竜はよく知らないが鈴木亮平。ナオミになんと「終戦のエンペラー」(Emperor・2012・米/日)の初音映利子。まったく印象が違う。大人と子供くらいの感じ。もちろん本作が子供っぽい感じ。「終戦の……」ではあんなに魅力的で光っていたのに……。

 キャラクター・デザインは映画監督でもある荒牧伸志。メカデザインが素晴らしかったフルCGの「APPLESEEDアップルシード」(2004・日)の監督。最新作は近日公開となる「キャプテンハーロック」(2013・日)。さすがにカッコいい。センスあるなあ。

 脚本は渡辺雄介。「20世紀少年」(2008・日)や「GANTZ」(2010・日)を書いた人だ。

 監督は佐藤東弥。映画監督、佐藤純彌の息子で、日本テレビの演出家なんだとか。映画では「ごくせんTHE MOVIE」(2009・日)や「カイジ人生逆転ゲーム」(2009・日)を手掛けている。

 銃器は、東京マルイのストライクウォーリア。ほかに軍がM4、ミニミ、などを持っている。どうもマズル・フラッシュと飛ぶカートリッジはCGで描かれたものっぽかった。撃たないが、ちらりとバレットM82A1かあるいはそのブルパップのM95らしきものが写っていた。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は10分前くらいに開場となり、この時点で30人くらい。若い人は少なく、下は中学生くらいもいたものの、おおむね中年層。女性は10人ほど。最終的には232席に3割ほどの入り。酷評が噴出していると聞いた割には人が入っている印象。さて、これからどうなるか。

 気になった予告編は……とにかく全体にタイトルが出るのが遅い。ラストにパッと出て、すぐ公開日に替わる。覚えられないって。メモ取ってても追いつかないくらいなんだから。作ってる人の自己満っぽいよなあ。特に邦画に多い。

 上下マスクの「清須会議」は新予告に。オール・スター・キャストの群像劇という感じ。三谷喜劇の真骨頂か。大泉洋がおかしい。見たい。11/9公開。

 上下マスクの「謝罪の王様」はなぜシネスコ・サイズなのかわからないが、土下座の向こうって、見てみたい気もする。9/28公開。


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