Man of Steel


2013年8月31日(土)「マン・オブ・スティール」

MAN OF STEEL・2013・米・2時間23分

日本語字幕:手書き風書体下、佐藤恵子/シネスコ・サイズ(マスク、by Panavision、IMDbではArrri、Pana、Redも)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS(IMDbではドルビーATMOS、ドルビー・サラウンド7.1も)

(米PG-13指定)(3D上映、日本語吹替版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/manofsteel/index.html
(クッキーをONにしないと見られない。音に注意。全国の劇場リストもあり)

亡びようとしてる惑星クリプトンで、科学者のジョー=エル(ラッセル・クロウ)と妻のララ(アイェレット・ゾラー)の間に、男の子が生まれ、カル=エルと名付けられる。父はクリプトンの未来を託し、コデックスとともにカル=エルをカプセルに入れ、地球に向けて送り出す。そのときゾッド将軍(マイケル・キャノン)がクーデターを起こし、コデックスを手に入れようとしてジョー=エルを殺害する。しかしクーデターは失敗に終わり、ゾッド将軍一味は逮捕され、300サイクルの追放とされる。その直後、クリプトンは崩壊し、砕け散ってしまう。33年後、アメリカ。クラーク・ケント(ヘンリー・カビル)は超人的な力により人命救助を行うと、いずこかへ消えてしまうという放浪生活を送っていたが、ひそかに噂になり始めていた。そんなとき、デイリー・プラネット新聞の記者、ロイス・レイン(エイミー・アダムス)は、北極で発見されたなぞの物体を取材するため北極を訪れており、撮影した写真に、防寒服も着ずに歩いている男が写っているのに気付き、後を追う。

74点

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 うーむ、力を持った絵、感動的な物語、超立体的な音響、おおむね立体感のある3D、魅力的なデザイン、豪華な顔ぶれの名優達による迫真の演技、たぶんものすごいお金もかかっている……なのに、あまり伝わってこなかった。悪いところなんてどこにもないようだし、できるだけリアルに、大人向きに描こうとしているのに。

 素晴らしいスピード感、自然な合成、まるで本当に撮影したかのような説得力。たっぷりの格闘シーン、超人と超常現象…… どれも素晴らしい。超一流。悪いところなんて見当たらない。

 あえていえば……日本人的には、すくなくともボク的には、そもそもの設定がリアルに感じられなかったのかもしれない。亡びようとしている惑星から地球に向けて赤ちゃんだけを脱出させた……やがてヒーローになって地球を救うと。ウルトラマンもM78星雲から来てるヒーローだった……で、最初は自分が幼かったこともあって信じられたのかもしれないが、故郷が描かれたり、ウルトラの父や母が現れてどんどん現実味が薄れて行ったというか、それと同じことがあるような。スーパーマンは謎の人物のままでよかったんじゃないのだろうか。本当らしくしようとして1つウソをつくと、それをフォローするために2つめ、3つめのウソをつかなければならなくなって、結局ウソだらけで信じられなくなるみたいな。

 そして、人命救助のためとは言え、とにかく壊す。超人的な力を持っているから、悪者をちょっとぶっ飛ばしても、壁を壊したりする。宿敵ゾッド将軍との戦いなんて、ビルをと言うより、街ごと壊しまくり。一体被害金額はどれほどになるのか。それより、何より、その中にたくさんの人がいるだろう。犠牲が多過ぎ。スッキリとは喜べない。ただIMDbでは7.6点という高得点。

 クラーク・ケントはイギリス生れのヘンリー・カビル。「インモータルズ―神々の戦い―」(Immortals・2011・米)で主人公を演じた人。去年ブルース・ウィリスとシガーニー・ウィーヴァーが出た「シャドー・チェイサー」(The Cold Light of Day・2012・米/西)でも主演している。好青年という感じだが、役柄なのかちょっと暗い感じが惜しい。

 ヒロインのロイス・レインはエイミー・アダムス。この人は雰囲気がヒロインという感じ。ただ本作ではあまり活躍していない。「魔法にかけられて」(Enchanted・2007・米)の大ヒット以降、映画に出まくりという感じ。つい最近クリント・イーストウッドの「人生の特等席」(Trouble with the Curve・2012・米)に出ていた。

 憎たらしい強敵ゾッド将軍はマイケル・シャノン。まさにあくやくにぴったりの雰囲気。イッてしまっているような感じが絶妙。残念な作品だったが「テイク・シェルター」(Take Shelter・2011・米)の正気を失って行く主人公は見事だった。あの狂気が本作にもあったように感じる。すごい人だ。

 デイリー・プラネット新聞の編集長ペリー・ホワイトはローレンス・フィッシュバーン。最近は人気TVドラマ「CSI:10科学捜査班」(CSI: Crime Scene Investigation・2009〜2010・米)、「CSI:11科学捜査班」(2010〜2011・米)のメイン、ラングストン教授役で忙しかった模様。その後もTVシリーズ「ハンニバル」(Hunnibal・2013・米)のレギュラーがある。

 ほかの出演者も豪華で、本当の父ジョー=エルがつい最近「アイアン・フィスト」(The Man with the Iron Fists・2012・米/香)に出ていたラッセル・クロウ。意思の存在となってまでも出てくるとは。育ての父ジョナサン・ケントがあまり最近見かけなくなったケビン・コスナー。新作はかなり控えているようだ。育ての母マーサ・ケントが「最後の初恋」(Nights in Rodanthe・2008・米/豪)のダイアン・レイン。さすがに2人とも存在感があって、いい味を出していた。特にダイアン・レインが良かった。

 銃は、地球の軍隊がM2重機、ミニミ、M4カービンなど。アーマラーはIMDbではヴィンセント・ジョセフ・フラハティだが、クレジットではマイケル・パパックとほかに3名くらい。そして第2班かもしれないがC.J.マクワイアー。ヴィンセント・ジョセフ・フラハティは「ホワイトハウス・ダウン」(White House Down・2013・米)でアーマラーをやっていた人だ。一方マイケル・パパックは「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(A Good Day to Die Hard・2013・米)をやっていた人。

 脚本はデビッド・S・ゴイヤー。「ブレイド」(Blade・1998・米)シリーズの脚本と「ブレイド3」(Blade: Trinity・2004・米)を監督・脚本・製作した人。ただ、残念な「ジャンパー」(Jumper・2008・米/加)の脚本や「ゴーストライダー2」(Ghost Rider: Spirit of Vengeance・2011・米ほか)の脚本なども書いているからなあ……。

 監督はザック・スナイダー。「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2007・米)や「ウォッチメン」(Watchmen・2009・米)、CGアニメの「ガフールの伝説」(Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole・2010・米/豪)を監督し、日本人的には特に興味深かった「エンジェル・ウォーズ」(Sucker Punch・2011・米/加)の原案、製作、監督をしている。絵作りに定評のある人だが、確かに全体に暗いものが多いかも。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は3Dでの上映で差額は700円。高い。全席指定で、金曜に確保し、当日は20分前くらいにビルが開いて、開場は10分前くらい。トイレに行っているとすぐCMが始まる。あまり時間的な余裕はない。だからなのか、遅れてくる人が多い。観客層は若い人から中高年まで、割と幅広かったがメインは中高年。男女比は7対3くらいで男性が多かった。最終的に607席の5割くらいが埋まった。

 気になった予告編は……上下マスクの「エリジウム」は新予告に。まるで地球全体が南アフリカのスラム街みたいになっている世界観はすごい。そして面白そう。9/20公開。

 上下マスクの「42 世界を変えた男」はメジャーリーグ全球団で永久欠番となっている初めての黒人選手の物語らしい。ハリソン・フォードが出ている。面白そう。11/1公開。

 「すべては君に逢えたから」はなんだか群像劇のラブ・ストーリーという雰囲気で、どこかで聞いた様な……。11/22公開。

 上下マスクの「死霊館」は「ソウ」(Saw・2004・米/豪)の監督作品らしいので、期待薄かも。ただ実話に基づくストーリーだとか。10/11公開。

 スクリーンが左右に広がってから「許されざるもの」の予告。銃声が現場の生音のようで、「パン、バン」と軽いのが気になった。モデルガンみたい。9/13公開。

 3Dメガネを掛けるように指示があってから、枠付きで「快盗グルーのミニオン危機一発」の予告。4体のミニオンがコーラスをするというもので、なぜ枠付きなのかと思ったら、3Dの効果をより出すためだった。なるほど。9/21公開。


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