Space Pirate Captain Harlock


2013年9月8日(日)「キャプテンハーロック」

SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK・2013・東映アニメーション/サミー/木下グループ/東映/東映ビデオ・1時間55分

ビスタ・サイズ/音響表記なし

(3D上映もあり)

公式サイト
http://harlock-movie.com/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

人類がつぎつぎと宇宙のフロンティアへと旅立った未来世界。しかし利用できる惑星などを発見できず、次々と地球に戻ってきていた。ところが人類の人口は5000億人に達し、地球に住めるの者は限られていた。そして居住権を掛けて「カムホーム戦争」が起こったことから、ガイア・サンクションという機構が設けられ、地球を封印、不可侵領域とする。それに100年前からあらがってきた者がいる。なぜか不死の身となった宇宙海賊、ハーロック(声:小栗旬)と、その一味だった。その海賊一味に新人のヤマ(声:三浦春馬)が加わり、女性乗組員のケイ(声:沢城みゆき)が指導することになる。そんな時、ガイア・サンクションの宇宙船、イソラ(声:森川智之)に率いられた連合のパトロール船オケアノスが現れ、攻撃を仕掛けてくる。

72点

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 素晴らしい3D-CG。まるで実在するかのようなリアルさと存在感。日本の技術はこんなにも高いレベルなのだと再認識させられる。ハリウッドに勝るとも劣らない感じ。音響もクリアで立体的で、実に良い。声優も豪華で魅力的。宇宙船、スーツ、衛星、兵器などのメカのデザインは秀逸。カッコいい!

 ただ、いかんせん人間キャラクターが良くない。ここまでリアルに描いてモーション・キャプチャーまでやるんだったら、人間キャラだけは実写で行けばいいのに。あるいは、ハリウッド・アニメというか、ピクサー・アニメのように、人間系のキャラは人形化したというか、擬人化したアニメ・キャラにしてしまえばいのに。実写で行くなら、こんな時代掛かったクサイせりふはありえないが、アニメ・キャラならこのセリフ回しが成立するし、もっと漫画的なギャグを入れても成立する。もともとヤッタランとかトリさんはそういう存在なんではなかろうか。超リアル路線は、いくらモーション・キャプチャーしても違和感を感じてしまう。これは本能的なものかもしれない。

 荒廃した未来とかレトロフィーチャー、いつでも悪者の元老院……などという設定は聞き飽きてミミタコだが、イソラ、ヤマ、ナミの関係とドラマは感動的だった。いわばこれも男2人に女1人という、映画の定石、黄金の三角関係で、よくあるパターンといえばよくあるパターンだが……。

 気になったのは、ところどころ見たような情景が……「M:I-2」(Mission: Impossible II・2000・米/独)のオープニングのフリー・クライミング、「スター・トレック」(Star Trek・2009・米/独)の宇宙エレベーター的な絵、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(Star Wars: Episode I - The Phantom Menace・1999・米)的な町並み……。そして、ヤッタランがどうにもケンドーコバヤシかキャイーンの天野ひろゆきに見えて困った。

 銃は架空のスペースガンということになるのだと思うが、反動があって、撃ちがらのカートリッジも飛んでいるように見えた。

 声のキャストに、いわゆる声優でない人たちもたくさん参加。話題作りにも一役買っているようだが、基本ができている人たちなので、全く違和感はなかった。まるで声優のよう。キャプテンハーロックに小栗旬、潜入するヤマに三浦春馬、人類が唯一遭遇できたという異星人ニーベル族のミーメに蒼井優、ケンドーコバヤシみたいなヤッタランに古田新太、ギャーとしか泣かないがトリさんにモノマネの福田彩乃。

 原作は松本零士の漫画「宇宙海賊キャプテンハーロック」。『プレイコミック』に1977年〜1979年にかけて連載された。東映動画によりアニメ化もされ、1978年〜1979年にかけてテレビ朝日系で放送された。

 脚本は福井晴敏と竹内清人の2人。福井晴敏は1998年「Twelve Y.O.」で江戸川乱歩賞を受賞すると、「亡国のイージス」でも多くの賞を受賞、さらに「終戦のローレライ」でも複数の賞を受賞している。最近は脚本を手掛けることも多いようで、本作に続いて劇場公開される「人類資金」も自身の原作で脚本も担当している。

 竹内清人は福井晴敏・原作の「戦国自衛隊1549」(2005・日)で劇場映画脚本家デビューを飾ったそうで、荒牧伸志監督のアニメ「エクスマキナ」(2007・日)も書いている。

 監督は荒牧伸志。デザイナーとしても知られ、多くのアニメでメカニック・デザインやキャラクター・デザインを手掛けている。つい最近「ガッチャマン」(2013・日)でもキャラクター・デザインをやっている。確かにデザインは良かった。本作の前の監督作品は酷いシリーズの続編なので見る気もしなかったフルCGの「スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン」(Starship Troopers: Invasion・2012・日/米)。「エクスマキナ」の前には「APPLESEED アップルシード」(2004・日)。本当にデザインは良く、メカも素晴らしい。問題は人間の表現のみ。生身の人間を使えばいいのに。

 ジェームズ・キャメロンが絶賛ねえ……。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は2D上映で、全席指定。金曜に確保して、20分前くらいに着いたら、ちょうど開場したところ。2F席にしたらあまり混んでいなかったので(前日に声優の舞台あいさつがあったらしく、その反動か)、2F席はたぶんオヤジが2人だけ。1F席は2F席から見たところ、下は小学生低学年から中高年までいたが、ファミリー層が多い感じ。たぶん509席の3割くらいの入り。

 「ばしゃ馬さんとビッグマウス」はシナリオ・ライターをめざす若者の話らしいが、予告だけでうんざりな感じは何だろう。11/2公開。

 万城目学の「偉大なるしゅららぼん」は、ティーザーで内容が良くわからなかったが、パワー・スポット・アドベンチャーなんだとか。結構笑えそう。超能力……というか同じ原作者の「鴨川ホルモー」(2009・米)っぽかったが。2014年3/8公開。

 手塚アニメ「BUDDHA 2」は、なんだか宗教団体が作ったような雰囲気があって、ちょっと引いてしまった。うむむ。2014年2/8公開。


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