Chronicle


2013年9月28日(土)「クロニクル」

CHRONICLE・2012・米・1時間25分(IMDbではディレクターズ・カット版89分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/ビスタ・サイズ(IMDbでは1.85、デジタル、Alexa)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定、日PG12指定)

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/chronicle/
(全国の劇場リストもあり)

暴力的な父リチャード(マイケル・ケリー)に殴られ、病気で寝たきりの母カレン(ボー・ペーターセン)の面倒をみている高校生のアンドリュー・デトマー(デイン・デハーン)は、学校でもいじめられ、行き場を失っていた。そこで、自分で買った高級ビデオカメラに逃げ場所を見出し、日記のように日常の撮影を始めた。そんなある日、パーティを抜け出したアンドリューに、従兄弟のマット・ギャリティ(アレックス・ラッセル)の友人、スティーヴ・モントゴメリー(マイケル・B・ジョーダン)が声を掛けてくる。すごいものを見つけたので撮ってくれという。付いて行くと森の中の空き地にマットもおり、地面に深そうな穴が開いていた。奇妙な音に惹かれ3人が中に入ると、奥深くに奇妙な物体があり、触れると鼻血が流れてくる。穴を出た3人は、その後、超常的な力を得たことを知る。

72点

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 2週間の首都圏限定公開。DVDとかブルーレイが発売されるということか。もちろん前売り券もなし。1,000円だったので見たが……。IMDbでは7.0点の高評価。

 スバリ一言でいえば、もうウンザリするほど作られた主観(POV)撮影作品。ヨーロッパ・ビスタとは言え、動きまくるカメラは不快。ドキュメンタリー・タッチを出して、本当に起ったことという感じを出したかったのだろうが、たいして効果は出ていない。もともと作り話なのに、無理してリアルにしようとするから変えって不自然。ドキュメンタリー感を増そうとしてノイズやマイクがぶつかる音なども入れているので、聞きづらいし不快さが倍増している。が、基本、音はクリアーで立体的。だから不自然。

 ストーリーは3人の少年を中心に展開するとは言っても、ほとんどこれはスティーヴン・キング原作の「キャリー」(Carrie・1976・米)と同じ。高校でいじめられ、家庭でも疎まれた主人公が、超能力で仕返しすると。

 ただ「キャリー」と違うのは、本作では超能力を得たことで主人公は悪魔となり、あらがうことなくそれを受け入れて行くので、まったく同情できないこと。苦境を跳ね返そうとする物語ではなく、それに負けてしまう物語。しかもラストには最悪の事態を招いてしまう。

 展開は、胸糞が悪くなるような話が延々と続き、なかなか進展せず眠くなるほど。後半になってやっと急展開し、どんどんスケールが大きくなって予想外のところまで行く。そこは素晴らしい。そして合成がとても自然で、超常現象が実際に起こっているかのよう。ここも大変評価できる。素晴らしい。

 劇中、アンドリューが使用しているカメラを500ドルのカメラと呼んでいるが、とんでもない話で、プロも使うことがある業務用の小型カメラ(アンドリューのがキヤノン製で70〜80万円くらい、同級生の女の子のがソニー製で18〜33万円くらい)。高校生が小遣いで買えるレベルではないだろう。PCはMac。それでも全体に流れるチープ感はPOVだからか。合成だけがリッチ。

 出てくる銃は、ショットガン、SWATがM4カービン。

 最初、この物語の主人公に思えたアンドリューはデイン・デハーン。TVを経て映画に出るようになったようで、大きな役は本作が初のよう。本作の後で作られた強烈なバイオレンス映画「欲望のバージニア」(Lawless・2012・米)では、主人公の友達で足の悪いかわいそうな少年を演じている。ちょっとレオナルド・ディカプリオの若いときの雰囲気に似ていなくもない気が。

 本当の主人公だったような従兄弟のマットはアレックス・ラッセル。主人公にしてはちょっと花がない感じ。オーストラリア出身で、大きな役は本作が初めてのよう。これから公開されるクロエ・グレース・モレッツのリメイク・ホラー「キャリー」(Carrie・2013・米)に出ているらしい。

 原案・脚本はマックス・ランディス。あの映画監督ジョン・ランディスの息子。TVや短編映画の脚本を手掛けていて、劇場長編映画は本作が初めての模様。このあと新作が3本ほど控えている。はたして……。

 監督はジョシュ・トランク。14歳から地方のTV局で働き始めたそうで、自主映画をネットで公開して話題になったことから、ケーブルTV局のドラマ「キル・ポイント」(The Kill Point・2007〜・米)の脚本と監督の仕事を得たらしい。それが評価され、本作につながったと。

 公開2日目の初回、といっても15時35分からだが、六本木の劇場は全席指定で、前売りなしの1,000円均一。ネットからの購入も可能で、座席指定までが可能だったので見ることにした。10分前に開場となり場内へ。スクリーンはビスタで開き、観客層は意外なことに若い人がメインで、中高年は3〜4割くらい。男女比は5.5対4.5くらいでやや男性が多かった。カップルが多めなのは時間帯のせいだろうか。最終的には124席がほぼすべて埋まった。2週間限定公開というのも効いたのかもしれない。

 気になった予告編は……上下マスクの「ウォーキングwithダイナソー」はフォトリアリスティックな恐竜映画。ピクサー作品のようにアニメっぽいストーリーのようだが、作っているのはイギリスのBBC。確かに絵はすごい。12/20公開。

 タイトルがなかなか出ない予告が多い。製作者の自己満足のような気がするが、これでいいのか。予告の機能を果たしていないのではと思えてしまう。


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