Passion


2013年10月5日(土)「パッション」

PASSION・2012・仏/独・1時間41分(IMDbでは102分)

日本語字幕:黒フチ丸ゴシック体下、中沢志乃/ビスタ・サイズ(Arri、Super 35)/ドルビー・デジタル

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://www.passion-movie.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

NYに本社を置く国際的な広告会社コーチ・イメージ・インターナショナル社のドイツ支社のクリエーター、イザベル(ノオミ・ラパス)は、新しい携帯電話のユニークなCMを思いつき、やり手上司のクリスティーン(レイチェル・マクアダムス)に提案する。するとそれが社長に認められ、クリスティーンが自分のアイディアと主張したことから、NYに本社への栄転が決まる。しかし密かにクリスティーンの愛人のダーク(ポール・アンダーソン)と寝たことがばれ、ダークがクリスティーンからイザベルと会うことを禁じられたのをきっかけに、イザベルはCMを手直しして自分の名前でYouTubeにアップして流す。それが大評判となり本社の社長が知るところとなって、イザベルがNY本社へ、クリスティーンが残ることに変更される。そこからクリスティーンの嫌がらせが始まる。

71点

1つ前へ一覧へ次へ
 うーむ、ほぼ先が読めるミステリー……。雰囲気をヒッチコック風にしようとして、狙いかもしれないが、現代の話なのに何だか古くさい感じに仕上がっている。しかも、話の展開はどうでもいい話。良くある、モンスター上司と踏み台にされる部下とか、社内恋愛とか、いじめとか、しかえしとか……短に居心地が悪くなるような話が延々続いて、どうでもいいわ。眠い。IMDbでは5.4点の低評価。

 最初のエピソードである「ダサイCM」に対して主人公が思いつく斬新なCMというのが、ちっとも斬新じゃない。むしろ最初の「パナソニック」の携帯をそのままグラスに浸ける方が防水ということをショッキングに訴求していて、いいCMに見えた。代替案のケツ・カメラって……。くだらない。国民性の違いだろうか。それともボクだけか。のっけから物語に入り込めなくなってしまった。

 しかも、あちこちに、これ見よがしの複線が張ってあるというか、強調されているし。絶体これ後で使うだろうとわかってしまう。しかも、モンスター上司は部下を罠にはめるほど頭が良いようで、後半はズサン。メールのトリックも、手にゴム手袋をしてキーボードを打つくらいで、日にちもチェックしていないし、それを捜査する警察もいい加減で無能。つまり脚本にちょっと問題ありかと。しかし、なんと「ラブ・クライム偽りの愛に溺れて(未)」(Crime d'amour・2010・仏)のリメイクだという。わずか2年前ではないか。なんでリメイクの必要があっんだ?

 加えてこのキャスティングがあざとい。レイチェル・マクアダムスは「シャーロック・ホームズ」(Sherlock Holmes・2009・米)(ノオミ・ラパスと共演している)で悪役をやっているからそんな役だろうと思うし、ヒネリもない。一方ノオミ・ラパスは「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(Man som hatar kvinnor・2009・スゥエーデンほか)シリーズで男勝りの強烈なリスベットを演じているから、最初やられていても、このままではすまさないだろうと思ってしまう。そして、その通りになる。しかもこの2人しか有名な人はいなくて、見どころもそこにしかない。きっかけの男もちっとも魅力的じゃないし。バカで、よろめく理由がわからないし。登場人物は、いまどき、よくタバコを吸うし。

 イザベルはノオミ・ラパス。「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」シリーズで世界的に注目された。あそこまでの強烈さはないが、本作でも裸になってガンバっている。「プロメテウス」(Prometheus・2012・米/英)も強い女だったし……。このイメージから脱するのは難しいようだ。

 クリスティーンはレイチェル・マクアダムス。「きみに読む物語」(The Notebook・2004・)で清純なヒロインのイメージだったが、「シャーロック・ホームズ」で悪女ををやったりしているので、どちらか読めない感じがしたが、それも最初だけ。案の定の悪役。

 この2人以外に有名な人はおらず、その意味ではヨーロッパ映画らしかった。ただちょっと花が足りないかなあ。

 監督・脚本はプライアン・デ・パルマ。さすがに73歳、ちょっと腕が落ちたか。本作の前に戦争映画「リダクテッド 真実の価値」(Redacted・2007・米/加)を撮っているが、いつ劇場公開されたのかわからないほど。間が5年も空いている。その前は、これまた衝撃的だった「ブラック・ダリア」(The Black Dahlia・2006・独/米/仏)を撮っている。アメリカ生れのアメリカの監督なのに、海外で作品を撮ることが多い人。リメイク版が近日公開されるのでオリジナル版「キャリー」(Carrie・1976・米)を撮ったことから、また注目されている。

 公開2日めの初回、銀座の劇場は全席指定で、金曜にムビチケで予約。発券機が2台しかないので当日は40分前くらいに行って発見し、それからスタバでコーヒーを飲んで15分前くらいにもどったらすでに開場していた。観客層は中高年というより高齢者寄り。男女比は8対2くらいで男性が圧倒的に多かった。最終的には、細長い183席に7.5割くらいの入り。意外と多い。

 明るいまま始まった予告編で気になったのは……つまらなかったわけではないものの、前作があまり盛り上がらなかった上下マスクの「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々:魔の海」はどうなんだろう。ありえないような映像と3Dが売りのアトラクション映画か。主人公のコも大人っぽくなっているし。11/1の映画サービスデイに公開。

 上下マスクの「アメリカン・ハッスル」は贋作名画の詐欺を描いたものらしい。クリスチャン・ベイルの主演で……いつから? 自分で調べたら2014年の1月とか。ただ劇場がなあ……。

 「1」がつまらなかったのに、なぜ続編が? アメリカでは受けたらしい。上下マスクの「ハンガーゲーム2」は、クッキーをオンにしないと何も表示されない。上映劇場はこんなものだろう。12/27公開。

 上下マスク、ロバート・デ・ニーロの「グリフィン家のウエディングノート」は何だかスターだらけの豪華顔合わせ。ボク的にはリチャード・ドレイファスがどんなになったのかちょっと気になるが、ありがちな映画という気化もして……ただし監督・脚本は「最高の人生の見つけ方」(The Bucket List・2007・米)のジャスティン・ザッカム。11/29公開。


1つ前へ一覧へ次へ