Red Dawn


2013年10月6日(日)「レッド・ドーン」

RED DAWN・2012・米・1時間36分(IMDbでは93分)

日本語字幕:黒フチ丸ゴシック体下、種市譲二/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://reddawn-film.com/
(全国の劇場リストもあり)

ある日、突然、全米を一斉停電が襲う。そして電源が復旧するまでの間に、北朝鮮軍が輸送機からパラシュート降下してきて、全米の大半を占領してしまう。シアトル近くの小さな町のある高校に通うマット・エッカート(ジョジュ・ペック)は、たまたま休暇で帰還していた海兵隊の兄、ジェド・エッカート(クリス・ヘムズワース)と車で脱出し、高校の友人等とともにエッカート家の山小屋に向かう。しかし、追手が警官の父トム・エッカート(ブレット・カレン)を連れてきて射殺してしまったことから、徹底抗戦を誓い、テロ攻撃を始める。

72点

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 うーむ、ありえない話で、現実感もまったくなし。ソ連が無くなってしまって巨大な敵はいなくなった。あるのはアルカイダなどのテロ組織。それをあえて北朝鮮って……。そんな力が本当にあるだろうか。劇中でもバックにどこかの国がいるはずだとしてロシアを上げているが、どうだろう。たしかに、リアリティはあってもまたテロの話では、他の多くの映画と一緒になってしまうしなあ。今なら宇宙人の侵攻の方がまだリアリティがあるのかもしれない。そういうTVドラマもいくつか作られている。「V」とか「フォーリングスカイズ」とか。それらともそっくりだし、高校のフットボール・チームの名「ウルヴァリンズ」と叫ぶ当たりは、ちょっと「Vフォー・ベンデッタ」(V for Vendetta・2005・米/英/独)のようでもあった。アメリカ人がテロリスとなって敵と戦う話だし。

 オリジナル版の「若き勇者たち」(Red Dawn・1984・米)のころはソ連が何かしてくるかもしれないという危険性はゼロじゃなかった。モスクワ・オリンピックのボイコット問題が起きたのは1980年だし、ソ連のアフガニスタン侵攻は1989年まで続いた。

 それでも、とにかく強大な敵がアメリカに侵入してきたとき、どう対処するかをスピード感たっぷりに描いている。確か「若き勇者たち」は高校にいた少年少女たちが団結して戦うという若者中心の話だった気がするのだが、違ったか。それはテロリストと高校生が戦う「トイソルジャー」(Toy Soldiers・1991・米)のほうか。いずれにしても、本作はあまり若者に焦点は当てられていない。そういえばアラン・アーキンが出た「アメリカ上陸作戦」(The Russians Are Coming the Russians Are Coming・1966・米)というコメディもあった。これはソ連の原潜が座礁してアメリカに上陸してきたため、侵略と勘違いし大騒ぎになるというものだったが。

 とにかく、アクション・シーンになるとカメラを動かし過ぎ。スピード感や緊張感を出したかったのだろうが、シネスコの横長画面でやられると、何が起こっているのかわからないし、目が回る。手持ちだけではなく、パン、ティルト、ズーム、ありとあらゆる動かしをやる。キレの悪いアクションをカメラの動きで補ったのか?

 終わり方が中途半端で、なんだかTV版の第1話というか、パイロット版のような感じもした。どうなんだろう。

 銃は最初、ハイパワー、狩猟用のレミントンM700、ウィンチェスターのM94などしかないが、やがて敵から奪ったりしてKG9(TEC-9)、イングラム、AKM、AK74、AKMSU、ミニミ、ミニガンまで使う。敵の将校の拳銃はマカロフ。軍用車両にはM2ブローニング。そして定番RPG。アメリカの海兵隊兵士はM4カービンにEOTECやACOGそしてテサイレンサーをつけている。

 ミリタリー・コーディネーターはジョン・バートン。元海兵隊でイラクなど実戦経験もあり、武器システム・トレーナーをへてタクティカルの会社を設立、ハリウッドの俳優のトレーニングなども手掛けているらしい。俳優として出演もしているのだとか。TVの「NCISネイビー犯罪捜査班」(NCIS: Naval Criminal Investigative Service・2003〜・米)や、「パニッシャー:ウォー・ゾーン」(Punisher: War Zone・2008・米/加/独)、「世界侵略:ロサンゼルス決戦」(Battle Los Angeles・2011・米)では主演のアーロン・エッカートのトレーニングを担当したそうだ。

 アーマラーはデイヴッド・フェンクル。最近では「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(X-Men: First Class・2011・米)や実話の映画化「ゼロ・ダーク・サーティ」(Zero Dark Thirty・2012・米)などを手掛けているベテランだ。

 兄のジェドはクリス・ヘムズワース。残念な「マイティ・ソー」(Thor・2011・米)や「キャビン」(The Cabin in the Woods・2012・米)、「スノーホワイト」(Snow White and the Huntsman・2012・米)など作品に恵まれない感じがするが、アメリカではいずれも評価は高いようだ。

 ジェドの弟の高校での友人ロバートはジョシュ・ハッチャーソン。感動ファンタジー「テラビシアにかける橋」(Bridge to Terabithia・2007・米)で主演した少年だ。その後「ダレン・シャン」(Cirque du Freak: The Vampire's Assistant・2009・米)や「ハンガー・ゲーム」(The Hunger Games・2012・米)などやはり作品に恵まれない感じ。ミニミを撃ちまくっている。

 ジェドの元カノっぽいトニはエイドリアンヌ・パリッキ。B級としてなかなか面白かったがアメリカでは低評価の「レギオン」(Legion・2010・米)や、最近では「G.I.ジョー バック2リベンジ」(G.I. Joe: Retaliation・2013・米)に出ている。なかなか色っぽくて美人。

 アメリカ海兵隊のリーダー、タナーはジェフリー・ディーン・モーガン。TVドラマの「SUPERNATURAL スーパーナチュラル」(Supernatural・2005〜2007・米)で2シーズンだけ主役の二人の父親役をやっていた人。

 北朝鮮軍のチョー大尉はアメリカ生れのウィル・ユン・リー。「007/ダイ・アナザー・デイ」(Die Another Day・2002・英/米)でもそんな役だった。最近では「ウルヴァリン:SAMURAI」(The Wolverine・2013・豪/米)に日本人、原田役で出ていた。

 オリジナル版の脚本は「ウォーターワールド」(・1995・)のケヴィン・レイノルズと。「風とライオン」(The Wind and the Lion・1975・米)などの監督でも知られるジョン・ミリアス。リメイク版の脚本はカール・エルスワースとジェレミー・パスモアの2人。ジェレミー・パスモアの脚本作品はこれが日本初公開らしい。カール・エルスワースは裏窓をもじったような残念なミステリー「ディスタービア」(Disturbia・2007・米)を書いた人。うむむ……。

 監督はダン・ブラッドリー。以前はスタント・コーディネーターとセカンドユニットの監督だったらしい。1980年代から活躍しており、非常に多くの作品に関わっている。最近では「スパイダーマン3」(Spider-Man 3・2007・米)や「ボーン・レガシー」(The Bourne Legacy・2012・米)を手掛けている。傑作B級アクション「アドレナリン」(Crank・2006・米)も彼の作品。しかしカメラ動かし過ぎはいかんなあ。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保。10分前くらいに開場となり場内へ。ほぼ男性で、メインは中高年。女性は4〜5人で、最終的に138席に4割くらいの入りはさすがに少ない感じ。予告をほとんど見なかったしなあ。

 気になった予告編は……上下マスクの「ゴースト・エージェントR.I.P.D.」は新予告に。残念な感じがプンプンするが……いい劇場でポイントなら……。10/18公開。

 上下が狭まってスクリーンが小さくなって、本編へ。


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