Diana


2013年10月19日(土)「ダイアナ」

DIANA・2013・英/仏/スウェーデン/ベルギー・1時間53分

日本語字幕:影付き丸ゴシック体、戸田奈津子/ビスタ・サイズ(Arri、Super 35)/ドルビー・デジタル

(米R指定、日PG12指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://diana.gaga.ne.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

1995年、イギリスの皇太子妃ダイアナ(ナオミ・ワッツ)は夫チャールズの浮気により別居し、子供たちとも別れ寂しく宮殿で暮らしていた。そんなある日、知人のお見舞いで病院に行った際、パキスタン人心臓外科医のハスナット・カーン(ナヴィーン・アンドリュース)と出会い、ひと目で恋に落ちてしまう。しかし2人が結ばれるには、いくつもの障害が存在した。

70点

1つ前へ一覧へ次へ
 IMDbでは4.8点の低評価。確かに、これは単なるメロドラマみたいで、ダイアナ・ファンならともかく、普通の人にはどうでも良いような話。普通の人間だったら恋もするだろうし、セックスに溺れたりもするだろう(そう言ってはいないけど、ちょっとにおわせている)。やきもちを焼いたり、振り向かせようとしてバカなことをしたり。それを描いて何の意味があるのか。かつてのプリンセスも普通の人間だったと? 亡くなった人の普通さ加減をいまさら言われても、何の意味もない気がする。偶像化するなというのだろうか。むしろ逆効果な気がするが。おとしめていないか。ラストに功績のようなものをリストしたところで、フォローにはならないだろう。

 予告では「あなたの知らないダイアナの真実」とか言っていたので、てっきり死の真相に迫ったものかと思った。単なる事故ではなく、謀殺とする説もある。新説があったりして、映画的な真相に迫ったものかと思ったら、まったく死には触れていなかった。単なるメロドラマ。ラブ・ストーリーにもならない痴話のレベル。きわめて低俗というか、粕取り雑誌的というか、ゴシップ紙的というか。劇中、邪魔者扱いにしているパパラッチとあまり変わらないのでは?

 見どころは主演のナオミ・ワッツのみ。特殊効果もないし、爆発もないし、ヌードもないし、アクションもないし、笑いもないし、涙もないし、感情移入もできない。ちょっとイライラしたものの、眠かった。

 そのナオミ・ワッツは特殊メイクなのか、普通のメイクなのか、ところどころかなりダイアナ本人に似せている。すべてではない気がする。最近はちょっとアート系作品が多い気がするが、ボク的にはSFコミカル・アクションの「タンク・ガール」(Tank Girl・1995・米)が光っていたし、衝撃のミステリー「マルホランド・ドライブ」(Mulholland Dr.・2001・仏/米)、SFリメイクの超大作「キング・コング」(King Kong・2005・ニュージーランド/米/独)なんかが良かったなあ。45歳にしてこの美貌。きれい。

 相手役のハスナット・カーン医師はナヴィーン・アンドリュース。TVドラマ「LOST」(Lost・2004〜2010・米)の主要キャストの1人サイードを演じていた人。映画ではニール・ジョーダン監督、ジョディ・フォスター主演の自衛暴力を描いた「ブレイブワン」(The Brave One・2007・米/豪)に出ている。

 インスパイアーされたと表記されていたのはケイト・スネルの「Diana: Her Last Love」。本作ではアソシエイト・プロデューサーを務めている。

 脚本はスティーヴン・ジェフリーズ。イギリスの放蕩詩人の伯爵を描いた舞台と、その映画版の「リバティーン」(The Libertine・2004・英/豪)を書いているという。ボクは見ていないが、ある意味、本作と通じるものがあるのかもしれない。

 監督はドイツ出身のオリヴァー・ヒルシュビーゲル。後味の悪い実話の実験の映画化「es[エス]」(Es・2001・独)は10年に「エクスペリメント」(The Experiment・2010・米)としてハリウッドでリメイクされた。また実話の「ヒトラー〜最期の12日間〜」(Der Untergang・2004・独/墺/伊)はヒリヒリするようなドラマで、強烈だった。実話系が多いような気がするが、本作は同じ監督とは思えないメロドラマ。

 公開2日目の初回、新宿は全席指定で金曜に確保。当日は12〜13分前暗いに開場となり、場内へ。ほぼ中高年で最初は17〜18人。男女比は4.5対5.5くらいでやや女性が多かった。こういう内容を女性はどう思ったのだろうか。最終的に157席に3割ほどの入り。この後、クチコミでどんどん減っていくのではないだろうか。

 気になった予告編は……上下マスクの「グランド・イリュージョン」は素晴らしい映画的イリュージョン。一体どんな物語になるのだろうか。期待させる。が、予告が少ない気がする。だいたいBMWのCMでの露出の方が先って……。これだけのキャスト、これだけのビジュアルがありながら、どうして、もっと予告しないんだろう。出来が悪いのか。もうすぐ公開日だというのに。しかもパターンは1つ。10/25公開。

 「恋するリベラーチェ」は男性ホルモンの塊のようなマイケル・ダグラスと、マット・デイモンがオネエを演じるらしいスティーヴン・ソダーバーグ映画。予告だけでもかなりキモかったが……。11/1公開。

 上下マスクの「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、なんだか、絵にかいたような成金の嫌らしさを描いた不快な予告。ただ主演はレオナルド・ディカプリオで、監督はマーティン・スコセッシ。おもしろい作品になるのだろうか。これでお正月映画? 12/20公開。


1つ前へ一覧へ次へ