Now You See Me


2013年10月27日(日)「グランド・イリュージョン」

NOW YOU SEE ME・2013・仏/米・1時間56分(IMDbでは115分、エクステンデッド・エディション125分)

日本語字幕:フチ付き丸ゴシック体下、林 完治/字幕監修:DaiGo/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.grandillusion.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

カード・マジシャンのJ・ダニエル・アラス(ジェシー・アイゼンバーグ)の許に、日時と場所が書かれた目の絵があるカードが届く。そしてメンタリストのメリット・マッキーニ(ウディ・ハレルソン)の許にも目のカードが届き、スプーン曲げでサイフをくすねるジャック・ワイルダー(デイヴ・フランコ)の許にも、脱出マジシャンのヘンリー・リーブス(アイラ・フィッシャー)の許にも。そして指定の日、4人のマジシャンが集まりその場所に行くと、ある図面が映写される。1年後、ラスベガスの巨大ホールで「ザ・フォー・ホースメン」と名乗る4人組のマジシャンがデビューする。彼らは今夜、銀行を襲うと宣言し、客席からランダムに選んだ客の銀行を聞き出すと、そこへ男を瞬間移動させ、金庫室内にあった現金をホール内にばらまいて見せる。実際に銀行から現金が消えたため、FBIの特別捜査官ディラン(マーク・ラファロ)をリーダーとするチームが捜査に乗り出し、インターポールからも若い女性捜査官アルマ(メラニー・ロラン)が派遣されてくる。

76点

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 また「あなたはこのトリックを見破れるか」なんてやっているが、これはダメな映画のパターン。ハードルを上げるだけ。しかし、本作は面白かった。あまり勘ぐると楽しめないので、やはり頭を空っぽにして、疑らずにそのままを受け入れ、気持ち良く騙された方が良い。見破ろうとしたら映画は面白くない。だから「あなたはこのトリックを見破れるか」というコピーはダメなのだ。

 ただシネスコ・サイズなのにカメラが動きまくり。ほとんどはステディカムを使っているようで、まだ耐えられるがそれでも目が回る。イリュージョンということで、あえて演出として目くらましのような効果を出そうとしているのだろうが……。まあ移動するカメラはスピード感もあって、カッコ良いことはカッコ良い。

 まるでラスベガスとかで(行ったことはないけど)、大掛かりで豪華なイリュージョンを見ているような雰囲気。いや映画マジックもあるから、それを超えるイリュージョンかもしれない。ただ生のライブ感は出ないので、その点ではショウに負けているかもしれないが、素晴らしいエンターテインメント。カッコいいし不思議感満載。手品好きは間違いなく楽しめると思う。見事なトリック。しかも種明かし付きだ。それでいて、種明かしをするヤツにはちゃんと罰を与えるし。

 ただ多くの見どころの「絵」は予告でやってしまっているから、新鮮さはない。ただ予告ではストーリー展開がわからないから、それがいつ出てくるかわからないだけ。本編を見ていると、あの絵はここだったかと。これで良いのだろうか、予告。

 「ファンタスティック・フォー」ならぬ「ザ・フォー・ホースメン」のリーダー、J・ダニエル・アラスはジェシー・アイゼンバーグ。傑作コミカル・アクション「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)の主演をした人だ。そのあとアカデミー賞受賞作となった「ソーシャル・ネットワーク」(The Social Network・2010・米)にも主演している。そのあと小作品が続き、本作で久々の大作出演。

 メリット・マッキーニ役のウディ・ハレルソンは「ゾンビランド」でジェシー・アイゼンバーグと共演していた人。強烈だったのはオリヴァー・ストーン監督の「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(Natural Born Killers・1994・米)だろう。この殺し屋はすごかった。ドタバタ・コメディやシリアスものなどいろいろな作品に出ているが、やはり怖い役が似あう気がする。本作でもマジシャンなのに怖い。

 紅一点ヘンリー・リーブスはアイラ・フィッシャー。「お買いもの中毒な私!」(Confessions of a Shopaholic・2009・米)に主演し、つい最近「華麗なるギャツビー」(The Great Gatsby・2012・豪/米)にガソリン・スタンドの奥さん役で出ていた。非常にきれいな人で、オマーン生れで、オーストラリアで育ったらしい。声優もやっていて、「ランゴ」(Rango・2011・米)のヒロイン役をやっている。

 若手マジシャンのジャツク・ワイルダーはデイヴ・フランコ。コリン・ファレルのリメイク・ホラー「フライトナイト/恐怖の夜」(Fright Night・2011・米)に出ていたらしいが記憶にない。ジェイムズ・フランコの弟なんだとか。

 FBIの特別捜査官ディランはマーク・ラファロ。この人も良く映画に出ている。最近だと残念な「アベンジャーズ」(The Avengers・2012・米)でハルクをやっているが、「ブラインドネス」(Blindness・2008・加ほか)や「クロッシング・デイ」(What Doesn't Kill You・2008・米)、「シャッターアイランド」(Shutter Island・2009・米)などは強烈だった。

 インターポールの女性捜査官アルマはメラニー・ロラン。クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(Inglourious Basterds・2009・米/独)で復讐を使ったショシャナを演じた人。ただ、それ意外見たことは無く、ちゃんと役者でいてくれて良かった。本作でもきれい。

 大金持ちの保険会社の社長アーサー・トレスラーはマイレル・ケイン。もう80歳だがまだまだ元気。すごい作品にいっぱい出ているが、最近だと「インセプション」(Inception・2010・米/英)や「ダークナイトライジング」(The Dark Knight Rises・2012・米/英)ということになるだろうか。脇役でも存在感充分。

 手品のネタ明かしをやっているサディアス・ブラッドリーはモーガン・フリーマン。いつも書くが、だいたいこの人が出ている作品は面白い。最近だと「オブリビオン」(Oblivion・2013・米)や「エンド・オブ・ホワイトハウス」(Olympus Has Fallen・2013・米)に出ている。ほんと名優だと思う。「ダークナイトライジング」でマイレル・ケインと共演している。

 登場した銃は、FBIのディランはシルバー・スライドのP229。FBIの同僚フラー捜査官はSP2022。インターポールのアルマはP230/232。FBIの特殊部隊はM4カービン。

 原案はボアズ・イェーキンとエドワード・リコート。脚本はボアズ・イェーキンとエドワード・リコート、エド・ソロモンの3人。

 ボアズ・イェーキンは監督でもあり、スポ根ものの「タイタンズを忘れない」(Remember the Titans・2000・米)や小品ながら面白かった「アップタウン・ガールズ」(Uptown Girls・2003・米)を撮っている。最近はちょっと残念なアクション「SAFE/セイフ」(Safe・2012・米)の監督・脚本を担当している。

 エドワード・リコートは本作が初めての脚本のようだ。エド・ソロモンはコメディ系が多いベテランで、TVから「ビルとテッドの大冒険」(Bill & Ted's Excellent Adventure・1989・米)を書いて劇場映画デビュー。シリーズ第1作の「メン・イン・ブラック」(Men in Black・1997・米)や「チャーリーズ・エンジェル」(Charlie's Angels・2000・米/独)、アクション・コメディの「セイブ・ザ・ワールド」(The In-Laws・2003・米/独/加)も書いている。そのあと日本劇場未公開もありちょっと空いたが、本作でカムバック。コミカルなテイストはこの人のおかげだろう。

 監督はルイ・ルテリエ。フランス生れだがNY大学で映画を学んだらしい。ジャン=ピエール・ジュネやリュック・ベッソンのアシスタントを務めたあと、リュック・ベッソンの許でジェット・リーの「ダニー・ザ・ドッグ」(Danny the Dog・2005・仏/米/英)で監督デビュー。このときモーガン・フリーマンと仕事をしている。さらに「トランスポーター2」(Transporter 2・2005・仏/米)を手掛け、ハリウッドへ進出。残念なリメイク「タイタンの戦い」(Clash of the Titans・2010・米)などを手掛けたものの、本作はフランス資本が入っているからか、復活した感じ。このあとどうか。

 ラスト、アイズというマジック・キャッスルのような会員制のクラブか組織か、そこへのゲートのような形で回転木馬が出てくる。これは「スティング」(The Sting・1973・米)を連想してしまったのだが、狙っているのだろうか。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。当日は10分前くらいに開場。若い人から中高年まで幅広く、男女比は5.5対4.5くらいでやや男性が多い感じ。遅れてくる人が多く、CMが始まった時点では232席に7割くらいの入り。もっと入っても良い気がする。

 気になった予告編は……すでに何度も見たものばかり。かろうじて「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々/魔の海」が新予告になっていたくらいか。11/1公開。1日は映画の日なので混むかも。ただ平日だから学生でないと行けないか。


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