Red 2


2013年12月1日(日)「REDリターンズ」

RED 2・2013・米/仏/加・1時間56分

日本語字幕:手書き風書体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(レンズ、Arri、hawk Scope)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://disney-studio.jp/movies/red/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

引退した元CIAの極秘任務専門エージェント、フランク・モーゼス(ブルース・ウィリス)は、かつて年金のコールセンターで働いていた担当のサラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)と暮らしていた。とある日、友人の武器の専門家で、洗脳テストでちょっとおかしくなったマーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)がやってきて、我々が狙われているという。取り合わなかったフランクだったが、駐車場でマーヴィンは車ごと吹き飛ばされてしまう。そして葬儀場に現れたFBIによってフランクは逮捕されてしまう。ところがその尋問中に謎の一団が現れ、次々と職員を射殺、フランクも殺されそうになるが、そこにマーヴィンが現れ救出、サラとともに車で脱出する。マーヴィンによると、96時間前にネットに「ナイトシェード計画」の情報が流され、それにフランクやマーヴィンが関わっているという。そのためイギリスは女性のスゴ腕スナイパー、ヴィクトリア(ヘレン・ミレン)を雇い、アメリカは韓国の若いNo.1殺し屋ハン・チョバイ(イ・ビョンホン)を雇い、暗殺命令を出したのだ。3人はしかたなく「ナイトシェード計画」を調べることにする。

73点

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 DCコミックが原作の、痛快コミカル・アクションの第2弾。前作を楽しんだ人の期待を裏切らない続編となっている。それぞれの超腕利きスパイたちが、反目し合いながらも世界のために協力して事件解決に当たる。おふざけの部分とシリアスな部分のバランスをどう取るか。そこが難しいわけだが、おおむねうまくまとまっている感じ。笑えるし、ハラハラドキドキだし、頭を空っぽにして楽しめる。何も考える必要はない。

 ジェットコースター・ムービーで、休む暇なく次々と何らかが起こる。考えているヒマはない。誰が良い方か悪い方か、判然としない部分も、深く考えなくて良い。ただ。何かが起り続けても、メリハリがないと単調になってしまう。つまらないわけではないのに何度か気を失いかけた。ここがちょっと問題かも。日本・韓国・中国の混同とかもあるけど……。

 それぞれのキャラクターがよく立っていて、その点でもわかりやすい。基本、この人は何の人だっけ?ということはない。特に主役のフランク・モーゼスは毎回、都市の名前入りのTシャツとか、ダサイ色のスボンとかで登場し、笑わせてくれる。トイレを爆破してウンコが飛び散るとか、ギリギリの下ネタもある。バイオレンスも、そんなに血は飛び散らないが、撃ち合いなどに迫力がありリアル。だから敵は怖いし、逃げなければと思わせる。

 フランク・モーゼスはブルース・ウィリス。基本エクション系だが、A級からB級まで映画出まくり。稼ぐなあ。「シャドー・チェイサー」(The Cold Light of Day・2012・米/西)や「LOOPER/ルーパー」(Looper・2012・米/中)に出ていたかと思えば、大人気シリーズ「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(A Good Day to Die Hard・2012・米)に出て、ちょっと残念な「G.I.ジョー バック2リベンジ」(G.I. Joe: Retaliation・2013・米)から本作だ。評価の揺れ幅がスゴイ。新作も5本くらい控えている。

 マーヴィンはジョン・マルコヴィッチ。演技派的なイメージがあったが、最近はマイナーなアート系、B級が多い印象。大作は残念なシリーズの「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」(Transformers: Dark of the Moon・2011・米)くらい。あと西部劇の「ジョナ・ヘックス」(Jonah Hex・2010・米)は日本劇場未公開、「皇帝と公爵」(Linhas de Wellington・2012・仏/ポルトガル)、「ウォーム・ボディーズ」(Warm Bodies・2013・米)など聞きなれない作品が続く。

 サラはメアリー=ルイーズ・パーカー。古くは「フライド・グリーン・トマト」(Fried Green Tomatoes・1991・米)などに出ていた人。2000年代になってTVが多くなって、最近だと映画では「ジェシー・ジェームズの暗殺」(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford・2007・米/加/英)や「スパイダーウィックの謎」(The Spiderwick Chronicles・2008・米)ではママを、見ていないがつい最近「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」(R.I.P.D.・2013・米)で霊界のオフィサーをやっていた。

 ヴィクトリアはヘレン・ミレン。「サイレンサー」(Shadowboxer・2005・米)で末期癌の殺し屋をやっていて、そこからのイメージだろうか。「クィーン」(The Queen・2006・英/仏/伊)はハマり役で、アカデミー主演女優賞を受賞。最近は「ヒッチコック」(Hitchcock・2012・米)でアンソニー・ホプキンスと共演。やはりさすがにうまかった。70歳近いのにアクションもやれるというのが凄いなあ。

 狂人か天才物理学者かわからないベイリーはアンソニー・ホプキンス。この人も出まくり。ホラーの「ザ・ライト エクソシストの真実」(The Rite・2011・米/ハンガリー/伊)、残念なファンタジー「マイティ・ソー」(Thor・2011・米)、そして実話の「ヒッチコック」なんかにも出ている。ボク的には「羊たちの沈黙」(The Silence of the Lambs・1990・米)とか「ザ・ワイルド」(The Edge・1997・米)、「ジョー・ブラックをよろしく」(Meet Joe Black・1998・米)、「世界最速のインディアン」(The World's Fastest Indian・2005・ニュージーランド/米/スイス/日)系が好きだけど。

 ハン・チョバイはイ・ビョンホン。悪役かと思ったら、なかなか良い役。強烈な実話に基づくスリラー「悪魔を見た」(Akmareul boatda・2010・韓)以降、歴史物の「王になった男」(Gwanghae, Wangyidoen namja・2012・韓)に出て、あと2作はハリウッド作品。本作でも見事な肉体美を披露している。どんどん世界で活躍して欲しい。

 ほかにロシアの女スパイ、カーチャ役で、最近「サイド・エフェクト」(Side Effects・2013・米)など悪役の多いキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ロシア・スパイで「X-MEN2」(X2・2003・加/米)のブライアン・コックスが出ている。

 冒頭、葬儀会場でマーヴィンが本当に死んでいるかどうか針を刺して確認するシーンがあるが、あれはやっぱり「シャレード」(Charade・1963・米)からのいただきだろうか。

 原作はウォーレン・エリスとカリー・ハムナーのグラフィック・ノベル(2003〜2004)。これをまとめてコレクションとして2009年にDCコミックスが出版。脚本は前作に引き続きジョン・ホーバーとエリック・ホーバーの2人。彼らは前作のほか、前売りなしの限定公開だったホラーの「ホワイトアウト」(Whiteout ・2009・米/加/仏/トルコ)や残念なSFアクション「バトルシップ」(Battleship・2012・米)を書いている。原作のあるものは割といい感じということか。

 監督はディーン・パリソット。傑作SFコメディ「ギャラクシー・クエスト」(Galaxy Quest・1999・米)を監督した人。その後、多くのTVドラマを手掛けており、中でも潔癖症の探偵が主人公のコミカルなミステリー「名探偵モンク」(Monk・2002〜2009・米)は長い。映画では「ディック&ジェーン 復讐は最高!」(Fun with Dick and Jane・2005・米)も手掛けている。コメディ的には良いのだろうが、アクション的には前作のドイツ人監督ロベルト・シュヴェンケの方が良かったと思う。

 登場する銃は……FBIはP226を使用。CIAの殺し屋はグロックで、部下らしいオペレーターたちはHK416。フランクが使うのはダブル・カラムの1911オート、たぶんパラ・オードナンス。マーヴィンはS&WのM500で、サウンド・サプレッサーまで付けたりしている。パリでフロッグが乱射するのはウージー・マシンピストル。カーチャはもちろんマカロフ。ハン・チョバイはグロックで、バンからミニ・ガンを連射する。ヴィクトリアのスナイパー・ライフルはL96。ベイリーはVz61スコーピオン。ほかにPT92、AK、MP7、M4、M16A2、UMPなど。

 銃がたくさん登場するので武器係も多い。エンディング・ロールではウェポン・スペシャリストとしてクリスチャンなんたらという人がクレジットされていたが、IMDbにはそもそもウェポン・スペシャリスがない。そのかわり「007スカイフォール」(Skyfall・2012・英/米)や「ワールド・ウォーZ」(World War Z・2013・米/マルタ)などを手掛けるアーマラー、グレッグ・コーク、テクニカル・アーマラー、「007スカイフォール」や「デンジャラス・ラン」(Safe House・2012・米/南ア)のデイヴ・エヴァンス、リード・アーマラーとして、やはり「007スカイフォール」のリチャード・フーパー、アーマラーで「デンジャラス・ラン」や「007スカイフォール」のジョス・スコットウらがクレジットされている。

 オプニング・タイトルはちゃんと銃が描き込まれた劇画タッチ・アニメーション。スローモーションで銃がちゃんと作動している。担当したのはメソッド・デザインというところ。

 気になったのは、原題が「RED2」なのに、なぜ邦題は「REDリターンズ」なんだろう? 変える必要はある?

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。当日は映画の日で誰でも1,000円なので、大混雑。すごい人の数。10分前に開場すると、人がどっと入場。こういう日はさすがに観客層は幅広く、若から中高年まで。男女比もほぼ半々。これって、ひょっとしたら入場料を安くすれば、もっと人が入るってことなんでは? まあ1,000円だと半額近いから2倍の観客が入らなければならなくなり、座席取りが難しくなるわけだが……。最終的には、遅れてくる人が多く良くわからなかったが、232席がほぼ満席となったよう。さすが映画の日。

 気になった予告編は……上下マスクの「アナと雪の女王」は日本語での予告。面白そう。3/14公開。

 F1の実話の映画化「ラッシュ/プライドと友情」は新予告に。なんだか暗くて、F1のファンは今日も深く楽しめるのだろうが……2/7公開。


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