Snitch


2013年12月1日(日)「オーバードライヴ」

SNITCH・2013・米/アラブ首長国連邦・1時間52分

日本語字幕:丸ゴシック体下、加藤真由美/シネスコ・サイズ(デジタル、Red)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米PG-13指定、日PG12指定)

公式サイト
http://overdrive-eiga.com/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

運送会社の社長ジョン・マシューズ(ドウェイン・ジョンソン)の前妻シルヴィ(メリーナ・カナカレデス)との息子ジェイソン(ラフィ・ガヴロン)は、親友のクレイグの無理矢理の頼みで小包を1日だけ預かったことで、麻薬密売容疑でDEAに逮捕される。すでにクレイグは逮捕されており、別の売人を言えば減刑されることから、ジェイソンの名をあげたのだった。ジョンの無実の訴えは聞き入れられず、また関係ない友人の名をあげることを拒否したため、発見された麻薬の量から、初犯であっても最低10年の刑になると弁護士に言われる。ジョンは連邦検事のキーガン(スーザン・サランドン)と会い、麻薬捜査の協力をする代わり、息子の刑期を減らしてくれと頼む。そして社員の中から麻薬の前科のあるダニエル・ジェームズ(ジョン・バーンサル)を説得し、売人のボス、マリーク(マイケル・K・ウィリアムズ)を紹介してもらうが、ジョンとダニエルの2人でヤクをメキシコから運んでくるように命じられる。そこでDEAの捜査官クーパー(バリー・ペッパー)が証人となって、正式な潜入捜査が行われることになるが……。

74点

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 予想とは違って、なかなか重い物語。親が子を思う気持ちの大きさに感動する。そしてアメリカのこの法律に疑問を感じてしまう。まるでマッカーシズムの「赤狩り」みたい。ハリウッドでも「赤」と思われる人物を上げないと、その人が罪に問われてしまうというパターン。人をチクらせるシステム。これが怖い。劇中主人公の父は息子に向かって言う「私はおまえを尊敬している。おまえは逃げないし、友人を裏切ることこともしなかった」と。「おまえに教えられた」と。これが感動的。悪い人ではないのだが、これを利用するDEAの捜査官と、連邦検事。

 もちろん映画的に派手に演出されているが、実話にインスパイアーされて作られたという。実に強烈だ。日本ではこんなことはないだろう。たぶんアメリカならでは。とても恐ろしい話で、ちょっと荷物を預かっただけで、麻薬がらみは最悪、執行猶予なしの懲役20年。ここから息子を救うため、父親は命をかけるという凄さ。こんなことは、アメリカでもなかなか普通の人にはできないだろう。

 国によっては、麻薬の犯罪は死刑やそれ相当の重罪というところも多い。だから「ミッドナイト・エクスプレス」(Midnight Express・1978・英/米)や「ブロークダウン・パレス」(Brokedown Palace・1999・米)の映画が生まれる。そういうところは描いていないが、それを想像させて息子を救い出さねばと思わせる。息子が刑務所で暴力を受けているらしいことを思わせるだけだが、うまい。

 ジョン・マシューズはドウェイン・ジョンソン。言わずと知れたアクション俳優だが、本作あたりではアクション俳優の脱却を図っているような感じ。最近は「G.I.ジョー バック2リベンジ」(G.I. Joe: Retaliation・2013・米)は残念だったが、人気シリーズの最新作「ワイルド・スピード EURO MISSION」(Furious 6・2013・米)はこの人がいることで面白みが増していた。

 相棒となる前科のある社員ダニエル・ジェームズはジョン・バーンサル。TVで活躍している人で、映画では「ナイトミュージアム2」(Night at the Museum: Battle of the Smithsonian・2009・米/加)や「ゴーストライター」(The Ghost Writer・2010・仏/独/英)に出ているが、ちょっと作品に恵まれない感じ。TVでは強烈な戦争映画シリーズ「ザ・パシフィック」(The Pacific・2010・米)に出ている。よくむずかしい立場の男の雰囲気を出していたと思う。

 連邦検事のキーガンはスーザン・サランドン。アカデミー賞を受賞している大女優。最近は小さな作品が多い。そのため「クラウドアトラス」(Cloud Atlas・2012・独/米/香/シンガポール)のあと、アート系や単館系が多く見ていないが、B級の「キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け」(Arbitrage・2012・米)やロバート・レッドフォードの「ランナウェイ/逃亡者」(The Company You Keep・2012・米)に出ていたらしい。いずれも評価が高いのに日本では超マイナーな扱い。

 DEAの捜査官クーパーはバリー・ペッパー。傑作戦争映画「プライベート・ライアン」(Saving Private Ryan・1998・米)以降、多くの良い映画に出ている。最近だとリメイク西部劇の「トゥルー・グリッド」(True Grit・2010・米)、懐かしのTV番組の映画化「ローン・レンジャー」(The Lone Ranger・2013・米)など。本作ではヤギみたいなヒゲをはやして、危険な雰囲気で登場。

 麻薬組織のボスはベンジャミン・ブラット。笑顔が魅力的な二枚目だが、本作では凶悪な役。「デンジャラス・ビューティー」(デンジャラス・ビューティー・2000・米/豪)でも確か甘い二枚目役ではなかったか。最近はTVが多いよう。

 別れた妻のシルヴィーはメリーナ・カナカレデス。TVの人気シリーズ「CSI:ニューヨーク」(CSI: NY・2004〜2013・米/加)でボナセーラを演じている人。映画では最近「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief・2010・加/米)に出ていた。

 脚本は、製作総指揮も兼ねるジャスティン・ヘイスと、監督も兼ねるリック・ローマン・ウォー。ジャスティン・ヘイスは、見ていないがロバット・レッド・フォードの「二重誘拐」(The Clearing・2004・米/独)やヒューマン・ドラマの「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」(Revolutionary Road・2008・米/英)、そしてコミカル・アクションの「ローン・レンジャー」(The Lone Ranger・2013・米)の脚本を書いている。本作は「二重誘拐」とつながるのかもしれない。だから単なるB級アクションにならなかったのか。

 監督のリック・ローマン・ウォーはスタントマン出身の人で、2000年代に入って監督や脚本もやるようになったらしい。ただ日本公開作品はない模様。しかしさすがスタントマン出身、アクション・シーンはさすがの迫力。今後に期待が持てそう。

 銃は、DEAの捜査官クーパーがグロックのカスタム、DEAの特殊部隊がM4、MP5、ジョン・マシューズが銃砲店で買う銃がM870。麻薬の売人の黒人のボスがガバメント、メキシカン・マフィアはグロック、AKS、AKSU、MP5、ボスはM60E3マシンガン、スナイパーは.50口径のライフルのようだった。社員のダニエル・ジェームズはワルサーP99かとおもったらimfdbではベレッタ・クーガー8000LクーガーFタイプPなんだとか。よくわからない。

 アーマラーはピーター・K・オー(Orr)。TVがメインの人のようで、「NUMB3RSナンバーズ〜天才数学者の事件ファイル〜」(Numb3rs ・2005〜2010・米)やSFの「フラッシュフォワード」(FlashForward・2009〜2010・米)、「VEGAS/ベガス」(Vegas・2012〜2013・米)を手掛けている。

 ちなみに、ジョン・マシューズの愛車はダッジ・ラム・トラック1500、愛用のパソコンはiMac、息子はMacBook。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席自由。25分前くらいに着いて、映画の日だったので1,000円でチケットを買って劇場前に行くとまだドアが開いておらず、オヤジが6〜7人。しかしまもなくドアが開いて地下の入口へ。ここもまもなく開場し、この時点では10人くらいで、オバサンが2人くらい。最終的には588席に50人くらいの入り。ちょっと予告やCMが少なかったからなあ。同じ新宿のシネコンが映画の日で大混雑していたのと比較すると、ここはあまりにも人が少な過ぎ。まあ設備的に差が大きすぎるか……。

 気になった予告編は……ヴィン・ディーゼルのビデオ・メッセージ付き予告は「リディック ギャラクシー・バトル」はなかなかおもしろそう。バウンティ・ハンターvsリディックか。ただやっぱり「1」は超えられないだろうなあ。評判もイマイチのようだし……3/8公開。

 上下マスクの「マイティ・ソー ダーク・ワールド」は新予告に。前作はつまらなかったのだが、予告を見る限り悔しいが面白そう、ビジュアルは。でもなあ……

 スタローンとシュワちゃんの「大脱出」は新予告に。2人のほかに、ジム・カヴィーゼルも出ているらしい。3つの壁? 1/10公開。

 日本映画の「ヨコハマ物語」は普通の物語のようだが、画質が素晴らしい。いままでの日本映画にはないほどのコントラストとシズル感。空も青空だし。デジタルだろうか。やればできるんだ。見ないけど。公開日は出ず、三三五五、バラバラに公開されるらしい。


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