47 Ronin


2013年12月7日(土)「47 RONIN フォーティセブン・ローニン」

47 RONIN・2013・米・2時間01分(IMDbでは119分)

日本語字幕:手書き風書体下、戸田奈津子/字幕監修:冲方丁/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri Alexa)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米R指定)(3D上映、日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://47ronin.jp/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

江戸時代の日本。天狗に育てられ鬼の子と呼ばれていたハーフ・ブリードのカイ(キアヌ・リーブス)は、幼いとき殺されそうになったところをアコウの城主アサノ(田中泯)に助けられ、姫のミカ(柴崎コウ)と一緒に育つ。あるとき、将軍のトクガワ(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)がアコウを訪れ、隣国の城主キラ(浅野忠信)の武将と武技競を行うことになる。しかしキラの側室の1人、妖術使いのミヅキ(菊地凛子)によりアコウ側の出場者が倒れ、しかたなくカイが顔を隠して出場するも大男の武将に敗れ、顔があらわとなる。その人間ではない正体に慄然としたトクガワは、即座に殺すように命じるが、ミカが飛び込み命乞いする。そこで、どうにか死刑は免じられ、木刀で打って追放されることに。さらにその夜、ミヅキにより毒を盛られたアサノは正気を失い、眠っていたキラに切りかかり、トクガワに切腹を命じられる。またミカは、両国の争いを避けるため、1年の喪の後、キラと結婚することを命じられる。こうしてオオイシ(真田広之)たち家臣は主君のいない浪人となってしまう。

65点

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 なんだこの茶番は? IMDbでは6.9点という高評価。アメリカ人には受けるのだろう。ボク的には突っ込みどころ満載で、いちいち書く気にもならないほど。だいたい日本の話としておきながら、全員が英語を話し、ほとんど国籍不明というか中華な雰囲気満載で、ラストにはご丁寧にも字幕で「いまでもお墓に多くの日本人がお参りをしている」と出る。やめてくれ。こんなものを世界で公開しないで欲しい。こんなの日本じゃない。「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring・2001・ニュージーランド/米)かっ、つうの。日本が誤解されるだけ。すべてのビジュアルがダメ。自分の国の歴史的実話をこんなにされたら、彼らならどうする? リスペクトのかけらもない。ラジー賞候補だと思うなあ。

 アジアのどこかの国のファンタジーということなら、納得できる。赤穂だ、浅野だ、吉良だという具体的な名前を出すな。芭蕉って……。勝手な想像だが、プロデューサーも、脚本家も、監督も、衣装デザイナーも、美術(プロダクション・デザイナー)も、日本に来たこともなければ、日本の時代劇を見たこともないのではないだろうか。みんなバカか? 「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・米)の爪の垢でも煎じて飲んだ方が良い。ちょんまげさえないのだから。字幕も読みにくいし、瞬間的に頭に入ってこない。字幕監修のせいではないのだろうか。優れた小説家が優れた字幕翻訳家とは限らない。CGのレベルもちょいと低い気がした。

 つまらないものほど3Dでごまかす。まさにどんぴしゃり。退屈、眠い。この映画に出た日本人キャストのメリットは、ハリウッド映画に出たという実績と、お金以外ないのでは。デメリットは出演者がみんなバカに見えること。悲しいほどの映画。国辱的でもあるかもしれない。アメリカではウケるんだなあ……。「ラストエンペラー」(The Last Emperor・1987・中/伊/英/仏)みたいで、「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl・2003・米)みたいで、オリジナリティはどこ?

 カイはキアヌ・リーブス。大ヒットした「マトリックス」(The Matrix・1999〜2003・米/豪)シリーズ以降はパッとしない感じ。「フェイク シティ ある男のルール」(Street Kings・2008・米)が面白かったラストか。もっと良い作品に出て欲しいなあ。

 脚本は原案も兼ねるクリス・モーガンとホセイン・アミニの2人。クリス・モーガンは人気シリーズの日本が舞台の「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」(he Fast and the Furious: Tokyo Drift・2006・米/独)以降を担当。ほかに面白かった「セルラー」(Cellular・2004・米/独)などを手掛けているものの、「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)も書いている。

 ホセイン・アミニは残念なリメイク「サハラに舞う羽根」(The Four Feathers・2002・米/英)と残念なダーク・ファンタジー「スノーホワイト」(Snow White and the Huntsman・2012・米)を書いている一方、「シャンハイ」(Shanghai・2010・米/中)や「ドライヴ」(Drive・2011・米)などリアリティのあるドラマも書いている。ファンタジー系が向かないのに、本作をファンタジー系にしてしまったということか。

 監督はカール・リンシュ。広告業界の出身で、劇場長編作品は初めて。IMDbでの評価は高いが、ボクは同意できない。逆に広告業界らしい感性優先の演出に思えて……確かに絵作りはうまい。そういう意味では「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)シリーズのマイケル・ベイに似たところがあるかもしれない。

 銃は出島の外国人たちが、たぶんフリント・ロックらしい小銃と短筒を使う。

 公開2日目の2D字幕版の初回、新宿の劇場は全席指定。11〜12分前に開場。観客層は20代くらいから中高年まで割と幅広く、若い女性が多い印象。キアヌ・リーヴスねらいか、元KAT-TUNの赤西仁ねらいか。まさか柴崎コウ? 男女比は4:6で女性が多かった。プログラムをすでに買っている人もチラホラ。最終的には232席に6.5割くらいの入り。これからガクンと減るのではないだろうか。

 気になった予告編は……上下マスクの「ホビット 竜に奪われた国」は新予告に。前の予告はティーザーでさっぱりだったが、このバージョンは面白そうに見える。2/28公開。


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