Genom Hazard: aru tensai kagakusha no itsukakan


2014年1月26日(日)「ゲノムハザード ある天才科学者の5日間」

2013・日/韓・2時間00分

日本語字幕:丸ゴシック体下/シネスコ・サイズ(カメラ、フォーマット不明)/ドルビー・デジタル


公式サイト
http://genomehazard.asmik-ace.co.jp
(全国の劇場リストもあり)

新婚のイラストレーター、石神武人(いしがみたけと、西島秀俊)は誕生日、会社に韓国語のカードが付いたプレゼントが届き、なぜか読めてしまう。その夜、帰宅すると、灯が点かず、火の付いたろうそくがたくさん並べられていて、部屋の隅で妻の美由紀(みゆき、中村ゆり)が亡くなっている。茫然とする中、当の美由紀から電話がかかってきて、今実家にいるから明日には帰るという。では、ここで死んでいるのは誰なのか。そのとき、なぜかタイミング良く警察と名乗る2人組の男がたずねてくる。石神は事情を説明し、刑事とともに部屋に戻ると死体が消えている。署まで来て詳しく説明するようにと連れて行かれることになるが……。

74点

1つ前へ一覧へ次へ
 ほとんど日本人の俳優陣で、舞台も日本で、日本語ですすむ物語なのに、これは堂々たるみごとな韓国映画。感情を前面に出し、グイグイとせまってくるような力強い演出は、なかなか日本映画では見られない。

 そのために、前半はちょっと感情が上滑りしているような感じもあったが、中盤から後半にかけてはこれでもかのパワー・プレイ。ラストはやっぱり泣かせる。

 実に良くできたミステリー。もちろん原作が素晴らしいということもあるのだろうが、アクションもたっぶりあり、銃撃戦さえあり、映画らしくうまくまとめられている。銃撃戦は日本で撮影されており、協力に東京マルイとあったからトイガンが使われているはずだが、やはり演出が適切だとそれを感じさせない。日本映画より緊張感があり、リアルで、それらしく見えてしまう。このへんがまた韓国映画ということなんだろう。今なのにタバコが良く出てくるところも。日本でもこういうふうに撮れる人がいるといいのだが、なかなかいないようだ。

 サブ・タイトルは5日間ということになっているが、冒頭に出るカウントダウン時計は96時間になっているから4日間ではないのだろうか。といっても、物語は1年後まで続くのであまり意味のない数字なのだが、1つのタイム・リミットということで。

 ただ、事情がわからない状態が長すぎる気はする。二転三転する物語だが、ある程度の説明を30分とか、1時間でしてくれないと、付いて行くのがしんどくなる。クライマックス近くでようやく説明があって、それが一気に二転三転では理解するのが困難。ちょっとわかりにくいというか、乗り遅れ感はあった。学術的なむずかしい用語なども出てくるだけに、そこだけが残念。

 それと、TV局の記者らしい謎の女(警察手帳のようなものを持っていなかったか?)カン・ジウォンがタイミング良く、しかも所在がわからないはずの主人公のところへ現れるのは、納得できなかった。おかげで主人公はピンチを切り抜け、謎を解いていくことができるのだが、ちょっとできすぎていやしないか。

 銃は、最初警察をかたって入ってくる黒スーツの男たちはベレッタM92だが、次に出てくるときはグロックに。まあ、両方あったのかもしれない。そして過剰演出というか、わかりやすくするためなのか、後半ではグロックにセフティを掛けるような音がするシーンがあった。マニュアル・セフティはないのだが。石神が博士に向ける銃はM92。協力メーカーのリストに東京マルイの名があった。

 石神武人は西島秀俊。まあ二枚目で、このところ「八重の桜」(2013・日)などTVが多い感じだが、最近でいうと「ストロベリーナイト」(2013・日)に出ている。「風立ちぬ」(2013・日)では声優もやっている。刑事役が多いだろうか。最近はCMも多い。

 最初の美由紀は中村ゆり。死体の時間が多いがこの人もきれい。本作では何かなまめかしい。TVが多いが、最近「そして父になる」(2013・日)に出ていたとか。また「黄金を抱いて翔べ」(2012・日)にも出ている。

 後半の美由紀は真木よう子。「そして父になる」で中村ゆりと共演している。よく映画に出ていて「外事警察その男に騙されるな」(2012・日)、「SP革命篇」(2011・日)にも出ている。

 佐藤博士は伊武雅刀。この人もTV・映画に良く出ている。「二流小説家シリアリスト」(2013・日)では刑事を、日本とハリウッドの合作「終戦のエンペラー」(2012・日)にも出ていた。

 流ちょうな日本語を操るニセ刑事はパク・トンハ。ミュージカルで活躍しているようで、過去にはNHK教育テレビのパーソナリティも務めていたらしい。なかなかの説得力。充分怪しい男に見えた。

 石神を助ける謎の韓国人ジャーナリスト、カン・ジウォンはキム・ヒョジン。ボクはあまり見たことがないが、イ・ビョンホンとエッチなコメディ「誰にでも秘密がある」(Everybody Has a Little Secret・2004・韓)などに出ているらしい。ちょっとたどたどしいところはあったものの、韓国人っぽい日本語ながらちゃんと聞き取れた。

 原作は1998年にサントリーミステリー大賞読者賞を受賞した司城志朗の小説『ゲノムハザード』。放送作家から小説家になった人らしい。

 音楽は川井憲次。多くの作品を手掛けていて、最近作は「二流小説家シリアリスト」や「クロユリ団地」(2013・日)。

 脚本・監督はキム・ソンス。短編、そして長編の助監督を経てクォン・サンウとユ・ジテの「美しき野獣」(Running Wild・2005・韓)で長編劇場映画監督デビュー。それも脚本を自分で書いている。その時の音楽も川井憲次。

 公開3日目の初回、六本木の劇場は全席指定で、ムビチケで確保。100円高いが劇場へ行く必要がないので電車賃がかからない。逆にお得。当日は15分前くらいに開場。最初は中高年が18人ほどで、そのうち女性が5人。あとで若い人も少し来たが、だいたいそんな比率。最終的には180席の1/3ほどが埋まった。有名俳優も出ているし、内容もなかなかでもっと入ってもいいのではないだろうか。

 明るいまま始まった予告で気になったのは……上下マスクの「ローン・サバイバー」はアフガンでのネービー・シールズの戦いを描いた実話らしい。非常に気になる。3/21公開。

 BBCドキュメンタリー「ネイチャー」はこんどは3Dになるんだとか。劇映画ではないが、ちょっと気になる。GW公開。

 マット・リーブス監督の「猿の惑星:新世紀」はちょっとだけ新作動画の混じった予告。秋公開というので、まだだいぶ先。公式サイトもない。

 ダグ・リーマン監督の新作はトム・クルーズ主演で、日本のライト・ノベルが原作の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は写真のみ。夏公開で、公式サイトはまだなし。

 アンジェリーナ・ジョリー主演の「マレフィセント」は「眠れる森の美女」の魔女の物語。なんだか怖そう。7/5公開。

 ダーレン・アロノフスキー監督の新作「ノア約束の船」は「ハチ約束の犬」みたいだが、スケールの大きな聖書物語になりそう。これは見たい。6月公開。

 上下マスクの「青天の霹靂」は劇団ひとり原作のタイム・スリップもの。大泉洋が主演なので面白そうな感じだが、脚本・監督も劇団ひとりというのはどうなんだろう。予告は面白そう。5/24公開。

 上下マスク「チーム・バチスタFINALケルベルスの肖像」はやっぱりTVの映画化か。最近はこれが多い。TVで受けたものは劇場でも受けるということなのだろう。3/29公開。

 「スノーピアサー」はSFアクション。氷に覆われた地球で唯一の生存空間がスノーピアサーと呼ばれる列車で、先頭車両が上流階級で、後方車両は下層階級という格差社会があるという設定らしい。監督は韓国のポン・ジュノで、出演者はほとんどハリウッド系という豪華版。面白そう。2/7公開。

 上下マスクの「アメリカン・ハッスル」は実話の映画化とか。豪華キャストも見どころの1つ。ハッスルとは俗語で詐欺のことらしい。逮捕された詐欺師がFBIに協力し、汚職政治家を逮捕する話だとか。1/31公開。

 上下マスク「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は新予告に。主演のディカプリオが8年もかけて作り上げた作品らしいが、どうもなあ……。これも実話だとか。1/31公開。

 ようやく暗くなって、スクリーンが左右に広がってシネスコになって本編へ。まあ、とにかくケータイを切らないヤツが多いし、半暗になっても使っているヤツが多い。あんなに明るい液晶画面がどれだけ迷惑か全くわかってない。外でやれ。


1つ前へ一覧へ次へ