Thor: The Dark World


2014年2月2日(日)「マイティ・ソー ダーク・ワールド」

THOR: THE DARK WORLD・2013・米・1時間52分

日本語字幕:手書き風書体下、黄色、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri ALEXA、Red)/ドルビー・デジタル、DATASAT、ドルビーATMOS

(米PG13指定)(日本語吹替版、3D上映、IMAX版もあり)

公式サイト
ww.marvel-japan.com/movies/thor/
(全国の劇場リストもあり)

ロンドンで研究を続けていたアメリカの天文物理学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)は、助手のダーシー(カット・デニングス)から呼び出され、子供たちが見つけたという重力異常地点を調査に行く。そこではミキサー車が指1本で動かせるほか、ある地点では投げたものが消え、別のところから現れるという現象が起きていた。そしてそこを調査中、ジェーンは異世界に飛ばされ、過去に封じ込められていた、物質をダーク・マターに変えることができる「エーテル」を体内に取り込んでしまう。そんなとき5,000年に1度の、9つの世界が直列に配置される時が近づいており、それを利用して暗黒世界を復活させようとするマレキス(クリストファー・エクルストン)が、「エーテル」を取り戻すため目覚める。ジェーンの異変を感じたソー(クリス・ヘムズワース)は、地球に現れると、ジェーンを治療するため神の国アスガルドへと連れて行く。

72点

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 すごい。CGはとんでもなく素晴らしい。スケールも大きく、作り物とは思えないようなリアルさ。そして奇想天外さ。これは大きなスクリーンで見る価値がある。IMDbでは7.6点などという高評価。ただし最近のIMDbはあてにならなくなってきたけど。大人気コミックが原作ということで、特にアメリカでは人気が高いのかも。

 ただストーリーは荒唐無稽というか、リアルさとはかけ離れたSFファンタジーで、大冒険なんだろうが、あまりそれを感じさせない。普通。一族の骨肉の争いなのに感動もなく、ほとんど感情は動かされない。ソーとジェーンの恋にもまったくときめかない。どうでもいい感じ。これはなんだろう。ただキテレツなエリック博士がらみで笑えるシーンは結構面白かったけど。

 CGを多用していながら、3Dで立体感が感じられたのは全体の1/3くらい。たいていは2Dとたいして変わらない印象。1つにはパンフォーカスになっていない。前景がピンボケというのは、2Dで立体を感じさせる要素だが、3Dでピンがぼけていると逆効果のよう。視線が行ってピントが合うようだと立体を感じるのだが、それは無理なんだろう。とにかくピンが浅いのと、アクション作品でカットが速いため頭が3Dを感じる前に次ぎに行ってしまう。一番立体的に見えたのは、ラストのエンド・ロールの油絵のようなあえて3Dとして作った映像。非常に立体的に感じた。

 やっぱり3D上映はほかに売りがないということか。宇宙船のチェイスは「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(Star Wars: Episode I - The Phantom Menace・1999・米)のレースのパクリみたいな音がするし……

 ソーは最近映画に出まくりのクリム・ヘムズワース。どうも日本人的には武器がハンマーというのはピンと来ない。打ち出の小づち的な古さを感じてしまう。「レッド・ドーン」(Red Dawn・2012・米)に出ていたと思ったら「ラッシュ プライドと友情」(Rush・2013・米/独/英)にも出ていて、それで本作と、稼ぐなあ。

 ヒロインのジェーンは「ブラック・スワン」(Black Swan・2010・米)でアカデミー主演女優賞を獲得したナタリー・ポートマン。本作はハリウッド大作だが、最近は小さなアート系作品が多かった印象。もちろん前作から引き続きの出演。

 今回大活躍の、ボクには残念だった「アベンジャーズ」(The Avengers・2012・米)で地球を破壊しようとしたロキはトム・ヒドルストン。そんなに簡単に的が味方になっちゃっていいわけ? ご都合主義だなあ。本シリーズ以外ではあまり見ない印象だが、「戦火の馬」(War Horse・2011・米)に出ている。雰囲気はロキにピッタリの人。前作から引き続きの出演。

 新しいキャラとして登場するのは、新しい敵マレキスのクリストファー・エクルストン。特殊メイクで非常に不気味な雰囲気を出している。「G.I.ジョー」(G.I. Joe: The Rise of Cobra・2009・米/チェコ)や「アメリア 永遠の翼」(Amelia・2009・米/加)に出ている人で、あまりイギリス人っぽくない感じ。

 脚本はクリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー、クリストファー・L・ヨストの3人。クリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリーはコンビで「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」(The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe・2005・米/英)シリーズ3作と「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」(Captain America: The First Avenger・2011・米)を書いている。クリストファー・L・ヨストはマーベル・コミック系のTVシリーズをたくさん手掛けている人。世界観がわかっているということか。

 監督はアラン・テイラー。もともとはTVの人で、「ホミイサイド/殺人捜査課」(Homicide: Life on the Street・1993〜1999・米)や「MAD MENマッドメン」(Mad Men・2007〜・米)、最近では「ゲーム・オブ・スローンズ」(Game of Thrones・2011〜・米/英)を手掛けている人。それらが評価されて本作につながったらしい。すでにプリプロに入っている2015年公開予定の「Terminator: Genesis」の監督も務めるらしい。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定の字幕3D版での上映。3Dで見たくはなかったが、しかたない。12〜13分前に開場となり、場内へ。3Dメガネが変わって、3D料金が400円に値下がりし、メガネも軽く小さくなった(X-PAND)ものの、いちいちスイッチを入れなければならないとか、パイロット・ランプがないのでオンかどうかわからないとか、顔へのフィットが良くないとか、いろいろデメリットもある。だいたい画面が暗く見えるし。そしてメガネのテストは早めにやった方が良いと思うなあ。もしダメなとき、本編が始まっていたら手遅れになる。遅れてくるヤツが多いから、それを配慮しているのかもしれないが……。

 観客層は、下は小学生くらいから、中高年まで幅広かったが、やはりメインは中高年。男女比は7対3くらいで男性が多かった。遅れてくるヤツが多く、最終的には女性が4割くらいになって、157席に8割くらいの入り。もっと少ないかと思ったが、意外に多かった。

 明るいまま始まった予告は、「17歳」はなにやらエッチな映画らしい。17歳の娼婦? 監督がフランソワ・オゾンで、シャーロット・ランプリングも出ているらしい。2/15公開。

 「大統領の執事の涙」は実話を基にはしているが、実話ではないらしい。最近は怖い役の多いフォレスト・ウィティカーが良い人を演じるとは珍しい。2/15公開。

 半暗になってから、上下マスクの「アナと雪の女王」は以前からやっている歌の1コーラス版。でも豪華で、きれいで、すばらしい。3/14公開。

 そのままスクリーンの上下が狭まってシネスコ・サイズになってから「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」の3D予告。ただ、予告はカットが短くて速いので3D上映には向かない。頭が3Dを認識するのに間に合わない。まだ公式サイトはない模様。4/19公開。

 暗くなって本編へ。まず「エンド・クレジットのあとにも映像があるので席を立たないで」というテロップ。でも、忘れたのか出て行く人が結構いた。ラストにタイトルがもう1回出たあとで、コレクターという人物に石を預けるシーンが。そしてエンド・クレジットのあと、ロンドンの様子がもう一度出る。そして暗くなって「ソーは帰ってくる」の文字。007かっ!?


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