Kick-Ass 2


2014年2月22日(土)「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」

KICK-ASS 2・2013・米/英・1時間43分

日本語字幕:手書き風書体下、松崎広幸、日本語字幕監修:町山智浩/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではSDDSも)

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://kick-ass-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

前回の活躍で、なりきりヒーローのキック・アスが全国に広まり、ご当地ヒーローが増え出していた。ようやく目的ができたキック・アスことデイヴ・リゼウスキ(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、同じ高校に入学してきた1年生のヒット・ガールことモンディ・マクレイディ(クロエ・グレース・モレッツ)に頼み込んで、本物のヒーローになるべくトレーニングを開始する。一方、同じ頃、父をヒット・ガールとキック・アスに殺されたレッド・ミストことクリス・ダミコ(クリストファー・ミンツ=プラッセ)は復讐を誓っていたが、夫の死は事故だとする母親(ヤンシー・バトラー)とケンカばかりで、ついに日焼けマシーンを壊して母を殺してしまう。莫大な財産を相続したクリスは新たに「マザー・ファッカー」と名乗り、ボディガードのハビエル(ジョン・レグイザモ)に命じて金の力で世界中の悪党たちを集め、ヒット・ガールとキック・アスに復讐を果たそうとする。

74点

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 毒気タップリの過激なアクション・コメディ、第2段。2作目なので心配したが、なかなかの力作で、最後までぐいぐいと観客を惹きつけて引っ張って行く。お下劣ギャグ、下ネタ、差別用語、汚い言葉のオンパレード。血が飛び、手も飛び、刃が肉に刺さり肉を切り裂き、反吐とウンコがまき散らされる。勢いが落ちていないのはすばらしい。

 ただし、前作はコスプレやお遊びのレベルから、最後にはちゃんとした社会悪との戦いが用意されていたが、今回は事件の元は主人公のコスプレやお遊びのレベルのヒーローゴッコから始まって、彼らへの復讐を誓うコスプレ悪党たちとの戦いで終わる。つまり、原因が自分たちで、そのトラブルを解決しただけ。劇中でも言っているが、社会はちっとも良くなっていないし、むしろにわかヒーローが増えて、あちこちで暴力沙汰が増えてしまった。その辺が気になる。ただ、正義を求める市民の種は蒔いたと。

 これはコメディなのだからそこを追求してもしようがないということはあるのかもしれない。しかし、ここまで暴力をリアルに描いたのなら、それなりの覚悟を持つというか、応えなければならないのではないだろうか。遊びだけでは済ませられないだろうと。

 ヒット・ガール、キック・アス、レッド・ミストあらためマザー・ファッカーは前作からの続投。それぞれクロエ・グレース・モレッツ、アーロン・テイラー=ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセが演じている。もちろんクロエ・グレース・モレッツが一番活躍しており、前作のあと10本ほどの作品に出ている。もっとも話題になったのは「ヒューゴの不思議な発明」(Hugo・2011・米)だろうか。アーロン・テイラー=ジョンソンは4本ほどの作品に出ており、メジャーな作品の大きな役では「野蛮なやつら/SAVEGES」(Savages・2012・米)あたりか。クリストファー・ミンツ=プラッセはアニメの声の出演を入れて3本ほど。実写では「フライトナイト/恐怖の夜」(Fright Night・2011・米)あたり。3人とも3年しか経っていないのに、ずいぶんと大人っぽくなった感じがした。

 新しいキャラクターとしては、まずヒーローたちのリーダーになる大佐がいる。特殊メイクをしていたのか、マスクのせいかほとんどわからなかったが、何とジム・キャリー。本当にマッチョな人に見えた。この名を聞いたのは「フィリップ、きみを愛してる!」(I Love You Phillip Morris・2009・仏/米)が最後だったような。なんだか最近はあまり見かけなくなっていただけに、良かったという気も。「ブルース・オールマイティ」(Bruce Almighty・2003・米)や「エース・ベンチュラ」(Ace Ventura: Pet Detective・1994・米)は良かったなあ。

 ボディガードのハビエルはジョン・レグイザモ。悪党役が多いものの、意外といい人も演じている。意外なところではCGアニメの「アイス・エイジ」(Ice Age・2002・米)のナマケモノのシドの声。つい最近「悪の法則」(The Counselor・2013・米/英)にノンクレジットで出ていた。

 もう1人も目立っていた美女はナイト・ビッチのリンディ・ブース。主にTVで活躍していた人で、劇場作品はホラーの「クライモリ」(Wrong Turn ・2003・米/独)や「ドーン・オブ・ザ・デッド」(Dawn of the Dead・2004・米/加ほか)がある。本作はなかなかいい感じだった。もっと活躍して欲しい。

 銃は、ヒット・ガールがキック・アスのトレーニングに使うのが、P230/232とS&WのM629のカスタム。レッド・ミストあらためマザー・ファッカーが母の遺品として手に入れるケース入りの2挺の彫刻入りペアのシルバー1911が、ダブル・カラムのパラ・オードナンス。大佐が使っていたのはS&WオートのM5946。葬儀で出てきたのはリボルバー・グレネード・ランチャーにAKのレール・カスタム。警察官はグロックを使用。変なゴーグルをかけたバンのドライバーはCZ100。アーマラーはチャールズ・タイラー。TVがメインのようだが、「RED/レッド」(Red・2010・米)や「トータル・リコール」(Total Recall・2012・米/加)、「バイオハザード」(Resident Evil: Retribution・2012・独/加ほか)などを手掛けている。

 原作はマーヴェルのコミックで、脚本・監督は、前作のマシュー・ヴァーンはプロデューサーになり、ジェフ・ワドロウへ。この人は大学を卒業後に短編を手掛け、それが高く評価されて長編を作るようになるが、いずれも日本で劇場公開されていない。そして新しい企画を出していて、それはダメになったものの、それがきっかけで本作に起用されたらしい。はたして今後はどうか。

 本作も字幕が斜体になるとジャギーが酷くて読みにくかった。高解像度の時代に、むかしの海賊ビデオじゃないんだから……。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、12〜13分前に開場。若い人から中高年まで、わりと幅広い観客層。メインは中年層という感じ。男女比はほぼ半々で、最終的に157席がほぼ埋まった。まあ、こんなものか。

 気になった予告編は……上下マスクの「X-MENフューチャー&パスト」は待望のシリーズ最新作。面白そう。でもウルヴァリンがメインなんだ、やっぱり……。5/30公開。

 上下マスクの「シャドウハンター」はどうもバンパイヤーものっぽい雰囲気。ベスト・セラー小説が原作らしい。眉毛のキリッとした美女、リリー・コリンズが出ている。4/19公開。

 「THE NEXT GENERATIONパトレイバー」は人気アニメの実写版。なんと98式イングラムを実寸で作っちゃったみたい。すばらしい造形。リアル。監督はもちろん押井守。シリーズ全7章を4月から劇場で限定連続公開した後、長編劇場版を2015年の5月GWに公開するらしい。

 「白ゆき姫殺人事件」は、タイトルがちょっと損している気がするが、本格的なミステリーらしい。それも「羅生門」(1950・日)的な群像劇のような雰囲気。おもしいかも。3/29公開。

 上下マスクの「LEGOムービー」はアメリカで話題になったらしい。ネットでレゴの「スターウォーズ」だったかが話題になったこともあったような。日本語吹替での予告。どうも子供向きっぽい。3D上映もあるらしい。3/21公開。


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