Machete Kills


2014年3月1日(土)「マチェーテ・キルズ」

MACHETE KILLS・2013・露/米・1時間48分(IMDbでは107分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、安本煕生/ビスタ・サイズ(Arri、デジタル)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://www.finefilms.co.jp/machetekills/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

マチェーテ(ダニー・トレホ)はアリゾナ州とメキシコの国境で、ICEのサルタナ捜査官(ジェシカ・アルバ)と共同で武器密輸事件を追ううち、突如現れたマスクの集団に襲われ、サルタナ捜査官を殺されてしまう。そして逆にサルタナ捜査官の殺害容疑で、地元のドークス保安官(ウィリアム・サドラー)に逮捕され、あやうくリンチで殺されそうになったところを、アメリカ大統領ラスコック(カルロス・エステベス〈チャーリー・シーン〉)に助けられ、ミサイルでアメリカを脅すマルコス・メンデス(デミアン・ビチル)という男を排除するように命じられる。そこでマチェーテはメンデスお気に入りの娼婦セレーサ(ヴァネッサ・ハジェンズ)に接触する。すると、メンデスは二重人格で、もとは革命家だったのに、突然豹変して“マッドマン”となり、何をしでかすかわからないほど凶暴になるという。セレーサの紹介でメンデスに会うと、彼の心臓とミサイルの発射装置が連動していることが判明し、殺すことはできなくなる。解除できるのは開発者である大企業の社長、ルーサー・ヴォズ(メル・ギブソン)だけだった。

71点

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 印象はほとんど「プラネット・テラー in グラインドハウス」(Planet Terror・2007・米)と同じ。わざと1970年代初めの無国籍的B級アクションを再現したということで、なんだか「痛快、楽しい!」というというより、なんだか悲しくなってきた。血が飛び、腕や頭が飛び、内蔵も飛び出して、人間が粉々になる。とんかでもないバイオレンス。まあ残酷。脚本も、狙いなのだろうが、ご都合主義というか、こんなことあるか、と。

 「007」をもじったところも大分あるようで、ラストには宇宙へ行く。「007/ムーン・レイカー」(Moonraker・1979・英/仏)か。しかも予告編から始まって、その予告編「マチェーテ イン・スペース」へ続くと。おいおい、解決しないのか。昔あった連続活劇、連続映画的な構成なのか。そういえば押井守監督の実射版「THE NEXT GENERATIONパトレイバー」もシリーズ全7章を限定連続公開するそうで、あんな感じか。

 そんなわけで、むちゃくちゃやって、結局、解決なし。主人公はどうやったって死なないし、敵もクローンで死んでも何回も出てくる。そんなのありかよ。初めてこれを見るなら良いかもしれないが、「プラネット・テラー」があって、「マチェーテ」(Machete・2010・米)があって、特に意味もないし、どうでも良い感じも。

 主演はダニー・トレホ。本物の犯罪者だったのが更生して役者になった人で、その後犯罪者の更生プログラムなどに尽力しているという。今では自身の製作会社も持っているらしい。監督のロバート・ロドリゲスは従兄弟になるらしい。ロバート・ロドリゲス作品には「デスペラード」(Desperado・1995・米)から出ている。古くは黒澤明脚本の「暴走機関車」(Runaway Train・1985・米)や傑作ホラーSF「ヒドゥン」(The Hidden・1987・米)から出ている。最近作はほとんど日本で劇場公開されていない。小劇場で公開された「SUSHI GIRL」(Sushi Girl・2012・米)あたりか。武器はマチェーテのほかに冒頭のシーンでUSPを使っていた。

 敵のボス、ルーサー・ヴォズはメル・ギブソン。まあ歳を取ったなあという感じ。顔も手もシワだらけ。1956年生れなので57か58歳のはずだが、もっと老けて見える。本作の前は自身が製作と脚本も担当した痛快刑務所アクション「キック・オーバー」(Get the Gringo・2012・米)に出ていた。私生活で問題を起こさず、もっとガンガン映画に出てほしい。

 現地連絡員の金髪美女ミス・サンアントニオはアンバー・ハード。傑作ゾンビ映画「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)に出ていたらしい。「ゾンビランド」ではまだ少女という感じだったが、本作ではもう立派な大人。エンド・タイトルの後「プッシー・パンチなんてあり?」なんていうアンバー・ハードのビハインド・ザ・シーンが付け加えられている。

 マチェーテの相棒のような隻眼の女性ルースはミシェル・ロドリゲス。前作から引き続きの出演。「バイオハザード」(Resident Evil・2002・英/独ほか)シリーズと「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米/独)シリーズにも出続けている。使っていたのは銃はパイソンが途中でM500に変わり、最後にはミニミをぶっ放す。それにしても、両目を撃ち抜かれて生きているなんてモンスターか。

 カメレオンという変装名人の殺し屋は、最初は「プレデターズ」(Predators・2010・米)のウォルトン・ゴギンズで、次に「大統領の執事の涙」(The Butler・2013・米)のキューバ・グッティング・Jrになり、そして歌姫レディ・ガガになると、ラストは最近あまり見かけない「エージェント・マロリー」(Haywire・2011・米/アイルランド)のアンニオ・バンデラスになる。使っていた銃はずっとサイレンサーの付いたシルバーのPPK。

 大男の殺し屋で、クローンで何度も登場するサロールはマルコ・サロール。公式サイトによるとチリの武道家で、アクション・スターで、アクションの振付師(殺陣師)だそう。痛快アクションの「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」(The Rundown・2003・米)でドウェイン・ジョンソンのスタントマンを演じ、名をあげたらしい。本作はハリウッド・デビュヘー作になるんだとか。MP5やモスバーグのポンプ・ショットガンを使っていた。

 アメリカ大統領はカルロス・エステベス、チャーリー・シーンだ。カルロス・エステベスは本名。いろいろと私生活でトラブルが多く、2000年代に入ってからはおもにTVで活躍、日本ではあまり見かけなくなっていた。最新作はラジー賞にノミネートされた「Scary Movie 5(未)」(Scary Movie 5・2013・米)。M4カービンをぶっ放している。

 ほかに、AKMを持っていた悪党みたいな神父が特殊メイクでも知られるトム・サヴィーニ。メンデスのピラミッドのような要塞にいるガードの1人が「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」(Burn Notice・2007〜・米)のブルース・キャンベルだったらしい。まあ、あちこちで有名俳優がカメオ出演している。

 脚本はカイル・ウォード。本作の前には短編の脚本を1本書いているだけ。大抜擢かもしれない。ただ、これでいいのかどうか。ストーリーは監督でもあるロバート・ロドリゲスと弟のマルセル・ロドリゲスが書いているので、ほかにやりようがなかったのかもしれない。

 監督・原案・製作・撮影監督・編集・音楽を担当したのはロバート・ロドリゲス。ハリウッド・システムを嫌って独自製作しているらしい。「デスペラード」(Desperado・1995・米)や「パラサイト」(The Faculty・1998・米)は良かったけどなあ……。つまり制約が多い中で作った方がかえって良いものが作れるのではないかと。本人は納得していないだろうけど。

 ほかに登場した銃は、冒頭のICEのエージェント役のジェシカ・アルバがグロックを使っている。軍はM16A2、M4カービン、MP5、ベネリM4など。へんなマスクの一団はFN P90。メンデスのデミアン・ビチルはベレッタM92、その部下はガバのシルバー、さらにその部下たちはAK47を使っている。娼館の女たちはイングラムとTEC9。冒頭の保安官役のウィリアム・サドラーが持っていたのは、南北戦争当時に使われた銃身が二本ある古いリボルバー、ル・マット。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定。12〜13分前に開場。意外なことに若い人から中高年まで幅広かった。というか、割と若い人の方が多い。男女比は半々くらい。最終的には138席がほぼ埋まった。ただし映画の日なので、1,000円ぽっきり。この日はどこの劇場も、どの作品も混む。

 気になった予告編は……上下マスクの「ハミングバード」はジェイソン・ステイサムのアクション。内容はまだ良くわからないが、少女がどうとか言っていた。公式サイトはまだない模様。6/7公開。

 上下マスクの「アメイジング・スパイダーマン2」は新予告に。「1」はつまらなかったけれど、「2」は予告を見る限りは面白そうな感じ。ジェイミー・フォックスがいい雰囲気だった。4/25公開。

 「ワンチャンス」も新予告に。ちょっと地味な感じはするが、予告を見ると面白そう。いじめられっこポール・ポッツの実話。3/21公開。


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