The Hobbit: The Desolation of Smaug


2014年3月2日(日)「ホビット 竜に奪われた王国」

THE HOBBIT: THE DESOLATION OF SMAUG・2013・米/ニュージーランド・2時間41分

日本語字幕:手書き風書体下、アンゼたかし/字幕監修:伊藤 盡、辺見葉子、高橋勇/シネスコ・サイズ(デジタル、Red Epic)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではドルビー・アトモスも)

(米PG-13指定)(2D日本語吹替版、3D日本語吹替版、3D HFR版、IMAX版、IMAX 3D HFR版、ドルビー・アトモス版もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/thehobbitdesolationofsmaug/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ドワーフの一行は自らの祖国を取り戻すため、ガンダルフ(イアン・マッケラン)とともに邪悪な竜“スマウグ”(声:ベネディクト・カンバーバッチ)が占領している“はなれ山”へ向かうが、追手であるオーク軍が迫っていたため、近道となる“闇の森”を突っ切ることにする。その先に湖があり、対岸に滅びた“デイル”があり、そして“はなれ山”があった。入口でガンダルフと別れ、ドワーフ一行はエルフの道をたどるが、途中で迷子となり巨大なクモに襲われた末、エルフにとらえられてしまう。

76点

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 3D HFR、字幕版で見た。メガネは同じだが(いつもながら指紋などで汚れていた)、スクリーンは明るく、初めから終わりまでずっと立体感があった。暗いシーンでも、これなら問題なさそうだ。色もきれいだし、シズル感もアリ、ちょっとビデオっぽいほど。生々しい。ただし、一番飛び出ていたのは、熊ん蜂風の虫でも、観客席の方を向く長い槍でもなく、一番最初のWBとニュー・ライン・シネマのロゴだったりはするのだが。これはIMAXの3D HFR版で見たらどんなにすごいんだろうか。

 映画としては3部作の真ん中、つなぎの第2作ということで、たいていは中だるみで何も解決しないので一番つまらないものになりがち。「起承転結」の「承」。「転」は「結」と一緒のことが多い。本作はどちらかというと「起」に近い展開とすることで、第1作の「ホビット 思いがけない冒険」(The Hobbit: An Unexpected Journey・2012・米/ニュージーランド)よりも映画的には面白くなっている。壮大な大冒険で、新たに竜が登場し、それがとんでもない災禍をもたらす。あえていうと、前作は無くても良いくらい。黄金のリングも登場し、それが活躍する。すごいなあ。

 とにかく絵がすばらしい。美しい。デジタル技術と編集のテクニックと演出で、細かくカットを割っているのにまるで1カットで撮られたよう。一体どうやって撮ったのかわからないカットもたくさんあった。デジタル撮影のおかげで、まるで現場にいるような臨場感。ただし、やはりピンボケの部分があると立体感は損なわれる。やはりパンフォーカスでないと。それと、アクション・シーンのカット割りが多くて早すぎると、3Dが頭で認識できないうちに変わるためついて行けずにとても疲れる。この辺は課題だろう。

 音はアトモスでなくても頭上まで回っていたような気になった。アトモスだとどうなるんだろう。とにかく良く回っていた。

 冒頭、カメラがある町の中に入って行くと、いきなりカメラの前を横切るのが監督のピーター・ジャクソン。ラストの印象的な歌「I See Fire」はエド・シーラン。いい雰囲気。心に残る。

 ただ、長い。161分って。ちょっとだけ中だるみするところもあって、2回ほど気を失いそうになった。これで終わるのか、と思ったら、やっぱり終わらなかった。予告はなし。竜が「復讐だと? 復讐を見せてやる」と湖の町に向かって、突然終わる。

 オークやエルフが使う奇妙なコトバは、なぜか「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)の宇宙人のコトバっぽかった。欧米人が作るとだいたい似たようなものになるのか。

 キャストはほとんど前作からの続投。新鮮な感じがしたのはエルフ族の由緒正しきレゴラス役のオーランド・ブルームと、ドワーフ族のキーリに気があるらしいタウリエル役のエバンジェリン・リリーの2人。

 オーランド・ブルームは「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring・2001・ニュージーランド/米)シリーズに出ていた人で、「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl・2003・米)もずっと出ている。意外と「ブラックーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米/英)も良かった。最近見たのは残念な「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」(The Three Musketeers・2011・独/仏ほか)でどうしたかと思っていたら、本作は良い。カッコいいし、スピード感もあって、クールな感じがハマっている。日本ではCMにも出ているが、ミランダ・カーとは別れたらしい。

 エバンジェリン・リリーはTVドラマの「LOST」(Lost・2004-2010・米)シリーズでケイトを演じていた人。映画では「ハート・ロッカー」(The Hurt Locker・2008・米)と「リアル・スチール」(Real Steel・2011・米/印)に出ていた。本作では新たなアクションという分野で光っていたので、今後どんどん活躍してほしい。美人だし。

 もちろん監督は脚本も書いているピーター・ジャクソン。ずっとJ・R・R・トールキンばっかりやっているんで、3部作が終わったら、そろそろ他の路線に。ボク敵には「キング・コング」(King Kong・2005・ニュージーランド/米/独)か「さまよう魂たち」(The Frighteners・1996・ニュージーランド/米)系がいいなあ。

 公開3日目のHFR3D字幕版の初回、新宿の劇場は全席指定。差額は400円だが、フィット感の悪い3Dメガネとなり、また指紋や脂がベタベタ。それでも、電源をオンにすると外側のパイロット・ランプで確認できるようになったが、いちいち客にオンにさせるのはおかしい。オンにして渡せばいいではないか。10分ほどで本編が始まるんだから。

 観客層は、下は小学生くらいから上は中高年まで幅広かった。男女比も半々くらい。最終的には607席の7割くらいが埋まった。さすが話題作。

 気になった予告編は……上下マスクの「300 帝国の進撃」はヒット作「300」の続編。今度は海戦がメインになるらしい。やはり絵作りがすばらしい。カッコいい絵。6/20

 上下マスクの「るろうに剣心」は続編で、二部作になるんだとか。予告ではアクション・シーンがすごかった。すばらしいスピード感とカッコ良さ。そして敵らしいミイラみたいな不気味なヤツが……。「京都大火編」8/1公開、「伝説の最期編」9/13公開。見たい。

 3Dメガネをかけるように指示があってから上下マスクの「LEGOムービー」の日本語吹替、3D新予告。まあ子供向けということになるのだろう。3/21公開。

 スクリーンが左右に広がってシネスコになって本編へ。


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