One Chance


2014年3月23日(日)「ワンチャンス」

ONE CHANCE・2013・英/米・1時間44分(IMDbでは103分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではドルビー・デジタルのみ)

(英12A指定、米PG-13指定)

公式サイト
http://onechance.gaga.ne.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

イギリス、ウェールズの小さな町に生まれたポール・ポッツ(ジェームズ・コーデン)は、幼い頃から声が大きく、歌が好きで、将来の夢はオペラ歌手になることだったが、ずっといじめられ、それは大人になっても続いていた。多くの男たちが近くの製鋼所で働く中、ポール・ポッツはケータイ・ショップでアルバイトとして働き始める。そしてある時、店長のブランドン(マッケンジー・クルック)の計らいで、ネットで知り合っていながら1年間も会うことができなかった女性ジュルズ(アレクサンドラ・ローチ)と会うことになる。そしてお互い意気投合すると、彼女の後押しで、夢であるイタリアでオペラを習う資金を稼ぐため、町の「タレント・コンテスト」に出場し、みごと優勝。賞金と貯金を合わせてイタリアへ留学する。しかし、イタリアであこがれの人、パヴァロッティ(スタンリー・タウンゼント)にこきおろされ、傷心のうちに帰国、家に閉じこもってしまう。

74点

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 感動的な物語。イジメられっ子が、最後にはオペラ歌手として認められ、世界ツアーに出て、エリザベス女王の前でも歌うと。こんなアメリカン・ドリームのような成功談、サクセス・ストーリーはないだろう。映画のためのストーリーなら、できすぎということになるが、これは有名なポール・ポッツの実話だ。何と、歌の吹替はポール・ポッツ自身らしい。本当に澄んだすばらしい美声。

 彼の悲惨だった少年時代や、ついていないエピソードの数々も明かされ、奥さんとなった女性の内助の功で支えられ、最後まで夢を捨てなかったと。ポール・ポッツもかなり良い人だが、奥さんもとても素晴らしい女性だった。いつも煙をあげている製鋼所くらいしか主な産業がない小さい町からの旅立ち。「遠い空の向こうに」(October Sky・1999・米)や「リトル・ダンサー」(Billy Elliot・2000・英/仏)にも通じる、前向きな映画。

 ただ、いじめられて悲惨な少年時代を送ったり、運に恵まれなかったとは言え、本人の頑張りというのか努力があまり伝わってこなかった。大声、美声、オペラの才能を持って生まれたのは確かだが、後半は運に恵まれただけではないのかと感じてしまう。パアヴァロッティにこきおろされて落ち込み、友人や妻に助けられる。ただ頑張ったのは、彼女を妻にするまで、決してあきらめなかったのと、美女のアプローチがあっても彼女を裏切らなかったというくらいなのではと。それもすごいことだとは思うが。実際の話とどこまで同じなのかわからないが、そこが惜しい気がする。

 ポール・ポッツはジェームズ・コーデン。とても残念な3D映画「ガリバー旅行記」(Gulliver's Travels・2010・米)や、残念な「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」(The Three Musketeers・2011・独/仏ほか)に出ていた人。雰囲気は本作にピッタリだった。

 良き理解者ジュルズはアレクサンドラ・ローチ。気取っていない美女というところが良い。見ていないが「アンナ・カレーニナ」(Anna Karenina・2012・英)に出ていたらしい。もっと活躍して欲しい。

 ポールの父親はコルム・ミーニイ。古くは「ダイ・ハード2」(Die Hard 2・1990・米)や「ラスト・オブ・モヒカン」(The Last of the Mohicans・1992・米)、「沈黙の戦艦」(Under Siege・1992・米/仏)などに出ていたが、最近はTVが増えた感じ。

 ケータイショップのいかれた感じの店長ブランドンはマッケンジー・クルック。どこかで見たことあるなあと思ったら、「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl・2003・米)シリーズでコミカルな海賊をやっていた人だった。雰囲気違うなあ。

 脚本はジャスティン・ザッカム。感動作「最高の人生の見つけ方」(The Bucket List・2007・米)を書いた人だ。「グリフィン家のウエディングノート」(The Big Wedding・2013・米)は監督もしているらしいが、見ていないのでわからない。

 監督はデヴィッド・フランケル。「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Prada・2006・米)を監督した人で、さすがの演出手腕というところだろうか。最新作は、見ていないが、やはりコメディの「31年目の夫婦げんか」(Hope Springs・2012・米)。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。10分ほど前に開場し場内へ。なんだか混んでいる日で、先に開場した作品も混乱していた。早めに開場すればいいのに。観客層は中高がほとんどで、ジジ、ババが目立つ。女性は1/3くらい。なぜか帽子を被っているヤツが多かった。最終的に127席に4.5割りくらいの入りは、ちょっと少ないのでは。まあオペラということで、ちょっとマニアックだったかも。でも誰でも知っている曲が多く、面白いと思うんだけどなあ。

 気になった予告編は……上下マスクの「ジュピター」はウォシャウスキー姉弟によるSFアクションらしい。ただタイトルがなかなか出ず、かなりイライラした。3Dで今秋公開。今秋って。

 上下マスクの「私の男」は、タイトルもすごいが絵もすごい。原作は直木賞受賞作品だそうだが、なんとも重苦しい感じ。6/14公開。

 上下マスク「シャドウハンター」はどうも「トワイライト〜初恋〜」(Twilight・2008・米)っぽい雰囲気の漂うヴァンパイア物。人気小説が原作というのも同じだ。ただ、主演がリリー・コリンズというのが気になる点。4/19公開。

 上下マスクの「ポンペイ」は新予告に。すごいスペクタクルで面白そうだが、どうなんだろう。ポール・W・S・アンダーソン監督というとSFというイメージだが。6/7公開。

 スクリーンが左右に広がって、暗くなって本編へ。


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