The Mortal Instruments: City of Bones


2014年4月20日(日)「シャドウハンター」

THE MORTAL INSTRUMENTS: CITY OF BONES・2013・米/独/加・2時間10分

日本語字幕:丸ゴシック体灰色フチ下、佐藤栄奈・監修:岡田理枝/シネスコ・サイズ(レンズ、Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.shadowhunter.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

NYで画家の母ジョスリン(レナ・ヘディ)と暮らす女子高生のクラリー(リリー・コリンズ)は、最近ある図形のことが頭を離れず、ある日、友人のサイモン(ロバート・シーハン)と詩の朗読会に行ったあと、その図形を見つけてクラブへ入り、そこで人が殺されるところを目撃するが、サイモンにはまったく何も見えていなかったという。翌日、娘の変化に気付いた母は、あることを打ち明けようとするが、娘はサイモンと会うと強引に出かけてしまう。そして、娘が出かけたあと男ふたりと犬が侵入、襲われる。母は必死でクラリーに電話し帰ってくるなと告げるが、どこかへ連れ去られてしまう。自宅へもどったクラリーは、残っていた犬に襲われるものの、クラブで男を殺した若い男ジェイス(ジェイミー・キャンベル・バウアー)が現れ、助けてくれる。そして殺しは正義のためで、やつらは妖魔だと説明する。

73点

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 世界観はほとんど「トワイライト〜初恋〜」(Twilight・2008・米)シリーズと同じ。ヴァンパイアと人狼とハンターの三つ巴の戦い。「アンダーワールド」(Underworld・2003・英/独ほか)シリーズほどハードな内容ではないが、どんどん酷くなって行った「トワイライト」ほどウジウジとした恋愛もの寄りではない。ボクの感覚的にはちょうど良いくらいかも。ただアメリカ人はどんだけゾンビとヴァンパイアが好きなんだと。

 「アンダーワールド」並みに戦いがメインなので、なかなか楽しめる。恋愛パートは「トワイライト」にちょっと似ていて、相手を好きになる感情や好きな気持ちがあまり伝わってこないため、セリフだけで「愛している」とか「守りたい」とか言われてもウザイだけで、陳腐。ただ、ヒロインが美しく愛嬌もあり、「トワイライト」のように暗くないので、まだ付いていける。

 そして130分もあるため、物語は単純ではない。二転三転というほどではないものの、どこへ着地させるのか予想がつかない。どこまで行って、いつ終わるんだと。まさか「続く」じゃないだろうなと思っていると、ちゃんとケリは付けて見せる。見事。そしてちゃんと続編を作りやすいように、可能性を残して終わる。ただし元が壮大な物語なのか、ちょっとわかりにくい。インディ・ジョーンズのように、なぜ「聖杯」を追っているのか、どんな力を持っているのか、妖魔とは何なのか、ハンターとシャドウハンターの違いは何なのか、なぜヴァンパイアとハンターは争っているのか、なぜ人狼もからんでくるのか……わからないことだらけ。しかし、それでも楽しめるのだからスゴイ。まあ、「トワイライト」にあれだけお金を掛けて続編を作ったのだから、ちこらのほうにもお金を掛けて続編を作ったらいいのではないだろうか。こちらの方が謎も多いし、面白い。TVのパイロット版的な感じもしないではないが、そうならTVシリーズを見ても良いかも。

 主人公クラリーはリリー・コリンズ。彼女だから見た感じ。出ていなかったら見なかったかも。美人でカワイイ。濃い眉がイイ。SFホラー「プリースト」(Priest・2011・米)やサスペンス・アクションの「ミッシングID」(Abduction・2011・米)、競作となったが快勝の「白雪姫と鏡の女王」(Mirror Mirror・2012・米/加)など、悪くない作品が続いている。ただ日本では限定公開のような扱いばかり。ほかにも出ているようだが、できがわるかったのか、日本公開されていない。このあと新作が4〜5本控えていて、売れているらしい。面白いとイイが。

 クラリーの幼なじみ、気の弱そうなサイモンはロバート・シーハン。ニコラス・ケイジの「デビルクエスト」(Season of the Witch・2011・米)に出ていたらしいが、限定公開で見ていない。イケてない感じが良く出ていて、それはうまいということなんだろうが、そのおかげでパッとしない。

 二枚目の正義の味方という設定らしいジェイスはジェイミー・キャンベル・バウアー。日本人的にはカッコつけ過ぎで、いけ好かない。こんなヤツに惚れるクラリーの気が知れない。不必要とも思えるカッコつけたポーズなんかは監督の演出なのだろうが、その辺にこの映画の限界を感じる。なんと同系作品の「ニュームーン/トワイライト・サーガ」(The Twilight Saga: New Moon・2009・米)に出ていたらしい。見た事があったわけだ。「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1」(Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 1・2010・英/米)にも出ていたらしい。売り出したいのだろうが、どちらかというと悪人系の感じがするが。

 クラリーのママはレナ・ヘディ。「300〈スリーバンドレッド〉」(300・2006・ベ手)の人だ。TVドラマ化された「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」(Terminator: The Sarah Connor Chronicles・2008〜2009・米)は後半が酷くて、印象を悪くしたのではないだろうか。「ジャッジ・ドレッド」(Dredd・2012・英/米ほか)では悪役を堂々と演じ、どうにか挽回したか。本作でもバンバン、アクションをこなしている。シガーニー・ウィーバー路線を狙っているのだろうか。

 原作はカサンドラ・クレアの「シャドウハンター骨の街」(創元推理文庫)。「ニューヨーク・タイムズ誌」のベスト・セラーに入っているそうで、女性が原作というところまで「トワイライト〜初恋〜」と同じとは。全世界で2,200万部突破とか。ボクには良く理解できない。

 脚本はジェシカ・ポスティゴ・パケット。本作が初めての劇場長編映画らしい。この前にTVなどをやっていた形跡もないようで、なぜ抜擢されたのだろう。本作の続編もあるようで、手掛けるらしい。しかしバッハの曲に妖魔の嫌いな音がうんぬんは、聞いているこちらが気恥ずかしくなった。そして「スター・ウォーズ」的、私が父だ、という展開。どうなんだろう。コメディか。

 監督はハラルド・ズワルト。オランダ出身で、リヴ・タイラーが出た「ジュエルに気をつけろ!」(One Night at McCool's・2001・米)はなかなか面白かった。「エージェント・コーディ」(Agent Cody Banks・2003・米/加)は見ていないが、「ピンクパンサー2」(The Pink Panther 2・2009・米)はかなり残念な出来で、ウィル・スミスの息子が主演した「ベスト・キッド」(The Karate Kid・2010・米/中)も良いとは言えない出来。コメディ系が多い。本作はまあまあだと思うが、とにかくアクション・シーンでカメラを動かし過ぎ。シネスコなので余計に動きが強調される。キレの悪さをごまかすためなのだろうが、もっと他の工夫をした方がイイ。何が起きているのかさっぱりわからない。

 エンド・クレジットの見せ方が立体ぽくっておもしろかった。

 公開2日目初回、新宿の劇場は全席指定で金曜に確保。当日は12〜13分前に開場。中高年がメインで、女性は1/4ほど。隣にタバコを吸ってきたばかりという臭いおやじが座ったため、映画が終わるまでずっと臭かった。まるで拷問。つらかったあ。最終的には115席に7割りくらいの入り。思ったより入っていた感じ。

 気になった予告編は……ここでも上下マスクの「X-MEN:フューチャー&パスト」は明るいうちに上映。よく見えない。せっかく新予告なのに。いい絵も台無し。5/30公開。

 上下マスクの「アメイジング・スパイダーマン2」は、やっぱり気になった。絵だけだけど。4/25公開。

 スクリーンが左右に広がって、シネスコ・サイズになって本編へ。


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