The Amazing Spider-Man 2


2014年4月27日(日)「アメイジング・スパイダーマン2」

THE AMAZING SPIDER-MAN 2・2014・米/独/加・2時間23分(IMDbでは142分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーATMOS、ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS、Auro 11.1

(米PG-13指定)(日本語吹替版、IMAX版、3D上映もあり)

公式サイト
http://www.amazing-spiderman.jp/site/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

スパイダーマンとしてニューヨークの街の悪党と戦う毎日のピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)だったが、評価は「人々を守るヒーロー」という意見と、「おせっかい。損害は誰が負担するんだ」という2つに割れていた。やがて高校卒業だったが、恋人のグウェン(エマ・ストーン)とは亡くなったグウェンの父の「娘に近づくな」という最後の言葉があり疎遠になっていた。そのころピーター・パーカーの父がかつて勤めていたオズコープ社では社長のノーマン・オズボーン(クリス・クーパー)が奇病のため危篤となり、息子のハリー・オズボーン(デイン・デハーン)が呼び寄せられ、この病気は遺伝しお前の年くらいで発病すると告げられる。また、オズコープ社では電気技師のマックス・ディロン(ジェイミー・フォックス)が会社の電源トラブルを直そうとして、ケーブルを持ったまま遺伝子操作した魚がいる水槽に落下、放電が繰り返される中、電気ウナギのような魚に噛まれ死亡する。

73点

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 たぶん漫画というかアメコミをそのまま実写にするとこんな感じになるということではないだろうか。あまりシリアスな印象はなく、むしろ笑いを誘うような展開で、楽しめればいいじゃないかと。サム・ライミ監督版でも描かれていたピーターとグウェンのラブ・ストーリーも、もう知っているからお腹いっぱいという感じ。父との関係、おじさん、おばさんの愛情なども描かれているが、すでに知っていることで、今さら。しかもそれらの感情が背伝わってこない。

 ただ、3D-CGの絵はすごい。スゴイと言うか、やり過ぎ。前作に輪をかけてすごくなっている。カメラがスパイダーマンと一緒に飛び、まるでGoProで撮っているかのような絵まで。しかし動きが速いと3D上映では疲れる。「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」(CAPTAIN AMERICA: THE WINTER SOLDIER・2014・米)ほどではなかっだが、上映時間が長いこともあり、ものすごく疲れた。ただ、ちゃんと3Dカメラで撮影されているようで、立体感はわりと良く出ていた気がする。少なくとも書き割りが層になっているような、レイヤーを重ねただけのという感じはしなかった。これまた終わってトイレに行ったら、「疲れたあ」の声が。

 それにしても143分は長い。のろのろした展開ではなく、むしろジェットコースター・ムービーだが、眠くなって途中何回か気を失いそうになった。主要な敵がグリーン・ゴブリン、エレクトロ、おまけにライノと名乗るロボットまで出てきて、散漫になる。どれかをじっくり描いた方が良かったのでは。

 冒頭のプライベート・ジェットのパイロットが持っていたのはベレッタM92、プルトニウム強奪犯たちが使っていたのがAKのショーティ、AKS74Uで、これがあとでトラック・ドライバーのアレクセイ・シツェビッチの手に渡る。ニューヨーク警察のNYPDはグロックで特殊部隊ESUがMP5とM4カービンを装備。ほかに定番のP226も登場する。狙撃に使われるのはバレットM82。電気人間となったマックス・ディロンをハリー・オズボーンが解放するシーンではFNファイブ・セブンも使われていように思う。ロボットというか戦車のようなライノにはM2重機のようなものも搭載されていた。

 ピーター・パーカーのアンドリュー・ガーフィールドは、もちろん前作からの続投。「ソーシャル・ネットワーク」(The Social Network・2010・米)のオタッキーな役のイメージが強いが、本作はアメリカでは大ヒットで、スターの仲間入り。たぶん本作にはピッタリなのだろう。ボク的にはいまひとつピンと来ないが。

 ヒロインの恋人グウェンはエマ・ストーン。キルステン・ダンストが演じた前シリーズのメリー・ジェーンと同じ展開で、既視感が強くうんざりな感じだが、なんといっても美人。とにかく傑作ゾンビ映画「ゾンビランド」(Zombieland・2009・米)のウィチタが秀逸だった。あの雰囲気が良かったのに、本作では普通。

 良かったのはハリー・オズボーンを演じたデイン・デハーン。禁酒法時代を描いた「欲望のバージニア」(Lawless・2012・米)の足の悪い少年も良かったし、内容はともかく設定画面白かった「クロニクル」(Chronicle・2012・米)の暴走する孤独な高校生も良かった。今後にも期待だろう。

 こういう映画にアカデミー賞俳優のジェイミー・フォックスがオタッキーな役で出ているのも驚きだが、ポール・ジアマッティが、メイクでまるで本人とはわからないロシア人っぽいイメージで出ていたのも驚き。

 脚本は3人で、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、ジェフ・ピンクナー。アレックス・カーツマンはプロデューサーでもあり、TVの脚本から「アイランド」(The Island・2005・米)で劇場作品に。もちろん前作からの続投。最近では「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(Star Trek Into Darkness・2013・米)も書いている。

 ロベルト・オーチーもプロデューサーであり、ほぼアレックス・カーツマンと一緒に仕事をしている。ジェフ・ピンクナーもプロデューサーで、TVで「エイリアス」(Alias・2001〜2006・米)や「LOST」(Lost・2004〜2010・米)、「FRINGE/フリンジ」(Fringe・2008〜2013・米/加)などを手掛けてきた。

 監督はマーク・ウェブ。前作からの続投で、見ていないが「(500)日のサマー」((500) Days of Summer・2009・米)の監督。それが日本ではアート系の公開だったので、本作のようなエンタテインメントを監督するのが腑に落ちなかったが、もともとエンタテインメント形の才能を持った人だったのだろう。デジタルは驚異的な映像を作り出せるが、なにか工夫が足りないというか、ストレート過ぎたり、あり得なかったりするので、ちょっと気にはなる。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は3D字幕の全席指定。金曜に確保して、当日は11〜12分前くらいに開場。観客層は下は小学生くらいから、中高年まで幅広く、もっとも多かったのは20代くらいの人たち。これは最近珍しい。たぶん6対4くらいで若い人が多かった。男女比はだいたい半々くらい。最終的には232席がほぼすべて埋まった。これは多いのか、少ないのか。

 気になった予告編は……上下マスクの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」はまたまたマーベル・コミックス原作の実写化。アライグマだけそのまんまという感じだったが、これはSFアクション・コメディか。9/13公開。

 上下マスクの「トランセンデンス」はジョニー・デップのビデオ・メッセージ付きに。といってもただ一言だが。SFミステリーか? 6/28公開。

 3Dメガネの説明があって、スクリーンが左右に広がり、「ネイチャー」の3D予告。本当に3Dカメラで撮影したという、美しく、しかも立体感あふれる映像。後から作ったレイヤー式の書き割りのような3Dとは一線を画する。シズル感があって、まるでその場にいるかのような絵。3Dはクォリティの低いエセ3Dが3D自身をダメにしているのではないだろうか。見たいけどなあ……。

 暗くなって、超立体的なSONYのロゴから本編へ。


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