日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/ビスタ・サイズ(クレジットではIMAXも)/ドルビーATMOS、DATASAT(IMDbではドルビー・デジタル、ドルビー・サラウンド7.1も)
(米PG-13指定)
ノア(ラッセル・クロウ)は妻のナーマ(ジェニファー・コネリー)、長男のセム(ダグラス・ブース)、次男のハム(ローガン・ラーマン)、養女のイラ(エマ・ワトソン)と共に人里を離れて暮らしていたが、ある日、人間が堕落したため大洪水によって世界を滅ぼすという神(クリエーター)のメッセージを得る。信じられなかったノアは、高齢ながら山にこもって生活している祖父、メトシェラ(アンソニー・ホプキンス)のアドバイスをもらいに行く。そして人間以外の動物を救うため、巨大な箱船を作る決心をする。さらに、かつて人間とともに地上に使わされ、人間を助けようとしたため神から岩男にされてしまった番人(ウォッチャーズ)たち、と途中で出会い、協力することとなる。完成が近づいた頃、それを聞きつけたこの地域の王、トバル・カイン(レイ・ウィンストン)が軍勢を引き連れて現れ、箱船を渡せと迫る。
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ディザスターでスペクタクルなのにビスタ・サイズ。あれ、と思ったが、やはり描きたいのはそこではなく、たぶん人間としての生き方と、神に与えられた使命の狭間で揺れ動くノアの姿。だからその悩みを凝縮するためにも開放的なシネスコ・サイズではなくよりタイトなビスタでなければならなかったのだろう。 意外だったのは、天使が姿を換えたような「ロード・オブ・ザ・リング」的岩男が出てくること。まるでファンタジーの世界。ちょっとペプシのCMの「桃太郎」の「鬼」的でもある。 ただ、日本人的にというか、仏教的にというか、キリスト教をよく知らない者的には、いまひとつ神からの使命とかが理解できない。神の御心というのは人間の理解を超えているとしても、どうにも神が世界を作ったけれど失敗したので、ゲーム感覚でリセットしたという話に思えてしまう。それによってどれだけ命が失われたのだろう。ちゃんと導かなかったからでは? 必要な時に現れず、アドバイスもしなかったからでは? と思えてしまう。キリスト教に詳しい人ならいろいろわかって楽しめるのだろうが……。人間があまりに悪いとしても、火で焼き払い、そして水に沈めるとは、正しいやりかたなんだろうか。導く人を派遣して学ばせるとか、他にも手はいろいろあったはずではないかと。あらゆる生物を1対ずつ助けるというが、その基準は? それに、水生動物は洪水で死なないだろう。植物は無視か。うむむ。 ただタイトルがなあ……「ハチ 約束の犬」と同じじゃないか。舟は箱船というだけあって角張っていて、アララト山にたどり着いたシーンでは2つに折れている。かつてアララト山上に本当に箱船のあとがあったとかいう話もあり、それでも2つに折れていた気がする。最新情報に基づいて再現されたということか。聖書の記述に忠実に作ったと言う話もあるが、公式サイトにプロダクション・ノートはない。 ノアはラッセル・クロウ。悩む男を熱演している。しかしいくら使命とは言え、独善的過ぎる気はする。そこもまた説得力のある演技で良く伝わってくる。豊川悦司が出た「NO WAY BACK/逃走遊戯」(No Way Back・1995・米)にも出ているが、ブレイクしたのは「クイック&デッド」(The Quick and the Dead・1995・米/日)から。なので日本とはゆかりがある。そのときから銃器指導にマーク・リードが当たっており、ずっとその関係は続いている。本作は銃が出てこないので担当していないが。最近は悪役が多く、ファンタジー・ロマンスの「ニューヨーク冬物語」(Winter's Tale・2014・米)では悪魔の役をやっていた。ボク的には「3時10分、決断のとき」(3:10 to Yuma・2007・米)とか「プルーフ・オブ・ライフ」(Proof of Life・2000・米)みたいなアクションものが見たいなあ。 妻のナーマはジェニファー・コネリー。「ビューティフル・マインド」(A Beautiful Mind・2001・米)でラッセル・クロウと夫婦役をやっている。ダーレン・アロノフスキー監督の「レクイエム・フォー・ドリーム」(Requiem for a Dream・2000・米)ではとんでもないショッキングな役をやっていた。「ニューヨーク冬物語」でラッセル・クロウと共演している。ボク的にはレオナルド・ディカプリオと共演した「ブラッド・ダイヤモンド」(Blood Diamond・2006・米/独)が良かったなあ。 祖父、メトシェラはアンソニー・ホプキンス。1937年生れだから77歳。ホント良く映画に出ているなあ。つい最近も「REDリターンズ」(RED 2・2013・米/仏/加)に出ていたばかり。たしかにこの人が出ると重みが出る。 子供が産めない体のイラはエマ・ワトソン。ボクは「ハリー・ポッターと賢者の石」(Harry Potter and the Sorcerer's Stone・2001・英/米)シリーズ以外で初めて見た気がする。 次男のハムはローガン・ラーマン。「パトリオット」(The Patriot・2000・独/米)でいい感じの子役だった。「3時10分、決断のとき」では主人公のクリスチャン・ベイルの息子を演じていた。「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief・2010・加/米)シリーズや「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」(The Three Musketeers・2011・独/仏/英/米)は残念だったが、本作はあまり役のイメージが良くないからなあ……。 脚本は監督のダーレン・アロノフスキーとアリ・ハンデルの2人。アリ・ハンデルはダーレン・アロノフスキー監督の「ブラック・スワン」(Black Swan・2010・米)の製作総指揮を務めた人。同じくアロノフスキー作品の「ファウンテン 永遠につづく愛」(The Fountain・2006・米/加)のストーリーも書いている。同監督「レクイエム・フォー・ドリーム」(Requiem for a Dream・2000・米)ではスペシャル・サンクスでクレジットされているから、デビュー当時からの理解者ということなのだろう。 ダーレン・アロノフスキー監督はハーバード大出身のエリート。「π」(Pi・1998・米)で長編映画デビュー。ボクはこれはおもしろかったが、それ以降、映画の出来としては素晴らしいと思うが、暗くて重い内容のものが続き、正直あまり進んで見たいと思えないものばかりという印象。 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜にムビチケで確保。当日はサッカー・ワールド・カップの日本の試合がある日で、ロビーはいつもの1/4くらいの人出。この時間帯はみんなTVを見ているか。だからこそ、映画好きには狙い目でもある。12〜13分前に開場となって場内へ。やはり内容から中高年がほとんど。中学生くらいの男の子が2人ほどいたが。男女比はほぼ半々。高齢者も多めだった。最終的には301席に6.5割りくらいの入り。この日のこの時間帯としては多いのではないだろうか。 CMでインターネットでチケットが買えるから便利とやっていたら、近くにいたばあさんが「ちっとも便利じゃないわよねえ」と言っていた。 気になった予告編は……上下マスクの「ゴジラ」は新しい長いバージョン。どうなんだろう。7/25公開。 上下マスクの「ヘラクレス」はザ・ロックのドウェイン・ジョンソン主演。予告ではほとんど言っていなかったが、監督はブレット・ラトナーらしい。10月公開。まだ公式サイトはない模様。 上下マスクの「トランスフォーマー ロストエイジ」は新予告に。マーク・ウォールバーグは良いけれど、結局監督がマイケル・ベイだからなあ。絵はすごい。8/8公開。 |