300: Rise of an Empire


2014年6月22日(日)「300 帝国の進撃」

300: RISE OF AN EMPIRE・2014・米・1時間42分

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、RED)/ドルビー・デジタル、DATASAT(IMDbではドルビーATMOS、トルビー・サラウンド7.1も)

(米R指定、日R15+指定)(日本語吹替版、3D上映もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/300movie2/
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

「300〈スリー・ハンドレッド〉」の戦いよりさらに10年前の紀元前490年、ギリシアの都市国家アテナイは、侵略してきたペルシア軍をマラトンで迎え撃ち撃破した。この時、テミストクレス将軍(サリヴァン・ステイプルトン)が最後に放った矢が、ペルシアの司令官、ダイレオス王(アンドリュー・ティアナン)に命中、命を奪う。しかしすぐ近くにいた息子のクセルクセス(ロドリゴ・サントロ)の命は奪わなかった。復讐を誓ったクセルクセスは、父は「ギリシアは放っておけ。勝てるのは神だけだ」と遺言されたが、娘同然にかわいがっていた女性将軍のアルテミシア(エヴァ・グリーン)に、神になればギリシアも打ち破れるとそそのかされ、砂漠の洞窟で神秘的な儀式を受け、全身が金色に輝き毛が1本もない体となり、自ら神王と名乗り、反対するものを次々と虐殺すると、復讐のためギリシア侵略を開始する。迎え撃つアテナイは話しあうべきとする和平派と、戦うべきとする抗戦派に割れたが、テミストクレス将軍が説得し、まわりの都市国家群に呼びかけ、連合軍として戦うことになる。


71点

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 もう300じゃないじゃん。ほぼ「300」と同時期に他の場所、主に海で起こっていたペルシア対ギリシアの戦い。102分しかないのに長い。途中、ちょっと眠くなった。ほとんど戦闘シーンで、冗長なドラマ・シーンなどないのに。

 リアルで、槍や剣は体に食い込んでいるようで、パンチもケリも当たっているように見える。手が飛び、足が飛び、頭も飛ぶ。腹も喉も切り裂かれる。それなのに、明らかにCGに見える粘度の高そうな血は、あたかも絵に描いたようで、ウソ臭い。無重力の宇宙ステーションに浮いた水みたい。これが残念。

 しかも3D上映は、ありま立体感がない。民衆に神王が演説するシーンなど、ゾワっとするほど奥行き感があるシーンもあったが、ほとんどは逆光気味で絵が暗いのと、そのためピントが浅いので、立体感が出にくいようだ。矢や剣も客席の方まで飛び出してこない。よく出来たものだと思わず避けてしまうこともあるのに。

 さらにさらに、前作は細かなカットがそれぞれ絵画的な美しさを持っていたが、本作は普通。ときどきカメラも動かしていたから、絵画感が出るわけない。自在なカメラ・ワークは凄くても、それだけ。甲板にいた馬が人を載せ、甲板を走り抜けて海に飛び込み、さらに敵の船に飛び乗って行くなんて、これは神話物語のファンタジーか。

 ただ、悪女が、徹底して悪くて、それだけは拾い物か。セリフはほとんどアフレコのようで、いまひとつ違和感があって、感情移入しにくかった。

 テミストクレス将軍はサリヴァン・ステイプルトン。「L.A. ギャング ストーリー」(Gangster Squad・2013・米)に出ていた人で、オーストラリア出身。タスマニア・タイガーを追う男を描いた「ハンター」(The Hunter・2011・豪)にも出ていた。これまではTVでの活躍が多かったようで、WOWOWで放送された「ストライクバック:極秘ミッション」(Strike Back・2010〜・英)では特殊部隊員を演じている。

 女性将軍のアルテミシアはエヴァ・グリーン。半裸でのラブ・シーンや、男性との激しい決闘など、かなり体を張ってがんばっている。「007/カジノ・ロワイヤル」(Casino Royale・2006・英/チェコほか)でボンドの恋人となる重要な役を演じた人。他に「ライラの冒険 黄金の羅針盤」(The Golden Compass・2007・米/英)や「ダーク・シャドウ」(Dark Shadows・2012・米/豪)にも出ている。

 原作はフランク・ミラーのグラフィック・ノベル「Xerxes」。脚本はプロデューサーでもあるザック・シュナイダーとカート・ジョンスタッド。ザック・シュナイダーは素晴らしかった前作「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2006・米)を監督している。アメリカでの評価はイマイチの「エンジェル・ウォーズ」(Sucker Punch・2011・米/加)は良かったものの、アメリカでは評価が高いスーパーマンをダークに描いた「マン・オブ・スティール」(Man of Steel・2013・米/加/英)はどうだったんだろう。

 カート・ジョンスタッドは前作「300〈スリーハンドレッド〉」のほか、本物のシールズが自らを演じた「ネイビーシールズ」(Act of Valor・2012・米)を書いている。アクションものが得意の人のようだ。

 監督はノーム・ムーロ。イスラエルの生れで、ほとんど実績はない。なぜ監督に抜擢されたのか良くわからない。デビュー作のコメディ「賢く生きる恋のレシピ」(Smart People・2008・米)は日本劇場未公開だ。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。当日は10分前ほどに開場。ほぼ男性で、メインは中高年。若い人も少し。最初は30人ほどだったが、最終的にはたぶん226席に4.5割りくらいの入り。まあ、こんなものだろう。

 気になった予告編は……上下マスクの「マレフィセント」は大竹しのぶの歌付きバージョン。これも一緒に歌っちゃうのか。7/5公開。

 上下マスクの「オールド・ボーイ」は、まさにハリウッド版の「オールド・ボーイ」という感じ。ジョシュ・ブローリンにサミュエル・L・ジャクソンか。すごいなあ。ちゃんとハンマーでの1対多数の戦いもある。6/28公開。

 ジブリ・アニメの「思い出のマーニー」は新予告に。ナレーション、歌、セリフもあるバージョン。男の子か女の子かよくわからない感じもあって、同性愛的なものも感じる。まあ全体には悲劇のようで、かなりつらい話かも。主題歌はプリシラ・アーンか。7/19公開。

 また天使と悪魔の戦いというありふれた設定だが、主人公はフランケイシュタインで、舞台は現代という上下マスクで1.85くらいの「アイ・フランケンシュタイン」。雰囲気としては「アンダーワールド」(Underworld・2003・英/独ほか)に近いかも。9/6公開。

 「ケープタウン」は何でも起きそうな南アフリカの犯罪都市で展開するアクション・ミスタリーらしい。「神に見捨てられた街」とは……。オーランド・ブルームとフォレスト・ウィティカーか。8/30公開。

 ちなみに、本編はたいして立体感がなかったが、予告の上下マスク「トランスフォーマー/ロストエイジ」は素晴らしい立体感。絵が明るいし、コントラストもクッキリしていて、ピンが深く解像度も高い。だから3Dに適しているのだろう。マイケル・ベイだから絵だけは良いはず。同じパターンの予告だが3Dだったので、新鮮な感じがした。8/8公開。

 上下マスクの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」も3Dでの予告。新鮮だ。7/4公開。

 スクリーンが左右に広がってシネスコ・サイズになり、暗くなってからボールがたくさん飛び回るドルビー・サラウンド7.1のデモ。それから本編へ


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