3 Days to Kill


2014年6月22日(日)「ラストミッション」

3 DAYS TO KILL・2014・米/仏/ギリシア/露・1時間57分

日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビー・デジタル、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://lastmission.jp
(全国の劇場リストもあり)

CIAの腕利きエージェント、イーサン・レナー(ケヴィン・コスナー)は、任務遂行中に気を失い、対象者を逃がしてしまう。病院で診断の結果、脳腫瘍で余命は3〜5カ月と判明する。イーサンは仕事を辞め、ずっとほったらかしで離婚してしまった妻クリスティン(コニー・ニールセン)と1人娘のゾーイ(ヘイリー・スタインフェルド)が住むパリへと向かう。病気のことを元妻に打ち明け、3日だけ娘と一緒にいられるようになったイーサンだったが、CIA長官直属の女性エージェント、ヴィヴィ(アンバー・ハード)が現れ、延命用の高価な薬と現金を条件に、国際的テロリストのウルフガング(リヒャルト・サメル)と右腕のアルビノ(トーマス・レマルキス)を見つけ出し殺す手助けをしてくれという。


72点

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 うーむ、これは……アメリカ人が監督しても、やっぱりこれはリュック・ベッソン映画。決して悪くはないが、ほかにたくさんあるB級アクションと何ら変わらない。ただベッソン好みの美女と、ケヴィン・コスナーが出ていると、そんな印象。

 話としてはほとんど、娘に振り回される腕利きスパイの「96時間」(Taken・2008・仏/米/英)的で、アメリカ人とフランス人のギャップを描いた「パリより愛をこめて」(From Paris with Love・2010・仏/米)的でもある。ネタは一緒。ただ主人公が脳腫瘍で、余命いくばくもないというのが違うくらい。しかし未承認の特別な薬が出てきたりして、展開はほとんどアメコミ、漫画的。さすがリュック・ベッソン。

 そして、アバンが長い。タイトルが出るまでどんだけやってんだよと。そのバランスの悪さは本編でも同様で、壊れかけた家族を描くのか事件を描くのか、シリアスなのかコメディなのかファンタジーなのか、ハッキリしない。たぶんそこが最大の欠点。

 イーサン・レナーはケヴィン・コスナー。なんだか残念な「守護神」(The Guardian・2006・米)以降、主役はB級、大作ではちょっとした脇役、それも悪役が多いという印象。最近だと「マン・オブ・スティール」(Man of Steel・2013・米/加/英)のスーパーマンの育ての親役、「エージェント:ライアン」(Jack Ryan: Shadow Recruit・2014・米/露)の上司役など。

 娘のゾーイはヘイリー・スタインフェルド。リメイク西部劇「トゥルー・グリッド」(True Grit・2010・米)でメインの少女を演じていた人。残念なSF「エンダーのゲーム」(Ender's Game・2013・米)にも出ていた。ちょっと作品に恵まれない感じか。

 その母親クリスティンはコニー・ニールセン。デンマーク出身の女優さんで、最近は作品に恵まれない感じだが、ミステリー・アクション「閉ざされた森」(Basic・2003・米/独)で事件を調査する女性士官を演じていた人。映画には出ているが日本で劇場公開されたものがほとんどない。残念。

 まるで漫画のような設定で、美人なだけ(めちゃくちゃきれいだが)というヴィヴィはアンバー・ハード。演技関係なしのお人形さん的扱いで、かわいそう。傑作ゾンビ映画「ゾンビランド」(・2009・)にゾンビになる主人公の恋人役で出ていた。本作の前には超B級アクション「マチェーテ・キルズ」(Machete Kills・2013・露/米)で美女スパイ役をやっていた。

 原案はもちろんリュック・ベッソン。脚本はリュック・ベッソンとアディ・ハサックの2人。リュック・ベッソンは、ときどき素晴らしいものもあるが、とにかく作り過ぎで、薄くなっている感じ。もっと厳選して作り込めばいいのに。いろいろ事情はあるんだろうけど。最近で良かったのでいうと、「96時間」とロバート・デ・ニーロが出た「マラヴィータ」(The Family・2013・米/仏)あたりか。次は「LUCY/ルーシー」が控えている。またまた女性アクションだが、カーレット・ヨハンソンだから見たくはなるなあ。

 アディ・ハサックは、たぶん見ていないと思うがチャーリー・シーンのサスペンス・アクション「ザ・ターゲット」(Shadow Conspiracy・1997・米)が脚本デビュー作らしい。そのあと間をおいてリュック・ベッソン原作の「パリより愛をこめて」を書いている。そして本作だ。うむむ。

 監督はプロデューサーとしての活躍の方が多いマックG。監督作品としては大人気シリーズの第4作「ターミネーター4」(Terminator Salvation・2009・米/独ほか)は面白かったが、残念なコミカル・スパイ・アクション「Black & White/ブラック&ホワイト」(This Means War・2012・米)はどうだろう。コミカルではないものの方が良いような気がするが……。

 主人公のイーサン・レナーはグロックで、たびたびこれにサウンド・サプレッサーを装着している。そしてマガジン・チェンジも見せてくれる。さらに、落ちている銃からマガジンを取ったり、倒れている男のマガジン・ポーチからマガジンを取ったりもする。隠れ家のアパートには武器用のロッカーがあり、さまざまな重機が揃っている。バックアップ用のアンクル・ホルスターにもグロックで、サブ・コンパクトのG26あたりか。

 冒頭、ホテルの清掃係の女性が使うのはベレッタPx4ストーム。これもサプレッサー付き。悪党の護衛たちが使うのはMP5K。CIAのヴィヴィはタウルスのPT911にサプレッサーを装着して使用。

 公開2日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、金曜に確保。当日は10分前くらいに開場。若い人から中高年まで、割りと幅広い。女性は1/3くらい。遅れてくる人が多いようで、始まる直前まで人が入って来ていた。最終的には、たぶん137席に6.5割りくらいの入り。まあこんなものだろう。となりの女が暗くなるギリギリまでケータイ見てて、まぶしくて……。忙しいなら来るなよ。

 気になった予告編は……上下マスクの「ゲッタウェイ スーパースネーク」は、カー・レース・アクションなのにイーサン・ホークが出ているという。9/20公開。公式サイトはまだない模様。

 上下マスクの「バトルフロント」はシルベスター・スタローンがジェイソン・ステイサムのために脚本を書いたというアクション。ジェームズ・フランコに、なんとウィノナ・ライダーも出ている。8/9公開。

 「呪怨-終りの始まり-」はほとんど「呪怨」と同じ印象。ただ佐々木希が出ていると。ついでにトリンドル玲奈も出ていると。6/28公開。

 スクリーンの上下がせばまって小さいシネスコになって本編へ。


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