Maleficent


2014年7月6日(日)「マレフィセント」

MALEFICENT・2014・米/英・1時間37分

日本語字幕:手書き風書体下、古田由紀子/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米PG指定)(3D上映、日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/maleficent
(全国の劇場リストもあり)

むかし、むかし、隣り合う2つの国があって、仲が悪かった。1つはヘンリー王(ケネス・クラナム)率いる人間の国。そして王も妃もいない妖精たち住む美しいムーア国。ある日、人間の少年ステファンが宝石を盗もうとしてムーア国に侵入する。少女の妖精のマレフィセントは彼を捕まえ、宝石を取り返して許してやるが、両親のいない2人は気が合い、いつしか恋に落ちる。そしてマレフィセントが16歳の時、真実の愛のキスを捧げる。ところが数年後ステファンは心変わりし、野望の虜となり、ヘンリー王の配下となる。やがてヘンリー王はムーア国を手に入れるため、軍を率いて攻撃を開始するも、大人になったマレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)の活躍で撃退されてしまう。傷を負ったヘンリー王は、マレフィセントを倒したものを娘の婿にし、後継者とすると宣言。ムーア国への入りかたを知っていたステファン(シャールト・コプリー)は、マレフィセントに薬を飲ませて眠らせ、翼だけを奪って逃げると、それをヘンリー王に見せて後継者となる。そしてステファンに第1子オーロラが誕生する。復讐に燃えるマレフィセントは洗礼式に現れると、オーロラ姫に呪いをかけ、16歳の日没までに糸車の針を指に刺し、永遠の眠りに付くと告げる。目覚めさせることができるのは、真実の愛のキスだけだと。


72点

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 前半は起きることが多く、ちょっと説明的で、感情の部分がうまく伝わってこないまま進行し、これは失敗したかなと思ったものの、カラスがマレフィセントのしもべとなるあたりから物語が軌道に乗り、ちゃんと伝わってくるようになる。

 「真実の愛のキス」のくだりはとても感動的。成長したオーロラ姫はとても可憐で愛らしく、それを見守るマレフィセントは優しく本当の母親のようで、次第に異常になって行くステファンは憎たらしく、まさにおとぎ話っぽく、ディズニー映画っぽい。それでいて、視点を変えた「眠れる森の美女」になっていて、楽しめた。

 ただ前半は残念。そして子供が成長して行く過程を描くため、まったく違う子役たちがオーロラ姫を演じているが、それぞれ印象が違い過ぎて同一人物に見えない。アンジェリーナの実子であるヴィヴィエン・ジョリー=ピットも出演していて、たぶん「抱っこ」と言う子だと思うが、ピラッド・ピットに似ていたような。しかし、特に長めに少女時代を演じているイソベル・モロイという女の子が、どうにもオーロラ姫っぽく見えなくて、感情移入できなかった。3人の妖精たちも、わざとらしい感じで、いまひとつなじめなかったなあ。

 マレフィセントはアンジェリーナ・ジョリー。社会貢献活動を積極的に行っていることでも有名。本作では特殊メイクでアニメ「眠れる森の美女」(Sleeping Beauty・1959・米)のイメージに合わせて頬骨を極端に突き出させている。最近は戦争映画「最愛の大地」(In the Land of Blood and Honey・2011・米)で製作・監督・脚本にもチャレンジしている。意外とアクション作品への出演が多い。本作では製作総指揮も務めている。

 大きくなったオーロラ姫はエル・ファニング。天才子役と言われたダコタ・ファニングの妹だが、ダコタが大きくなってしまったので、最近は妹のエルの方が出番が多い感じ。1998年生れだから本当に16歳。有名なところでは「SUPER 8/スーパーエイト」(Super 8・2011・米)あたりから知られるようになって、動物園再建実話「幸せへのキセキ」(We Bought a Zoo・2011・米)、見ていないがアート系小劇場で公開されたホラー「Virginia/ヴァージニア」(Twixt・2011・米)、公開されたのかどうかもわからない「ジンジャーの朝 ?さよなら、わたしが愛した世界」(Ginger & Rosa・2012・英/デンマークほか)などに出ている。ちょっと作品に恵まれていなかったかも。

 ステファンはシャールト・コプリー。もはや、悪役ならこの人という感じ。Sはアクションの「第9地区」(District 9・2009・米/ニュージーランドほか)でブレイクして、「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」(The A-Team・2010・米)や「エリジウム」(Elysium・2013・米)、つい最近リメイクの「オールド・ボーイ」(Oldboy・2013・米)にも出ていた。

 カラスのディアヴァルはサム・ライリー。コメディ・パート担当だが、リメイク・サスペンス「ロシアン・ルーレット」(13・2010・米)で注目され、ヴァンパイア・ホラー「ビザンチウム」(Byzantium・2012・英/米/アイルランド)にも出ていたが、いずれもむしろ暗い役。それがこんなコミカルな感じも行けるとは意外。良かったのではないだろうか。

 脚本はリンダ・ウールヴァートン。ディズニー・アニメの大ヒット作「美女と野獣」(Beauty and the Beast・1991・米)や「ライオン・キング」(The Lion King・1994・米)を書いた人だ。実写版だと「アリス・イン・ワンダーランド」(Alice in Wonderland・2010・米)を書いている。

 監督はロバート・ストロンバーグ。大ヒット作「アバター」(Avatar・2009・米/英)と「アリス・イン・ワンダーランド」、「オズ はじまりの戦い」(Oz the Great and Powerful・2013・米)でプロダクション・デザイナーを務めているが、TVなどを中心にビジュアル・エフェクトの仕事が多い人。なんと監督は初めてになる。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定。やはりムビチケで確保しておいて、当日は20分前くらいに開場。若い人が多く、それもほとんど女性。下は小学生から、上は中高年まで。男女比は2対8くらいで女性が多かった。最終的には301席の9.5割りくらいが埋まった。まあ、ほぼ満席に近い。人気あるなあ。

 気になった予告編は……上下マスクの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は新予告へ。ジョーク的な作品なのか、本気で作っているのか、その辺が微妙。予告からはわからない。9/13公開。

 上下マスクの「ベイマックス」は3D-CGアニメで、雪だるまのようなキャラクターが主人公らしい。印象はかなり子供向けっぽかった。12/20公開。


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