Divergent


2014年7月13日(日)「ダイバージェント」

DIVERGENT・2014・米・2時間19分

日本語字幕:丸ゴシック体黒フチ付き下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル、by Panavision)/ドルビー・デジタル、DATASAT

(米PG-13指定)

公式サイト
http://divergent.jp
(クッキーをオンにしないと見られない。音に注意。全国の劇場リストもあり)

最終戦争から100年後の未来。シカゴはフェンスに囲まれた都市部だけで裕福な生活が送られていたが、人々は一定の年齢に達すると適性検査を受けた上で、自分で5つのグループ「高潔」「博学」「平和」「無欲」「勇敢」から選んでその集団とともに暮らさなければならなかった。「無派閥」となれば都市部で浮浪者のようにして暮らすか、フェンスの外に出て原始的な暮らしをするしかなかった。「無欲」の家庭で育ったベアトリス(シャイリーン・ウッドリー)は適性検査でどれにも属さない「異端者」(ダイバージェント)と判定されるが、検査官のトーリ(マギーQ)から目こぼししてもらい、結果を隠したまま「勇敢」を選択する。ところが志願者はすべてその派閥に入れるわけではなく、厳しいテストを受けて合格したものだけが仲間として認められ、落伍すると「無派閥」になるのだった。ベアトリスはトリスと名を変えると果敢にチャレンジして行くが、常にボーダーラインより下だった。


65点

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 うーむ、久しぶりに酷い。長い。退屈。くだらない。見どころがない。話が広がって行かないし、どうでもいいことを、ウジウジと……。

 なんだか頭の中だけで考えたような、理屈っぽい話。ちっとも入ってこないから、感情も動かされない。SF映画なのに世界観がまったくできておらず、中途半端。ポリシーが感じられない。廃虚のようなビルが並ぶ街でたくさんの人々が暮らしており、電気が満足にないような感じもありつつ、コンピューターやiPadみたいなものも使っている。まずビルを直せよ。しかも大きな話の第1章、パイロット版みたいな話で、映画でやる必要があったのかどうか。

 印象は「トワイライト〜初恋〜」(Twilight・2008・米)や「ハンガー・ゲーム」(The Hunger Games・2012・米)とそっくり。ウジウジしたどうでもいい話。ホレたハレたがメイン。ほとんど大学に入学したてのヤツが、○○クラブとか言う秘密クラブに入るバカげたイジメの儀式のレベル。どうでもいいわ。登場人物のだれ1人として感情移入できなかった。アメリカではこういう話が受けるのか、IMDbでは7.4点という高評価。

 格闘技も「右ひじ、左ひじ、交互に出して」という感じでヘンなかまえ。どうにもなじめなかった。銃もSFだからなのか、おもちゃっぽいものばかりで、唯一、マテバ系のイタリア製チアッパ・ライノ60DSのシルバーくらいがリアル。撃っているので、見どころはここか。

 主人公のベアトリスはシャイリーン・ウッドリー。こんな役ではどうにもなじめなかったが、TVから日本ではアート系で公開されたジョージ・クルーニーの「ファミリー・ツリー」(The Descendants・2011・米)で娘役を演じていたらしい。

 カッコつけ過ぎのバカ男に見えるフォーはテオ・ジェームズ。どこかで見たなと思ったら「アンダーワールド 覚醒」(Underworld: Awakening・2012・米)に出ていたらしい。ちょっと役に恵まれていないかも。

 もう1人の教官のような感じ悪い男エリックはジェイ・コートニー。トム・クルーズのアクション「アウトロー」(Jack Reacher・2012・米)や、ブルース・ウィリスの「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(A Good Day to Die Hard・2013・米)に出ていた人。さすがにうまい。憎たらしさが良く出ていた。

 ベアトリスの父アンドリューはトニー・ゴールドウィン。トム・クルーズの「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・米ほか)でトム・クルーズの上官を演じ、リメイク・アクション「メカニック」(The Mechanic・2011・米)にも出ていた人。

 ベアトリスの母ナタリーはアシュレイ・ジャッド。1990年代から良く出ている人で、「ダブル・ジョパディー」(Double Jeopardy・1999・米/独/加)で初主演を飾っている。最近出ていたのはジェラルド・バトラーの「エンド・オブ・ホワイトハウス」(Olympus Has Fallen・2013・米)の大統領夫人役。

 「無欲」の最高幹部、マーカスはレイ・スティーブンソン。「パニッシャー:ウォー・ゾーン」(Punisher: War Zone・2008・米/加/独)で主演していた人。最近は「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」(Thor: The Dark World・2013・米)に出ていた。この人も「パニッシャー」以降、役に恵まれない感じ。

 「勇敢」で友人となる女性志願者のクリスティーナはゾーイ・クラヴィッツ。「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(X-Men: First Class・2011・米/英)でトンボのような羽根を持つエンジェルを演じていた人。

 もっと活躍しそうでほとんど活躍していない(だいたい皆そうだが)検査官のトーリはマギーQ。「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・米/独/中)や「ダイ・ハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・米/英)のあと、TVシリーズの「NIKITA/ニキータ」(Nikita・2010〜2013・米)で4シーズンも主演を務めた。最近の映画だとSFアクションの「プリースト」(Priest・2011・米)に出ていた。

 最も驚いたのは「博学」の最高幹部、ジェニーンのケイト・ウィンスレット。もうアート系しか出ないのかと思っていたら、B級SFにも出るんだと。最新作は、やはりアート系で公開された「とらわれて夏」(Labor Day・2013・米)。

 原作は、共同製作も務めるベロニカ・ロスが25歳の時に書いた「ダイバージェント 異端者」(角川書店刊)。シリーズ累計1100万部という大ヒット作。驚いたことにアメリカでの評価が高かったことから、続編を撮影中らしい。3部作なのか、アナウンスされている第3作目は、大作にあやかってなのか、前後編になるらしい。やれやれ。

 脚本はエヴァン・ドハーティーとヴァネッサ・テイラーの2人。エヴァン・ドハーティーは残念なクリステン・スチュワートの「スノーホワイト」(Snow White and the Huntsman・2012・米)を書いた後、なかなか興味深い「キリングゲーム」(Killing Season・2013・米/ベルギー)を書いて、本作へ。1本置きだとしたら次は良いかも。

 ヴァネッサ・テイラーは主にTVの脚本とプロデュースを担当しており、「エイリアス」(Alias・2001〜2006・米)や「ゲーム・オブ・スローンズ」(Game of Thrones・2011〜・米)を手掛けている。

 監督はニール・バーガー。面白かった「幻影師アイゼンハイム」(The Illusionist・2006・米/チェコ)の脚本と監督をやった人。その後、いつ公開されたのかも良くわからない「リミットレス」(Limitless・2011・米)を経て本作へ。これまでは良かったのに、本作はどうなんだろう……。同じ監督とは思えない。

 公開3日目の初回、六本木の劇場は全席指定で、金曜にムビチケで確保。当日は15分前くらいに行ったらすでに開場していた。ほとんどは中高年のオヤジで、7人ほどと、外国人の女性1人。男女比はそんな感じで、最終的には124席に1/4くらいの入り。意外に外国の人が多かった。ただ、まあこんなもので、これ以上増えることはないだろう。日本人には向かないのかも。

 気になった予告編は……ブラッド・ピットがビデオ・メッセージで登場し、スチル写真で見せたのは、第二次世界大戦のエピソードを描くらしい「フューリー」。M4シャーマン戦車にM3グリスガンか。お正月公開。

 上下マスクの「LUCYルーシー」は、またまたリュック・ベッソンの女スパイ・アクション。ただそれがスカーレット・ヨハンソンだと。そしてモーガン・フリーマンも出てると。8/29公開。

 「エクソダス(仮)」はクリスチャン・ベールがモーゼを演じるらしい。監督はリドリー・スコットだとか。2015年公開。

 ロン・ハワード監督が「白鯨」のベースとなった実話を描くという「ハート・オブ・ザ・シー」、ヒット作の続編「テッド2」、一度映画化されたミュージカルを再びリメイクするのか上下マスクの「アニー」。キャメロン・ディアスとジェイミー・フォックスかあ。

 「」はゼロと読むようで、大ヒットホラー・ゲームの映画化らしい。9/26公開。

 3D-CGアニメ上下アニメの「プレーンズ2」は、山火事なんかの消火に当たる消防隊の話らしいが、すっかり子供向きの感じ。7/19公開。

 暗くなって、スクリーンが左右に広がって、本編へ。


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