Godzilla


2014年7月27日(日)「GODZILLAゴジラ」

GODZILLA・2014・米/日・2時間04分(IMDbでは123分)

日本語字幕:丸ゴシック体フチ付き下、川又勝利/シネスコ・サイズ(デジタル、Arri)/ドルビーAtmos、DATASAT、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版、IMAX版、3D上映もあり)

公式サイト
http://www.godzilla-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1999年、フィリピンの鉱山の放射線が異常に高い地下で、巨大生物の卵が発見され、ふ化して海へ向かったような跡が見つかり、モナーク計画の芹沢猪四郎博士(渡辺謙)とヴィヴィアン・グレアム博士(サリー・ホーキンス)が調査に向かう。同じ頃、日本の原子力発電所で夫婦で働くジョー・ブロディ博士(ブライアン・クランストン)とサンドラ・ブロディ博士(ジュリエット・ビノシュ)は地震のような謎の振動による重大なメルトダウン事故に巻き込まれてしまう。15年後、日本で生まれたブロディ夫妻の息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)はアメリカ海軍の爆発物処理部隊の大尉となり、休暇でサンフランシスコの妻エル(エリザベス・オルセン)と幼い息子サム(カーソン・ボルデ)の元に帰ってくるが、電話で父のジョーが日本で退避地区に無断侵入して逮捕されたという連絡が入り、急きょ単身日本へ向かう。警察で父の身柄を引き受けたフォードは、父のどうしても放射能流出事故の原因を調査するため15年前のデータが必要だというので、しかたなく同行して再び退避地区に侵入し、その地区を警備していたガードマンに捕まり、研究施設JANJIRAに連れて行かれる。そこでは、芹沢博士とグレアム博士がほとんど動かない謎の巨大生物を拘束し、研究していた。


74点

1つ前へ一覧へ次へ
 堂々たる怪獣映画。モンスター映画でも、パニック映画でもなく、ディザスター映画でもなく、まさに怪獣映画という感じ。ゴジラは日本版の第一作のような破壊神としてのモンスターというより、子供のヒーローとなって行ったあたりの守護神としての謎の存在という感じ。一言でいうと「ゴジラ対ムートー」というところか。

 日本のオリジナル版へのリスペクトがボクには非常に感じられ、好感が持てた。怪獣映画にしながらも、子供というよりは大人が楽しめる映画。もっと言うと、かつてごじら映画に夢中になった人たちが見て楽しい映画ではないだろうか。子供の時に感動した映画でも、大人になってから見ると、技術的にも未熟で、ちゃちだったり、ストーリーもご都合主義で、こんなんだったっけとガッカリすることもあるが、これは当時の雰囲気をそのまま残しつつ、最新のテクノロジーで、しかもリアルに作ったイメージに残るゴジラ映画という感じもある。

 家族の絆が縦糸になっているのは良くあるパターンだが、とにかく冒険に継ぐ冒険。話はどんどんエスカレートして行き、期待以上の大団円。前回のハリウッド版「GODZILLAゴジラ」(Godzilla・1998・米/日)的な展開を予想していると、余計に違った展開で楽しめるかも。ただ、ドラマは少なめで、感情もあまり伝わってこなかった。感動するとか、そういう映画ではないということだろう。

 監督は横長なシネスコが慣れていないようで、手持ちを使い過ぎ。軽く映画酔いしそうになる。これ3D上映で見たらよけいに感じるのではないだろうか。対して動きの内ドラマ・シーンでも手持ちカメラで取っているから、微妙にカメラが揺れ動いて……シロートか。高高度降下低高度開傘、HALO(ちゃんと劇中でヘイロウと言っていた)で、9,000mから足首に赤い発煙装置をつけて降下するところなど、ところどころ映画的な見事なカットがあるのに。

 物語の中心となるフォードはアーロン・テイラー=ジョンソン。コミカル・アクションの傑作「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米)でたよりないオタッキーな高校生のキック・アスを演じていた人。やばいアクション「野蛮なやつらSAVEGES」(Savages・2012・米)では犯罪に手を染める植物学者を演じていた。最新作は「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(Captain America: The Winter Soldier・2014・米)のクイック・シルバー役。本作は意外な雰囲気で、今後もいろんな方面で活躍しそう。

 フォードの妻で女医のエルはエリザベス・オルセン。インディペンデント作品の「マーサ、あるいはマーシー・メイ」(Martha Marcy May Marlene・2011・米)で注目され、ロバート・デ・ニーロのホラー「レッド・ライト」(Red Lights・2012・西/米)でも印象に残った美女。つい最近ハリウッド・リメイクの「オールド・ボーイ」(Oldboy・2013・米)でも、体を張って重要な印象に残る役を演じていた。このひとも今後期待だ。

 フォードの父にジョーに「ドライヴ」(Drive・2011・米)のブライアン・クランストン、その妻サンドラに「存在の耐えられない軽さ」(The Unbearable Lightness of Being・1988・米)のジュリエット・ビノシュ、日本人科学者の芹沢猪四郎に日本リメイクの「許されざる者」(2013・日)渡辺謙、その助手ヴィヴィアン・グレアムに「ブルージャスミン」(Blue Jasmine・2013・米)のサリー・ホーキンス、海軍のウィリアム司令官に「ボーン・レガシー」(The Bourne Legacy・2012・米)デヴィッド・ストラザーンと、なかなか豪華。

 ストーリーはデイヴッド・キャラハム。ゲームを映画化した「DOOMドゥーム」(Doom・2005・英/チェコほか)やホラーの「ホースメン」(Horsemen・2008・米)、痛快アクションの「エクスペンダブルズ」(The Expendables・2010・米)などを書いた人。脚本は、マックス・ボレンスタイン。日本劇場未公開の監督・脚本作(Swordswallowers and Thin Men・2003・米)が高く評価され、本作につながったらしい。今後期待かもしれない。

 監督はイギリス出身のギャレス・エドワーズ。ビジュアル・エフェクトをやっていた人で、長編劇場映画は前作となる低予算映画「モンスターズ/地球外生命体」(Monsters・2010・英)がデビュー作。日本では極小劇場での限定公開。これが高く評価され、いきなりハリウッドの大予算映画に抜擢となった。だからカメラを動かしていたわけか……それでも、この演出力はなかなか。期待したい。

 フィリピン鉱山の警備員はAK47。アメリカの特殊部隊はM4A1。アメリカ海軍の艦船にはM2重機関銃。またマシンガン型のグレネード・ランチャーも出ていた。ほかにベレッタM92、MP5などの定番も。軍の銃撃は画面効果からかトレーサーが使われていた。imfdbによると日本の警備員は89式小銃(エアソフト)を使っていたらしい。ということは東京マルイの電動ガンかも。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、ムビチケで確保。12〜13分前に開場。ほとんど中高年で、若い人も少し。男女比は6対4くらいで男性が多かったが、「ゴジラ」にしては意外と女性も多かった。最終的には287席の9割りくらいが埋まった。さすが話題作。

 気になった予告編は……場内が明るくて良く見えないまま始まった「猿の惑星:新世紀ライジング」は新予告。結局人間の方が猿を裏切ったというありがちなパターンか。それをどう面白く見せるのか。9/19公開。

 パニック映画「イントゥー・ザ・ストーム」はお笑いの2人組「デニス」が登場し、吹替にチャレンジするというおふざけパターン。なぜ? 本格的なディザスター・ムービーじゃないのか? 内容がコメディ系で、ふざけたものなのか。逆効果のような気がするが…… 8/22公開。

 「ドラキュラZERO」はドラキュラの誕生を描くらしい。つまりなぜドラキュラ伯爵は吸血鬼となったか、ということだろうか。予告は中世の戦記物のような感じ。10/31公開。

 半暗になってから、デンゼル・ワシントンのダークなヒーローもの上下マスクの「イコライザー」はなかなかのアクション。おもしろそう。ヒロインはクロエ・グレース・モレッツ。10/25公開。

 上下マスクの「フライト・ゲーム」は新予告に。リーアム・ニーソンが主演の作品なので、またリュック・ベッソンかと思ったら彼は関わっていないらしい。P226エリートらしい銃が良い感じ。共演はジュリアン・ムーア。9/6公開。

 上下マスクの日本映画「ルパン三世」は新予告に。公式サイトは情報量が少なく、公開日すらわからない。たぶん8/30公開。

 3D-CGを使ったドラえもん「STAND BY MEドラえもん」も新予告に。まるでハリウッドのCGみたい。脚本・監督が山崎貴なので期待できそう。「始まりと終わりの物語」とか。8/8公開。

 上下マスクの「寄生獣」も山崎貴脚本・監督作品。どんだけ作っているんだろう。こちらは実写版。キャラクターはコミカルでマンガっぽいが、描写はかなりグロテスク。11/29公開。

 スクリーンが左右に広がって、直前に暗くなって本編へ。予告から暗くして欲しいなあ……。


1つ前へ一覧へ次へ