Stand by Me, Doraemon


2014年8月10日(日)「STAND BY ME ドラえもん」

2014・藤子プロ/シンエイ動画/小学館/ADK/テレビ朝日/ShoPro/東宝/電通/白組/ROBOT/朝日放送/メ〜テレ/阿部秀司事務所/九州朝日放送/北海道テレビ/広島ホームテレビ・1時間35分

ビスタ・サイズ(デジタル)/ドルビー・デジタル(クレジット表記無し)

(3D上映もあり)
公式サイト
http://doraemon-3d.com
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

ある日、未来世界から、小学4年の野比のび太(声:大原めぐみ)のもとに、玄孫のセワシ(声:松本さち)と猫型ロボットのドラえもん(声:水田わさび)がタイムマシンでやって来て、このままでは将来ジャイ子(声:山崎バニラ)と結婚して、事業にも失敗し、大変な苦労をすることになるから、のび太を幸せにするため、ドラえもんに面倒を見させると言って、のび太が幸せになるまで未来世界に帰れないプログラムを起動して帰る。ドラえもんとのび太は話し合い、将来、美人でかわいいあこがれのしずかちゃん(声:かかず ゆみ)と結婚することが幸せになることだと結論し、しずかちゃんに気に入られる男の子になる作戦を開始する。


70点

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 広告に騙された。「すべての子ども経験者の皆さんへ。」って言いながら、これは完全に子供向けの映画。1時間35分が長くて、退屈で、眠くて。たぶん小学校低学年くらいの子供なら楽しめるのだと思う。それ以上の年齢はちょっと難しいのでは。大人はちっとも泣けない。

 ただ、3D-CGの技術はずば抜けて素晴らしい。ものすごいレベル。ただ、ここまでフォトリアルなものを作ったのは、なぜ? 漫画的なギャグを入れたいのだったら、フォトリアルな画調はなじまない。むしろ2Dの普通の漫画、アニメの方が向いている。省略やデフォルメがある世界と、現実に一層近づいてしまうフォトリアルな3D-CGでは、世界観が全く異なる。ふつうのアニメで良いじゃん。

 ストーリーというか、脚本も、大人には納得できない。ギャグもピンと来ない。子供はちょっと笑っていたし、子供と見ている親は合わせて(あえて?)笑っていたし、終わって出るとき小さな女の子が「良いストーリーだったね」とお父さんに言っていたから、子供にはこれでいいのだ。大人向きのような宣伝をするな! てっきり「トイ・ストーリー」(Toy Story・1995・米)的なレベルかと思った。山崎貴だし……。しかも、2Dのアニメの手法を使っていて、ハリウッド並みのリップ・シンクロは期待すべくもなく……。だからセリフが余計に浮いてしまう。残念。ヘンに期待してしまった分、反動が大きかった。

 とにかく、のび太のキャラが悪過ぎ。運動も、勉強もダメダメ。しかも何の努力もしない。ドラえもんが現れれば、頼りっきり。そしてジャイ子を一方的にブスな悪い女のように定義して、美人のしずかかちゃんと結婚すればすべてうまくいくなんて、はたしてこれで良いのだろうか。本編でもジャイ子の悪いところは描いていないわけで、見た目だけではないか。思い込みだけ強くて「ボクがしずかちゃんの前から姿を消せば、彼女は幸せになれる」って何様だっ! と大人だったら言う所。原作に忠実に作ったのかもしれないが、3D-CGで見た目の世界観も違うし、独立した映画なんだから、せめてドジだけれどバカ正直とか、絶対にくじけないとか、絶対に落ち込まず笑顔を忘れないとか、何かしらの取り柄がないと……。

 トヨタのCMの実写版ドラえもんの方がずっと面白そうに見えた。ドラえもんがジャン・レノでもまったく違和感がないもんなあ。あっちの方を映画化してくれないかなあ。ペプシのCMの小栗旬の「桃太郎」だって映画で見たい。本作を使ったCMもあって、それは面白そうだったもんなあ。CMの方が魅力的ってどういうこと?

 原作はもちろん藤子・F・不二雄。脚本は山崎貴。本作の共同監督でもある。「ALWAYS三丁目の夕日」(2005・日)シリーズは良かったが、「BALLAD 名もなき恋のうた」(2009・日)や「SPACE BATTLESHIPヤマト」(2010・日)も撮っている。だいたい英語と日本語のちゃんぽんタイトルが好きらしい。「永遠の0」(2013・)は別人かと思うほど良かった。劇場アニメでは本作の八木竜一監督と共同で「friendsもののけ島のナキ」(2011・日)も撮っている。見ていないので、出来はわからない。

 もう1人の監督は、山崎貴監督がオープニングを担当した白組制作のTVアニメ「もやしもん」(2007・日)の3DCG監督として一緒に仕事をし、「friendsもののけ島のナキ」につながるらしい。どうなんだろう、うまいのかどうか良くわからない。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定の2D上映。ムビチケで席を確保。当日は12〜13分前に開場。観客のほとんどは小学校低学年の子供を連れたファミリー。ちょっと場違いな感じがして恥ずかしかった。ほかにもそんなキャッチ・コピーに騙された感じの中高年が少し。男女比はほぼ半々くらい。夜の回だったら大人が多かったかも。最終的には607席に3割りくらいの入り。たぶん、これから延びることはないだろう。

 気になった予告編は……デニスのお笑いCMを作った「イントゥー・ザ・ストーム」は、たぶんある程度捨てているのだろう、内容で勝負しないということは。うむむ…… 8/22公開。

 半暗になり、意味不明なパパップ何とかと、下品マナーCMとおいしそうに見えないQPのCMのあと、鉄拳のパラパラまんがによる「スマホ・ルール」のCMがあって…… よくわからなかったが「嵐」の相葉君主演「ミラクル デビクロ君の恋と魔法」は、ただただ、やたら夜景がきれいだったが、いわゆるラブ・コメか。11/22公開。

 上下マスクの「クローバー」もコミック原作のラブ・コメらしい。11/1公開。さらに「舞妓はレディ」も周防正行監督ながらコミックっぽいコメディ。9/13公開。アニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」は8/23から、少女漫画タッチの感じがする「頭文字D」は8/23公開、アニメ「THE LAST -NARUTO THE MOVIE-」は12/6公開……と怒濤のアニメ攻撃。すごいなあ東宝。


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