Transformers: Age of Extinction


2014年8月17日(日)「トランスフォーマー ロストエイジ」

TRANSFORMERS: AGE OF EXTINCTION・2014・米/中・2時間45分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(デジタル)/ドルビーATMOS、DATASAT(IMDbではドルビー・デジタルとドルビー・サラウンド)

(米PG-13指定)(IMAX版、日本語吹替版、3D上映もあり)
公式サイト
http://www.tf-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

6500万年前、地球に宇宙船の大船団がやって来て、ある谷を焼き払い、金属の恐竜を生み出す。----現代、シカゴの戦いから3年、北極で金属製の恐竜が発見される。同じ頃、アメリカ、テキサスの片田舎で廃品回収業を営む傍ら、「イェーガー調査研究所」を名乗りロボット工学の研究に打ち込んでいるシングル・ファーザーのケイド・イェーガー(マーク・ウォールバーグ)は、廃業した映画館から、なぜかトラックを発見し引き取ってくる。一方、トランスフォーマーの時代は終わったとして同盟関係を一方的に打ち切ったCIAは、ディセプトコンを追い詰めて戦争を終わらせるとして、バウンティ・ハンターのロックダウン(声:マーク・ライアン)と協力して、特殊部隊「墓場の風(セメタリー・ウィンド)」にオートボットをも追い詰めさせていた。そして、その追手は、ケイドが発見したトラック、実は負傷したオプティマスプライム(声:ピーター・カレン)にも及ぼうとしていた。


72点

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 なんだ、コレ。長いよ。しかもロボット以外の登場人物がかわっただけで、全く同じ様な展開の物語。出てくる登場人物は、マーク・ウォールバーグが演じる主人公を含め、ほぼすべてバカ。「令状はあるのか」「このオレが令状だ」、真夏に黒い革コート。バカじゃん! 言うセリフもバカなら、行動もすべてバカ。いままでとまったく同じ。特に、バカな若者を描かせたらピカイチ。ものすごくリアルというか、リアルを超えたリアルさ。本当にこの俳優はバカなんではないかと思えてくる。さすがマイケル・ベイ。無駄に車を壊すし。

 バカばっかりが出ていると、話がまったくわからない。なぜそうなるのか。勢いでどうにか察する感じ。バカが何人も証言しても、さっぱり事件の全体は把握できないということだ。それどころか、ディテールだってよくわからない。「ローン・サバイバー」(Lone Survivor・2013・米)のマーク・ウォールバーグが、「テッド」(Ted・2012・米)以下の魅力無しのバカに見えるんだから、ファンの方は見ない方がいいと思う。お金だろうなあ……邪推ですみません。女優はいかにもマイケル・ベイの好みっぽい、金髪の気の強そうな美人。

 中国がお金を出しているため、後半の舞台は中国。なんでも、0号だか初号だかわからないが、試写でクレームがついて修正したなんてうわさ話も聞いた。たしかに、本編を見ても、中国はアメリカが開発したロボ生命体の工場という設定で、「安物のコピーめ」というようなセリフは残っている。最初はもっと酷かったんだろう。

 とにかくほとんどアクション・シーンのジェットコースター・ムービーなのに、退屈で眠くなる。何回も気を失いそうになった。エンディングのスタッフ・ロールなんか人の名前が永遠のように続く。その努力が報われるんだろうか、この出来で。たしかに絵はすごい。まるで実在するものを撮影したかのようだ。色は鮮やかで鮮明。シズル感があって、2Dでも立体感さえある。評価点のほとんどは「絵・画」だ。不必要な夕日のカットとか、内容とは関係ないがそれもカッコいい。つまり見栄えだけ。それとカットが早過ぎ。3Dには全く向かない。「ターミネーター2」(Terminator 2: Judgment Day・1991・米/仏)へのオマージュなのか、ジャッジメント・デイとか真似た部分も大分見られた。「ベイビー、アイ・バック」って……。「聖杯」なんてセリフまで出てくるしまつ。果ては、岩に突き刺さった剣をオプティマスが抜くというシーンまで。アーサー王か!?

 ケイド・イェーガーはマーク・ウォールバーグ。銃規制には賛成のようだが、多くのアクション映画に出て銃をぶっ放している。本作もエイリアンの銃とはいえ、ガンガンぶっ放している。ヒュー・ジャックマン主演の「プリズナーズ」(Prisoners・2013・米)のようなシリアス・サスペンスの製作総指揮を担当している。「ローン・サバイバー」も製作を担当している。娯楽大作で儲けて、作りたい映画を作るということか。

 バカな大悪党、KSI社の社長ジョシュア・ジョイスはスタンリー・トゥッチ。ちょっとイメージが「シャーロック・ホームズ」(Sherlock Holmes・2009・米/独)のマーク・ストロングと被る部分があるが、トゥッチは「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Prada・2006・米)などのように、ちょっとコミカルな役が多い。最近見たのは「ハンガー・ゲーム2」(The Hunger Games: Catching Fire・2013・米)。

 KSI社の中国側の監視役のような美女スーはリー・ビンビン。中国の女優さんで、ミシェル・ヨーのSFアクション「シルバーホーク」(飛鷹・2004・香)やチャン・ツィイーの「女帝 [エンペラー]」(The Banquet・2006・中)、ジャッキー・チェンやジェット・リーのアクション・ファンタジー「ドラゴン・キングダム」(The Forbidden Kingdom・2008・米/中)、射撃競技をモチーフにした「トリプルタップ」(槍王之王・2010・香)、ジャッキー・チェンの辛亥革命を描いた歴史ドラマ「1911」(辛亥革命・2011・中/香)、最近だと「バイオハザードV:リトリビューション」(Resident Evil: Retribution・2012・独/加ほか)にも出ていた。本作はセリフが少なく、単なるお飾り的な扱いだが、マイケル・ベイ映画の女性はほとんど皆そう。

 CIAの特殊部隊「墓場の風」のリーダー、ジェイムズ・サヴォイはタイタス・ウェリヴァー。悪役が多い人だが、ちょっとコミカルな面も。TVが多いが「ザ・タウン」(The Town・2010・米)や「崖っぷちの男」(Man on a Ledge・2011・米)、「アルゴ」(Argo・2012・米)などの話題作でいい味を出していた。本作ではバカな悪役にしか見えないが。

 分かりにくくご都合主義な脚本はアーレン・クルーガー。信じられないことに、過去にはシリアスなサスペンスの「隣人は静かに笑う」(Arlington Road・1999・米)や、ベン・アフレックの二転三転するシリアス・サスペンス「レインディア・ゲーム」(Reindeer Games・2000・米)、日本のホラーのリメイク「ザ・リング」(The Ring・2002・米/日)、グリム兄弟を描いたダーク・ファンタジー「ブラザーズ・グリム」(The Brothers Grimm・2005・米/チェコ/英)などを書いている。それが、シリアスでもなく、ダークでもないSFアクション・コメディを書くなんて。

 監督はミュージック・ビデオからCMを手掛けるようになって、ジェリー・ブラッカイマーに見出せされたというマイケル・ベイ。プロデューサーとしても活躍しているが、ほとんど訳のわからないリメイクばかり。今度は再び「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」をリメイクするらしい。なぜ? 監督としてはここのところ「トランスフォーマー」シリーズしか作っていない。ただ、世界各国でヒットしているらしい。確かに絵は良いけれど、ボクには理解できない。

 銃は、どくろのマスクをした特殊部隊「墓場の風」が、ノーマル・グロックに、金色バレルを搭載したグロックのカスタム、M4カービン、シルバー系の色のM4カスタム、ミニガンなど。リーダーのジェイムズ・サヴォイはブルッガー&トーメのMP9(レール付きのシュタイヤーTMP)。KSI社の社長ジョシュア・ジョイスはやはり金色バレルを装着した1911カスタム。

 予告で使われていた映像は、本編で使われていないものが多かったよう。本編の方はアングル違いのカットという感じ。これも手なのかもしれない。最初の方で特殊部隊「墓場の風」が納屋に入る前にグロックをオーバー・ザ・スライド・メソッドでスライド操作をするカットも、予告ではカートリッジが飛んでいたが、本編では飛んでいなかったと思う。確かに、考えてみれば、初弾だとすればカートリッジが飛ぶのはおかしい。ただ、装填されているかどうかわからなくてスライドを操作したのだとすれば排莢されてもおかしくはないのだが。

 公開10日目の初回、新宿の劇場は2D字幕上映で、全席指定。ムビチケで確保して、当日は12〜13分前に開場。若い人から中高年までいたが、ちょっと若い人が多かった印象。最初は25人くらいの男性に、女性は3人ほど。最終的には127席に7割りくらいの入り。1週間ほどでこんな小さなキャパの劇場まで落ちるのも、内容的にはしようがないかなと。

 気になった予告編は……ポール・ウォーカーの遺作となる上下マスクの「フルスロットル」は、なんだか見た事があるアクロバティックな強盗の話のよう。「YAMAKASHIヤマカシ」(Yamakasi - Les samoura不 des temps modernes・2001・仏)? よく見れば、やはりリュック・ベッソン。期待はできないかもしれないが、ポール・ウォーカー最後の作品ということで見るかと。日本語ナレーションがふざけている感じだったが……9/6公開。

 スクリーンが左右に広がってから、なんとビックリの「ニンジャ・タートル」。リメイクではないかと見ると、やはりマイケル・ベイ製作。全米公開が始まっていて、首位なんだとか。ヒロインは「トランスフォーマー」前シリーズのミーガン・フォックス。公式サイトはまだ無いよう。12月公開。

 「ヘラクレス」はドウェイン・ジョンソンが主演するアクションものらしい。とんでもなくでかいイノシシのバケモノと戦う予告。10/24公開。


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